USGS=アメリカの地質調査所によりますと、日本時間の28日午後3時20分ごろ、ミャンマー中部のマンダレー付近を震源とするマグニチュード7.7の大きな地震がありました。
震源の深さはおよそ10キロと推定されています。
この10分あまりあとにも近くでマグニチュード6.7の地震が発生するなど揺れが続いています。
この大地震について、ミャンマーで実権を握る軍のトップ、ミン・アウン・フライン司令官は28日夜、国民向けにテレビで演説し、これまでに144人が死亡し、732人がけがをしたと明らかにしました。
亡くなった144人のうち、およそ100人が首都ネピドーで確認されたとしています。
また、北西部ザガイン管区などでも死者が確認されていて、今後、死傷者の数はさらに増えるおそれがあるとしています。
一方、隣国タイの救急当局などによりますと、震源から1000キロ以上離れた首都バンコクで建設中の高層ビルが倒壊してこれまでに少なくとも5人が死亡し、17人がけがをしたということです。
現場では、70人以上が取り残されているとみられ救助活動が行われています。
バンコクではこのほか1人が死亡したほか、6人がけがをしたということです。
タイのアヌティン副首相は、28日夜、ビルの倒壊現場を視察し、公共の建物にひび割れなど危険がないかどうか調査を進めるとともに、民間の建物についても調査に協力するよう要請する考えを示しました。
【中継 ミャンマー ヤンゴン、タイ バンコク】(2分39秒)
29日おはよう日本で放送
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【ミャンマー】マンダレー市内 複数の建物大きく崩れる
ロイター通信が配信した、ミャンマー中部のマンダレー市内で撮影された映像では、揺れが続くなか、多くの人々が通りに出てきて互いに支え合いながら路上でうずくまる様子がとらえられています。
また、複数の建物が大きく崩れ、道路に大量のがれきが散乱している様子や、黒い煙のようなものがたちのぼっている様子も確認でき、被害の大きさがわかります。
【タイ】建物倒壊映像 撮影した女性「とてもショック」
タイの首都、バンコクの中心部では建設中の高層の建物が倒壊しました。
その瞬間の映像を近くで食料品店を営む女性がスマートフォンで撮影していました。
女性によりますと、倒壊した建物では2年前にもクレーンが倒れる事故があったため、地震の揺れを感じたあと、不安になって撮影を始めたということです。
映像では、建物の上層部に設置されたクレーンが白い煙のようなものをあげながら横に揺れ動いています。
そのすぐあと、建物は白い大きな土煙を上げながら一瞬のうちに崩れ落ちました。
映像を撮影した女性は「私が建物の様子を見に行ったときには建物にあるクレーンが揺さぶられていた。そして建物から一瞬のうちに落ちていきました」と話していました。
その上で、「私はその光景をみてとてもショックでした。ビルが倒壊した時間帯は、多くの作業員が昼食を終えて建設現場に戻っていったときだったからです。作業員の人たちは、私の店の常連で顔見知りでした。私だけでなく多くの人がショックを受けていて、いったい何が起きたのか受け止めきれません」と話していました。
英BBC 戦闘が続き救助活動など不透明
28日、ミャンマー中部で起きたマグニチュード7.7の大地震について、イギリスの公共放送BBCは、4年前のクーデター以降、軍と民主派勢力側との間で戦闘が続く中、軍が救助活動などに対応できるのか不透明だと伝えています。
このうち、今回の地震の震源に近い北西部のザガイン管区では、数か月前に軍と民主派勢力側の間で戦闘が起きているほか、第2の都市マンダレーの周辺でもこれまでに衝突が起きるなど、情勢は不安定だとしています。
WFP=世界食糧計画は、ミャンマーはすでに深刻な食料危機にあり、ことし、4人に1人が食料不足に直面するとしていて、地震の影響で人道状況がさらに悪化することを懸念しています。
国連 ミャンマーに7億5000万円余りの緊急支援金
国連のグテーレス事務総長は28日の記者会見で「ミャンマーの当局は国際的な支援を求めている。ミャンマーの人たちを支援するために、現地の国連のチームは連絡を取り合っている」と述べました。
国連は、ミャンマーでの人命救助と復旧作業のために500万ドル、日本円にして7億5000万円余りの緊急支援金をあてることを決めたということです。
国連によりますと、ミャンマーでは4年前のクーデター以降、軍と民主派勢力側との戦闘で350万人以上が家を失い、およそ2000万人が支援を必要とする状況が続いていて、今回の地震によってすでに悲惨な人道状況のさらなる悪化が懸念されるということです。
米トランプ大統領「支援する」
アメリカのトランプ大統領は大地震が発生したミャンマーに速やかに支援を提供する意向を示しました。
トランプ大統領は28日、ホワイトハウスで記者団からミャンマーで実権を握る軍が支援を求めていることについて質問され、「支援するつもりだ。関係者には態勢をとらせた。被害は深刻で、すでに、われわれは相手国側と話をした」と述べました。
また、国務省のブルース報道官は28日の記者会見で、被災した地域に災害対応の専門家チームを派遣して食料や安全な飲料水などを提供する用意があるとして、正式な要請を受けしだい、支援を始める考えを示しました。
ロシア ミャンマーに120人規模の救助隊を派遣
ロシア非常事態省は28日、輸送機2機を使って、120人規模の救助隊や災害救助犬などをミャンマーに派遣したと発表しました。
ロシア非常事態省が公開した映像では、救助隊のメンバーが首都モスクワの近郊にある空港で出発の手続きを行ったり、輸送機に車両を積み込んだりしたあと、荷物を背負って輸送機に乗り込んでいます。
ロシアとミャンマーの間では、今月4日、ミャンマーで実権を握る軍のトップであるミン・アウン・フライン司令官がロシアを訪問してプーチン大統領と会談するなど、関係強化が進められています。
石破首相 タイ首相にお見舞いメッセージ
石破総理大臣は地震により被害が出ているタイのペートンタン首相に宛ててお見舞いのメッセージを出しました。
この中では「大きな被害が出ているとの報に接し、大変心を痛めています。被害に遭われた方々に対し、心からお見舞い申し上げます。われわれはよき友人であるタイ国民と共にあります」としています。