今月23日に今治市で起きた山林火災では、焼けた面積は隣接する西条市も含め、およそ442ヘクタールにのぼりましたが、27日の午後2時半以降、新たな延焼は確認されていません。
今治市は28日、延焼のおそれがなくなったとして長沢地区と緑ヶ丘団地地区の333世帯611人を除く地区の避難指示を解除し、隣接する西条市は避難指示をすべて解除しました。
今治市は週明けにも火災が「鎮圧」したといえるかどうか判断したいとしていますが、市などによりますと、消防が防災ヘリで現場付近を確認したところ、避難指示が続く長沢地区と緑ヶ丘団地地区の付近で、29日も山肌に複数の熱源が確認されたということです。
このため、消防などは朝から上空からの消火活動を続けているほか、地上でも残り火がないか確認を進めています。
特産のタオルも危機一髪
山林火災が起きた愛媛県今治市は日本一のタオルの産地として知られていますが、大量のタオルを保管している倉庫のすぐ近くにも一時、火の手が迫っていました。
創業100年を超えるタオルメーカーの正岡裕志社長によりますと、3月23日、今治市長沢地区にあるタオル工場の近くの山が燃え始めたといいます。
従業員の安全のため、工場を休みにして火災の状況を見守っていたところ、今度は桜井地区にあるタオルを保管している倉庫の近くの山が燃え始めたということです。
倉庫にはおよそ4000枚のタオルが保管されていて、正岡社長は倉庫に火が燃え移らないか、気が気ではなかったといいます。
現在は延焼のおそれはなくなりましたが、社長は「倉庫には大量のタオルがあり、工場には引火しやすい糸くずやほこりも多い。見慣れた山に火柱が見え、灰であたりは真っ白になり恐ろしかった。タオルメーカーは日頃から火災に備えているが、今回はいつどこに燃え移るかわからず、対応のしようがなかった。何事もなくほっとしている」と話していました。
正岡社長が理事長をつとめる「今治タオル工業組合」によりますと、28日までに市内のタオルメーカーから山林火災による被害の報告は寄せられていないということです。