第三者委員会は午後5時から記者会見を開き、報告書の中身について説明するほか、会社側も午後7時から会見して報告書を踏まえた改善策を公表することにしています。
※NHKでは、第三者委員会の記者会見とフジテレビ側の会見をそれぞれライブ配信でお伝えします。
第三者委員会の調査ではトラブルへのフジテレビの社員の関与の有無が焦点となっていましたが、報告書では、社員の関与について「中居氏が女性を会合に誘った行為に関与した事実は認められなかった」とした一方で、中居氏とのトラブルについて「『業務の延長線上』における性暴力であったと認められる」という判断を示しました。
また「本事案への一連の対応において、特筆すべきことは、フジテレビの幹部が、中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のために動いたことである」と指摘しました。
その上で「中居氏の依頼を受け、中居氏に代わって元編成局幹部が見舞い金名目での現金100万円を女性の入院先病院に届けた。元編成局幹部は女性の重篤な病状を認識していたにもかかわらず、中居氏の代わりに現金を渡そうとした行為は、女性の病状、心情への配慮を欠いている。見舞い金の受領は法的紛争の帰すうにも影響しうるものであり、女性に対する口封じ、2次加害行為とも評価しうる」と指摘しました。
さらに当時、社長だった港浩一氏など会社幹部らのトラブルへの対応について「本事案への会社の一連の対応は、経営判断の体(たい)をなしていない。港社長ら3名は、性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった」と指摘しました。
また、長年にわたってグループの実力者として経営に影響力を及ぼしてきた日枝久氏について「長年にわたる功績と経営中枢への関与から会社の経営に強い影響力を及ぼしており、会社の組織風土の醸成に与えた影響も大きいといえる。もっともセクハラを中心とするハラスメントに寛容な企業体質は、日枝氏だけでなく、会社の役職員全員の日々の言動から形成されたものである」と指摘しました。
その上で「取締役会メンバーの経営責任は重いというべきだ」と結論づけました。
またフジテレビと親会社のガバナンスについて「内部統制の構築・運用面でも様々な問題を抱えており、それを担う取締役会の機能不全がある」と指摘しています。
そして、フジテレビには社外役員に情報を共有しない企業風土があったと指摘した上で「社外役員の役割をまったく理解せず、ガバナンスの機能不全を招くものであり、会社の内部統制として言語道断であると言わざるを得ない」と厳しく指摘しています。
第三者委員会は再発防止策について「有力な取引先と良好な関係を築くための『性別・年齢・容姿などに着目して呼ばれる会合』というあしき慣習が、取引先の関係者からハラスメントを受けるリスクをもたらしてきた」と指摘し、これらの慣習を一掃し、ハラスメントに対応する体制を構築すべきだとしています。
その上で「フジテレビが直面する問題は、業界全体が直面する問題であり、業界全体の持続可能性の問題である。今こそ業界全体での協働をとり、業界の健全化に向けた取り組みを進めるべきである」と指摘しました。
第三者委員会は午後5時から記者会見を開いています。
また、会社側も午後7時から記者会見を開いて、報告書を踏まえた改善策を公表することにしています。
【速報中】第三者委員会 報告書
第三者委「取締役会メンバーの経営責任は重い」
中居正広氏と女性とのトラブルをめぐる一連の問題で、フジテレビと親会社が設置した第三者委員会は、会社の対応について「取締役会メンバーの経営責任は重いというべきだ」と指摘しました。
「適正な経営判断行うための知識、意識、能力が不足」
会社の対応について「意思決定する経営トップ、役員、幹部は事実確認、リスクの検討、性暴力被害者支援と人権尊重責任の視点でのケアと救済を行うなどの適正な経営判断を行うための知識、意識、能力が不足していた。外部の専門家の助言やコンプライアンス部門などからの助力を得ることで、より適正な意思決定ができるはずであったが、そうした意識を欠いていた」と指摘しました。
「2次加害行為にあたる」
また「女性に寄り添わず、漫然と中居氏の出演を継続させることによって、女性の戻りたい職場を奪い、中居氏の利益のためとみられる行動をとったことは、2次加害行為にあたる。こうした一連の行為によって、女性の被害をさらに拡大させた。このような思慮の浅い意思決定と被害者に寄り添わない対応がステークホルダーからの信頼を失わせ、危機的状況に至らしめたと言える」と指摘しました。
トラブルは「業務の延長線上における性暴力」
フジテレビの社員については「中居氏が女性を会合に誘った行為に関与した事実は認められなかった」とした一方で、中居氏と女性とのトラブルについて、「『業務の延長線上』における性暴力であったと認められる」という判断を示しました。
「取引先との会合に利用 不適切」
「フジテレビの一部には社員やアナウンサーらが取引先との会合において性別や年齢、容姿などに着目され、良好な関係を築くために利用されていた実態があったというべきで不適切だ」とする判断を示しました。
「全社的にハラスメントがまん延」
「会社においては、全社的にハラスメント被害がまん延していたと評価でき、その原因としては、会社において培われた誤った認識・対応が、被害者によるハラスメント被害申告をためらわせ、ハラスメントの適切な対処がなされず、結果として、さらにハラスメント被害が生じるという、負の連鎖が繰り返されてきたからと考えられる」と指摘しました。
「幹部 中居氏の利益のため動いた」
「本事案への一連の対応において、特筆すべきことは、フジテレビの幹部が、中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のために動いたことである」と指摘しました。
「問題の本質理解せず、わい小化した情報発信」
週刊誌で報道されたあと、去年12月に会社が出したコメントについては「切り取った事実関係のみを強調して伝達しようとした判断は、問題の本質を理解していない対応であったと言わざるを得ない。わい小化した情報発信が社会からの厳しい批判の対象となり得ることに気がつけたはずである。それにも関わらず、切り取った事実関係だけを否定して、企業防衛を図るという視野狭さく的な対応をしてしまった過程には、本件に関する港社長、嘉納会長らの問題意識が薄かったこと、事案の全容解明が進んでいなかったこと専門家の助言を得られていなかったことなどが影響していると考えられる」と指摘しました。
「女性への見舞い金は口封じ、2次加害」
第三者委員会は報告書で「本事案への一連の対応において、特筆すべきことは、フジテレビの幹部が、中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のために動いたことである」と指摘しました。
その上で「中居氏の依頼を受け、中居氏に代わって元編成局幹部が見舞い金名目での現金100万円を女性の入院先病院に届けた。元編成局幹部は女性の重篤な病状を認識していたにもかかわらず、中居氏の代わりに現金を渡そうとした行為は、女性の病状、心情への配慮を欠いている。見舞い金の受領は法的紛争の帰すうにも影響しうるものであり、女性に対する口封じ、2次加害行為とも評価しうる」と指摘しました。
「日枝氏 組織風土の醸成に影響」
日枝氏については「長年にわたる功績と経営中枢への関与から会社の経営に強い影響力を及ぼしており、会社の組織風土の醸成に与えた影響も大きいといえる。もっともセクハラを中心とするハラスメントに寛容な企業体質は、日枝氏だけでなく、当社の役職員全員の日々の言動から形成されたものである」と指摘しました。
第三者委員会 報告書の焦点は
▽中居氏と女性とのトラブルの経緯についてどう説明するか。
▽トラブルへの会社の関与の有無。
▽類似の事案はあったのか。
▽芸能人と社員とのこれまでの関係に問題がなかったか。
▽トラブルを把握したあとも、中居氏をおよそ1年半にわたって番組に起用し続けたのはなぜか。
▽トラブル把握後の社内での情報共有、対外的な公表の方法など会社の対応は適切だったか。
▽会社のガバナンスや企業風土に問題はなかったか。
▽日枝久氏がグループの実力者として長年にわたって経営に影響力を及ぼしてきた問題をどう評価し、言及するか。
▽一連の問題に対する経営責任の所在についてどう指摘するか。
▽再発防止や経営再生、役員人事など新体制に向けた提言について。
トラブルへの会社の対応は
また、中居氏と女性とのトラブルをめぐり、フジテレビや親会社フジ・メディア・ホールディングスの対応について第三者委員会からどのような指摘があるかも焦点です。
フジテレビでは、おととし6月に起きた中居氏と女性のトラブルを発生直後に把握していましたが、その情報は当時の社長や一部の社員に限られ、コンプライアンスの担当部門などに共有されませんでした。
会社はその理由として「当事者2人の極めてセンシティブな領域の問題と認識した。女性からは事案を公にせず、他者に知られずに仕事に復帰したいという強い意向があった」と説明しています。
さらにトラブルの把握からおよそ1年半にわたって中居氏が出演する番組を継続した対応に問題があったのではないかと指摘されています。
起用を続けた理由について会社は「唐突に番組が終了することで臆測を呼ぶことを憂慮した」などと説明していました。
さらに、中居氏への調査もことし1月まで正式には行われませんでした。
会社は「多くの人が知ることになれば女性のケアに悪影響があるのではないかと考えた。当事者間で示談の動きが進んでいくとの情報が加わったことも調査をちゅうちょする一因になった」と説明してきました。
こうした一連の対応について第三者委員会からどのような指摘があるかも焦点です。
ガバナンスと経営責任は
今回の問題をめぐってはフジテレビのコンプライアンスやガバナンスの体制が機能しなかったという指摘もあり、第三者委員会が、経営陣の責任の所在についてどのように言及するかも焦点となります。
フジテレビは、おととし6月に起きた中居正広氏と女性とのトラブルを発生直後に把握していましたが、社内のコンプライアンス部門には共有されませんでした。
当時、副会長で、フジテレビのコンプライアンス対応を統括する立場だった遠藤龍之介氏はこのトラブルについて「去年12月の週刊誌の取材で知った」と述べています。
また、親会社のフジ・メディア・ホールディングスの金光修社長も事態を把握した時期が去年12月だと説明しています。
一方、フジテレビの親会社のガバナンスについても厳しい指摘が出ています。
親会社の大株主「ダルトン・インベストメンツ」は、長期にわたりグループの実力者として経営に影響力を及ぼした日枝久氏を中心とした会社のガバナンス体制に問題があると指摘していました。
幹部人事の選考過程をめぐって、社外取締役から「多少、不透明なところがあったのではないかという指摘もある」という声があがるなど、人事のプロセスを透明化するよう求める意見も出ています。
こうしたコンプライアンスやガバナンスの課題を踏まえ第三者委員会が、経営陣の責任の所在についてどのように言及するかも焦点となります。
フジテレビの第三者委員会とは
フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスは、中居正広氏と女性とのトラブルをめぐる一連の問題の事実関係や会社の対応を検証するため、ことし1月、独立した第三者委員会を設置しました。
フジテレビは当初、弁護士を中心とした調査委員会を立ち上げる方針を示しましたが、会社は「日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会ではないと思う」と説明していました。
このため、調査委員会の独立性が担保されているか不透明だという批判が強まり、日弁連=日本弁護士連合会のガイドラインに基づく独立した第三者委員会を設置することになりました。
委員会は、3人の弁護士で構成され、このうち委員長の竹内朗弁護士は、これまで公表された第三者委員会報告書の格付けを行う「第三者委員会報告書格付け委員会」にも参加し、調査の質の向上にも取り組んでいます。
委員会は、フジテレビやフジ・メディア・ホールディングスの幹部など関係者を対象にヒアリングを重ねてきました。
また、2月10日には、社外からの情報提供を求める専用のホットラインをインターネット上に設け、2016年4月以降にフジテレビの役職員が主催する会合に参加した際のハラスメント被害について心当たりがある人に対し情報提供を呼びかけました。
委員会は、今回の問題を把握してからの会社の対応のほかガバナンスや人権問題への取り組みなどを重点的に調査し、一連の問題についての原因分析や再発防止に向けた提言などを行うとしています。
フジテレビ 問題の経緯は
中居正広氏と女性とのトラブルが発生したのは、おととし6月。
去年12月に一部の週刊誌で報じられたことを受けて、フジテレビはことし1月17日に当時の社長が記者会見しました。
この中で、発生直後に事態を把握し、その後社長にも報告があがっていながら、およそ1年半にわたって中居氏が出演する番組の放送を継続していたことを明らかにしました。
しかしこの記者会見は映像の撮影を認めないなど制限を加えたことから閉鎖的だと批判され、さらにトラブルの対応をめぐる社長ら経営陣の説明があいまいでガバナンスや人権の観点からの懸念が払拭(ふっしょく)できないなどという指摘が相次ぎました。
このため企業の間では自社のコマーシャルの放送を公益社団法人の広告に差し替える動きが広がりました。
これを受けて、フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングスは、独立した第三者委員会の設置を決めたほか、当時、フジテレビの社長だった港浩一氏と会長だった嘉納修治氏が1月27日に責任をとって辞任しました。
さらに3月27日に、経営体制を見直して取締役の数を大幅に減らす方針を発表し、長年にわたってグループの経営を率いた日枝久氏が両社の取締役相談役を退任することも明らかにしました。
フジテレビ これまでの対応・今後の対応は
フジテレビは、信頼回復を急ぐために2月6日、社長を本部長とする「再生・改革プロジェクト本部」を設置しました。
中堅や若手の社員を中心に構成し、再発防止や企業風土の見直しに向けて議論を続けています。
こうした議論をもとに2月27日には、社員が会食や会合に参加するにあたって順守すべきガイドラインを公表しました。
業務やプライベートにかかわらず、人権の尊重を最優先とし、人権侵害が起きた場合は厳正に対処するとしています。
また、業務で会食や会合を行う場合は上司に対して目的や参加者などについて承認を得るよう求めました。
社内にはコンプライアンスを担当する部門がありましたが、中居正広氏と女性のトラブルをめぐる情報の共有が遅れたことが問題視されたことから、これまで局単位で設けていたコンプライアンスの担当者をすべての部に配置し、情報を迅速に把握できる体制を整備したとしています。
会社は、第三者委員会の調査報告書を踏まえて、改善策をまとめ、公表することにしています。
CM見合わせで経営に打撃
フジテレビのスポンサー企業の間では、一連の問題をめぐる会社の対応を問題視して自社のコマーシャルを見合わせる動きが続いています。
フジテレビは、ことし1月17日に初めて記者会見を開きましたが、映像の撮影を認めないなど制限を加え、閉鎖的な会見だったことに批判が強まりました。
さらにガバナンスや人権の観点からの懸念が払拭(ふっしょく)できないなどと受け止められたことから、企業の間で自社のコマーシャルを見合わせる動きが広がりました。
これを受けてフジテレビは、企業が自社のコマーシャルを公益社団法人の広告に差し替えたものとキャンセル分については料金を請求しないことにしました。
これに伴って広告収入が大幅に減少することから、ことし1月30日、親会社のフジ・メディア・ホールディングスは、ことし3月期決算の業績の見通しを下方修正し、グループ全体の売り上げは前の期の実績より3.2%減って5482億円、最終的な利益は73.6%減って98億円となる見通しだとしています。
2月も多くの企業がコマーシャルを見合わせ、フジテレビの「放送収入」は前の年の同じ月よりおよそ9割減ったということで、ことし3月期のフジテレビ単体の通期決算が最終赤字となる可能性もあるという見方も出ています。
このため、会社は信頼回復を急ぐため、3月27日、経営体制の大幅な見直しを公表しました。
しかし、4月以降、7割弱のスポンサー企業が自社のコマーシャルを放送するかどうか、判断を保留しているということで、依然、業績回復の見通しは立っていません。
フジテレビの清水賢治社長は今月28日、記者団に対し「第三者委員会の報告とその後の会社の改善策を企業の皆さんは見ているので、信頼を取り戻すため、着実にやっていく」と述べていました。
経営体制は大幅に見直し
フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングスは、信頼の回復を急ぐため、第三者委員会の報告に先立って3月27日、それぞれの取締役会で経営体制を大幅に見直すことを決めました。
このうち
▽フジ・メディア・ホールディングスはことし6月に現在の取締役15人のうち10人が退任し、新たに6人を選任します。
また
▽フジテレビは20人の取締役のうち、今月27日付けで12人が退任、さらに6月に4人が退任し、新たに6人を選任します。
この結果、6月以降の経営体制では
▽フジ・メディア・ホールディングスは現在の15人から11人に、
▽フジテレビは現在の20人から10人に半減します。
また、年齢面での多様性も考慮するとして、50代以下の人材を新たに起用し、6月以降の経営体制では、取締役の平均年齢を大幅に引き下げるとしています。
▽フジテレビの取締役の平均年齢は去年6月時点の67.3歳から59.5歳に
▽フジ・メディア・ホールディングスでは71.2歳から10歳近く若返って61.6歳になるとしています。
さらに40年以上にわたって取締役を務め、経営に影響力を及ぼしてきた日枝久氏がフジテレビの取締役相談役を今月(3月)27日付けで退任しました。
フジ・メディア・ホールディングスの取締役相談役もことし6月の株主総会をもって退任するとしています。
また、フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長は今月27日、記者団に対し、日枝氏がフジテレビのほか、フジサンケイグループの代表を辞任することも明らかにしています。