“白衣はくいの人ひとは医師いしじゃなくモデル” 健康けんこう食品しょくひんをNHKが独自どくじ調査ちょうさ

一方いっぽう、サプリメントや健康けんこう食品しょくひんって、そもそもどれくらい健康けんこうに役立やくだつの？などといった健康けんこう食品しょくひん自体じたいへの疑問ぎもんの声こえも上あがっている。

そこで、独自どくじ調査ちょうさを行おこなってみたところ、不適切ふてきせつな広告こうこく表示ひょうじや、有効ゆうこう成分せいぶんの根拠こんきょとなる論文ろんぶんの信頼しんらい性せいの問題もんだいなど健康けんこう食品しょくひんに対にたいする疑問ぎもん点てんが続々ぞくぞくと…

私わたしたちは、サプリや健康けんこう食品しょくひんとどう向き合むきあえばいいのか。

（科学かがく文化ぶんか部ぶ 記者きしゃ 島田しまだ尚しょう朗ろう 植田うえだ祐ゆう 絹川きぬかわ千晴ちはる）

健康けんこう食品しょくひんブームで増ふえる“不適切ふてきせつ表示ひょうじ”

インターネットやSNSを利用りようしているときに、見みかける健康けんこう食品しょくひんの広告こうこく。

「健康けんこうでありたい」という消費しょうひ者しゃの関心かんしんの高たかまりを受うけて、企業きぎょうは広告こうこく宣伝せんでんに力ちからを入いれているが、なかには、効果こうかを過大かだいにうたうなど誇大こだい表示ひょうじも多おおく見受みうけられる。

消費しょうひ者しゃ庁ちょうは、健康けんこう食品しょくひんの広告こうこくなどの表示ひょうじに虚偽きょぎ・誇大こだい表示ひょうじがないかをネット上じょうで監視かんしし、違反いはんする可能かのう性せいがあるものには改善かいぜんするよう指導しどうしているが、その件数けんすうは2022年度ねんどには804事業じぎょう者しゃ810製品せいひんと、平成へいせい24年度ねんど以降いこう最多さいたとなった。

景品けいひん表示ひょうじ法ほう違反いはんで処分しょぶんを受うけるものもあり、昨年度さくねんどは7事業じぎょう者しゃが行政ぎょうせい処分しょぶんを受うけた。

だが、それは氷山ひょうざんの一角いっかくにすぎないという。

WEB広告こうこくやパッケージ NHKが独自どくじ調査ちょうさ

私わたしたちは、元もと消費しょうひ者しゃ庁ちょう表示ひょうじ対策たいさく課かの景品けいひん・表示ひょうじ調査ちょうさ官かんで、弁護士べんごしの渡辺わたなべ大だい祐ゆうさんとともに独自どくじ調査ちょうさを実施じっしした。

調査ちょうさでは、複数ふくすうの大手おおてECサイトのランキングやおすすめに表示ひょうじされる上位じょういの製品せいひんの中なかから、メーカーや成分せいぶん、形状けいじょうが偏かたよらないように40製品せいひんを選えらび、WEB広告こうこくやパッケージなどの表示ひょうじを確認かくにんした。

その結果けっか、渡辺わたなべさんは▼40製品せいひんのうち11製品せいひんが景品けいひん表示ひょうじ法ほうに、▼そのうち2製品せいひんは薬くすり機き法ほうでもそれぞれ問題もんだいとなる可能かのう性せいがあると指摘してきした。

景品けいひん表示ひょうじ法ほうでは、虚偽きょぎや誇大こだいな表示ひょうじで消費しょうひ者しゃを誤認ごにんさせるものは禁止きんしされ、食品しょくひんで「改善かいぜん」「予防よぼう」「治療ちりょう」など「薬くすりのような効果こうか効能こうのう」をうたった物ものは、薬くすり機き法ほうに違反いはんするおそれがある。

例たとえば、ある健康けんこう食品しょくひんの広告こうこくでは「身長しんちょうの伸のびを飛躍ひやく的てきにサポートします」という表現ひょうげんがあった。

渡辺わたなべさんは「これを飲のめば、身長しんちょうが著いちじるしく伸のびると、消費しょうひ者しゃに誤認ごにんさせるおそれがある」と指摘してきした。

また、別べつの痩身そうしん効果こうかをうたう機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひんの広告こうこくでは「腹部ふくぶすべての脂肪しぼうを落おとす」という表現ひょうげんが見みられた。

渡辺わたなべさんは「これは消費しょうひ者しゃ庁ちょうへの『届け出とどけで表示ひょうじ』の範囲はんいを超こえた、“はみ出はみだし表示ひょうじ”の可能かのう性せいがある」と指摘してきした。

また、こちらの「NHKの番組ばんぐみで特集とくしゅう」と表示ひょうじしていたヤフーの広告こうこく。

実際じっさいの番組ばんぐみでは「成分せいぶん」を取り上とりあげただけだったが、あたかもその製品せいひんが紹介しょうかいされたように見みえる。

メディアなどが「お墨付おすみつき」を与あたえたかのような表示ひょうじも優良ゆうりょう誤認ごにんのおそれがあるという。

そして、薬くすり機き法ほうでも問題もんだいとなる可能かのう性せいがあると指摘してきされた2製品せいひんの広告こうこくでは、健康けんこう食品しょくひんにもかかわらず、「精力せいりょく剤ざい」とか、「疲労ひろう回復かいふく」といった医薬品いやくひんのような効果こうかをうたっていた。

薬くすりなら問題もんだいないが、食品しょくひんであるサプリメントではこうした表記ひょうきは法律ほうりつで禁止きんしされている。

「消費しょうひ者しゃに過度かどな期待きたいを持もたせようとしている」と渡辺わたなべさんは指摘してきしている。

さらに取材しゅざいを進すすめると、ある広告こうこくには事実じじつとは異ことなる表示ひょうじがされていることも明あきらかに。

「○○医師いしも愛飲あいいん」というフレーズが写真しゃしんとともに掲載けいさいされていたが、医師いし本人ほんにんに直接ちょくせつ確認かくにんしたところ「商品しょうひんが送おくられてきて試ためしに飲のんだことはあるが、“愛飲あいいん”はしていない」と答こたえた。

この広告こうこくの製品せいひんの販売はんばい者しゃに取材しゅざいしたが、返事へんじはない。

また、目めのピント調整ちょうせいの向上こうじょうをうたうサプリメントのある広告こうこくは、現役げんえき眼科がんか医いとして掲載けいさいされている画像がぞうがそもそも医師いしとは関係かんけいのないモデルが演えんじたネットの写真しゃしん素材そざいで「画像がぞうはイメージです」などの注釈ちゅうしゃくも無なかった。

この広告こうこくは、さきほどの「NHKの番組ばんぐみで特集とくしゅう」の広告こうこくと、同おなじ製品せいひんのものだった。

この製品せいひんの販売はんばい企業きぎょうは私わたしたちの取材しゅざいに対にたいし、番組ばんぐみで特集とくしゅうされたという表示ひょうじや写真しゃしん素材そざいの使用しようについて「外注がいちゅう先さきによる広告こうこくであり、当社とうしゃの確認かくにんを経へていないものであることが確認かくにんされたので、速すみやかに表示ひょうじを修正しゅうせいするよう依頼いらいした。今こん運用うんようしているものは再度さいど確認かくにんのためすべて停止ていしし、外注がいちゅう先さきにすべて広告こうこくを提出ていしゅつしてもらい、チェックしたものを配信はいしんするようにしていく」としている。

渡辺わたなべ大だい祐ゆう弁護士べんごし

「やや誇張こちょうした、いわゆる“攻せめた”表現ひょうげんをしたほうが訴求そきゅう力りょくがあり、売うれてしまうという現実げんじつがあり、行き過いきすぎた表現ひょうげんをしてしまう企業きぎょうはあります。なかには、景品けいひん表示ひょうじ法ほう違反いはんの措置そち命令めいれいや課徴かちょう金きんの納付のうふ命令めいれいを受うけてでも、商品しょうひんを売り上うりあげたほうがいいと考かんがえる事業じぎょう者しゃもないとは言いい切きれません」

そもそも健康けんこう食品しょくひんって？

医薬品いやくひんのような効果こうか・効能こうのうをうたえない食品しょくひんだが、一定いっていの条件じょうけんを満みたした「保健ほけん機能きのう食品しょくひん」だけは、「おなかの調子ちょうしを整ととのえる」など健康けんこうの維持いじや促進そくしんにつながるという「機能きのう性せい」を表示ひょうじできる。

この保健ほけん機能きのう食品しょくひんには、国くにの審査しんさを受うけて表示ひょうじを許可きょかされる「特定とくてい保健ほけん用よう食品しょくひん＝トクホ」、すでに科学かがく的てき根拠こんきょが確認かくにんされたビタミンなど一部いちぶの栄養えいよう成分せいぶんを表示ひょうじできる「栄養えいよう機能きのう食品しょくひん」、事業じぎょう者しゃが安全あんぜん性せいと機能きのう性せいの科学かがく的てき根拠こんきょなどを消費しょうひ者しゃ庁ちょうに届け出とどけでる「機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひん」があり、小林こばやし製薬せいやくの紅べに麹こうじの成分せいぶんを含ふくむサプリメントは、機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひんだった。

保健ほけん機能きのう食品しょくひん以外いがいの「その他そのたのいわゆる健康けんこう食品しょくひん」では、そもそも機能きのう性せいの表示ひょうじは認みとめられていない。

機能きのう性せい表示ひょうじに根拠こんきょ無なしのサプリが…

去年きょねん6月つき、ある機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひんの広告こうこくに表示ひょうじされていた「機能きのう性せいの表示ひょうじ」に、根拠こんきょがないとされて、処分しょぶんされる事例じれいが初はじめて出でた。

福岡ふくおか市しの通販つうはん業者ぎょうしゃが販売はんばいしていた2つのサプリメントで「中性ちゅうせい脂肪しぼうを低下ていかさせる」や「血圧けつあつをぐーぐ-んと下さげる」などと表示ひょうじしていたが、これが優良ゆうりょう誤認ごにんにあたるとして措置そち命令めいれいを行おこなったのだ。

会社かいしゃ側がわは、機能きのう性せい表示ひょうじ成分せいぶん3つの有効ゆうこう性せいに関にかんする論文ろんぶんを根拠こんきょとして提出ていしゅつしたが、論文ろんぶん内ないで「効果こうかがあった」とされた成分せいぶん量りょうと比くらべ、製品せいひんに含ふくまれている成分せいぶん量りょうが少すくなかったことなどから「表示ひょうじに合理ごうり的てき根拠こんきょがない」とされた。

機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひんの届け出とどけでで出だされた論文ろんぶんが、根拠こんきょとして不十分ふじゅうぶんだと指摘してきされたのだ。

消費しょうひ者しゃ庁ちょうは、同おなじ根拠こんきょで届け出とどけでていた機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひん88製品せいひんについても調査ちょうさ。その後そのご、すべての製品せいひんについて撤回てっかいが申し出もうしでられたという。

機能きのう性せいの根拠こんきょの研究けんきゅう論文ろんぶんを調しらべてみると…

機能きのう性せいの根拠こんきょが十分じゅうぶんでないとされた製品せいひんが流通りゅうつうしている実態じったい。

機能きのう性せいの表示ひょうじの根拠こんきょとされる研究けんきゅう論文ろんぶんやその使い方つかいかたに問題もんだいがあり、広告こうこくの誇張こちょう表示ひょうじにつながっていると指摘してきする研究けんきゅうも発表はっぴょうされている。

ことし2月つき、染そめ小しょう英弘ひでひろ医師いしらの研究けんきゅうグループが発表はっぴょうした健康けんこう食品しょくひんの機能きのう性せいについての32の論文ろんぶんを無む作為さくいに抽出ちゅうしゅつして詳くわしく調しらべた。

すると少すくなくとも8件けんに誇張こちょう表示ひょうじがあったという。

例たとえば、ある健康けんこう食品しょくひんメーカーのサプリのパッケージには「肌はだ（顔かお）のうるおい、保ほ湿しめ力ちからを守まもります」と書かかれていた。

その根拠こんきょとなっていた臨床りんしょう試験しけんの論文ろんぶんを確認かくにんすると、試験しけんでは、顔かおと手ての「水分すいぶん量りょう」と「蒸散じょうさん量りょう」の変化へんかを４よん週間しゅうかん後ごと８はち週間しゅうかん後ごの、８やっつの項目こうもくで調しらべていた。

その結果けっか、有意ゆうい差さがあったのは「顔かおの蒸散じょうさん量りょう・8週間しゅうかん後ご」の1つの項目こうもくだけだった。

研究けんきゅうグループ 染そめ小しょう英弘ひでひろ医師いし

「臨床りんしょう試験しけんとしては8項目こうもくも評価ひょうかしているということは大吉だいきちが確実かくじつに出でるようにくじ引くじびきをたくさん用意よういするようなものです。実際じっさいに保ほ湿しめ機能きのうがあるのかもしれませんが、偶然ぐうぜん有意ゆうい差さが出でた可能かのう性せいを排除はいじょできないと思おもいます。広告こうこくではこの臨床りんしょう試験しけんの結果けっかから保ほ湿しめ力ちからがあることが証明しょうめいされたとはっきり書かいてはいませんが、見みる人ひとはふつう科学かがく的てきに証明しょうめいされたと考かんがえてしまう可能かのう性せいがあるため誇張こちょう表示ひょうじだと考かんがえられます」

また、飲料いんりょうメーカーが行おこなった目めの疲労ひろうに関にかんする臨床りんしょう試験しけんでは、59人にんの被験者ひけんしゃを対象たいしょうに6つの項目こうもくで試験しけんを行おこなっていたが、いずれも有意ゆうい差さは確認かくにんされなかった。

そして、聞き取ききとり調査ちょうさで、目めの疲労ひろう度どが平均へいきんより高たかかった25人にんに絞しぼって、有意ゆうい差さを確認かくにんすると、「光ひかり点滅てんめつの識別しきべつ」という1つの項目こうもくで改善かいぜんした結果けっかが出でた。

製品せいひんの広告こうこくでは、この結果けっかを引用いんようして「目めの疲労ひろう感かんを軽減けいげんする」としており、染そめ小しょう医師いしはこうした誇張こちょうされた表示ひょうじは消費しょうひ者しゃに誤解ごかいを与あたえかねないと指摘してきする。

研究けんきゅうグループ 染そめ小しょう英弘ひでひろ医師いし

「機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひんはたくさん世よに出でていますが、そのすべてが信頼しんらいに足たるかというと、残念ざんねんながらそうではないと現時点げんじてんでは言いわざるをえないと思おもいます。消費しょうひ者しゃ庁ちょうも事後じごチェックなどはしていますが、それでも改善かいぜんの余地よちがあるものがこれだけ多おおいということは、何なにか手てを打うたなければいけないのではないでしょうか」

※この飲料いんりょうメーカーではその後そのご、目めの疲つかれを自覚じかくしている人ひとを対象たいしょうにした臨床りんしょう試験しけんを行おこない、機能きのう性せいの根拠こんきょとして追加ついかで届け出とどけでている。

“研究けんきゅうレビュー”の信頼しんらい性せいは…

機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひんを届け出とどけでるにあたり、事業じぎょう者しゃは「研究けんきゅうレビュー」か「製品せいひんを使つかった臨床りんしょう試験しけんの論文ろんぶん」を作成さくせいし、消費しょうひ者しゃ庁ちょうに提出ていしゅつする必要ひつようがある。

このうち「研究けんきゅうレビュー」は、過去かこに発表はっぴょうされた機能きのう性せいに関にかんする論文ろんぶんや研究けんきゅうを世界中せかいじゅうから検索けんさくし、集あつめて、その科学かがく的てき根拠こんきょを評価ひょうかするものだ。

届け出とどけでるのは、製品せいひんを販売はんばいしたい事業じぎょう者しゃや機能きのう性せい関与かんよ成分せいぶんの製造せいぞうメーカー、代行だいこう業者ぎょうしゃなど、さまざま。

ただ、「研究けんきゅうレビュー」を提出ていしゅつすれば、企業きぎょうはコストのかかる臨床りんしょう試験しけんなどを自社じしゃで行おこなう必要ひつようはない。

現在げんざい機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひんの9割わり以上いじょうの届け出とどけでに「研究けんきゅうレビュー」が使つかわれている。

小林こばやし製薬せいやくの「紅べに麹こうじコレステヘルプ」も、「研究けんきゅうレビュー」で届け出とどけでされていた。

東京とうきょう農業のうぎょう大学だいがくの上岡うえおか洋ひろし晴はれ教授きょうじゅの研究けんきゅうグループは、この「研究けんきゅうレビュー」の「信頼しんらい性せい」が低下ていかしていると指摘してきする。

上岡うえおか教授きょうじゅは、2022年ねん4月つき1日にちから10月つき31日にちまでに届け出とどけでがあった研究けんきゅうレビュー519編へんの中なかからランダムに抽出ちゅうしゅつした40編へんのレビューの「信頼しんらい性せい」を国際こくさい的てきな評価ひょうかツールで調査ちょうさした。

内容ないようは▽「レビューの実施じっし前まえに、レビュー方法ほうほうを事前じぜんに登録とうろくして、公表こうひょうしていたか」▽「包括ほうかつ的てきに文献ぶんけんを検索けんさくしたか」▽「除外じょがいした研究けんきゅうリストを明示めいじして、除外じょがい理由りゆうを示しめしたか」など16項目こうもく。

その結果けっか、95％にあたる38編へんが、信頼しんらい性せいについて「極きわめて低ひくい」という評価ひょうかとなった。残のこる2編へんも「低ひくい」という評価ひょうかだった。

上岡うえおか教授きょうじゅは、過去かこにも▼制度せいどが始はじまった2015年ねんと▼2017年ねんから2018年ねんにかけて消費しょうひ者しゃ庁ちょうに届け出とどけでされた「研究けんきゅうレビュー」の「質しつ」を、別べつの評価ひょうかツールを使つかって調しらべているが、比較ひかくの結果けっか、新あらたに届け出とどけでされたレビューのほうが、その「書き方かきかた」や「方法ほうほう」の質しつが下さがっていると指摘してきしている。

なぜなのか？

上岡うえおか教授きょうじゅは、あくまで「推測すいそく」と前置まえおきしつつ、調査ちょうさから見みえてきた、ある可能かのう性せいを指摘してきした。

東京とうきょう農業のうぎょう大学だいがく 上岡うえおか洋ひろし晴はれ教授きょうじゅ

「2017年度ねんどに爆発ばくはつ的てきに届け出とどけでが増ふえてきた。その中なかで、前まえに出でたレビューを見みて『この程度ていどで消費しょうひ者しゃ庁ちょうが届け出とどけでを受うけるのなら、それをマネして、形かたちを整ととのえればいいのでは』と、伝言でんごんゲームのような形かたちでレビューが書かかれ、不十分ふじゅうぶんな記載きさいのものも増ふえてきたのではないかと。しっかり書かく必要ひつようがあるのに、どれもずいぶんスリムで簡略かんりゃく化かしているんです」

「レビューの方法ほうほう論ろんの質しつが低ひくいということは、機能きのう性せいの効果こうかがないという可能かのう性せいを含ふくむことを意味いみする。実じつは機能きのう性せいがないものを消費しょうひ者しゃが購入こうにゅうしているかもしれないのです」

こうした現状げんじょうについて、健康けんこう食品しょくひんに関連かんれんする600社しゃ以上いじょうが加盟かめいしている団体だんたいに取材しゅざいすると、次つぎのように答こたえた。

日本にっぽん健康けんこう・栄養えいよう食品しょくひん協会きょうかい

「制度せいどの開始かいしから、届け出とどけで事業じぎょう者しゃへの支援しえんを行おこなって参まいりましたが、さまざまな課題かだいが指摘してきされていることについて真摯しんしに受け止うけとめております。届け出とどけでの資料しりょうの科学かがく的てき根拠こんきょの質しつの向上こうじょうや、広告こうこく表示ひょうじで誤認ごにんを与あたえないための助言じょげんに引き続ひきつづき取り組とりくんで参まいります」

私わたしたちはどうすれば？

不適切ふてきせつな広告こうこく表示ひょうじや、根拠こんきょとなる論文ろんぶんの疑問ぎもんなどが指摘してきされる中なか、私わたしたち消費しょうひ者しゃは、何なにをもって健康けんこう食品しょくひんを選えらべばいいのか。

広告こうこく調査ちょうさを監修かんしゅうした渡辺わたなべ弁護士べんごしは、例たとえば機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひんであれば、消費しょうひ者しゃ庁ちょうのホームページで届け出とどけで情報じょうほうを検索けんさくし、広告こうこくの表現ひょうげんが行き過いきすぎていないか確認かくにんするなど、広告こうこくの表示ひょうじをうのみにしないことだと語かたった。

渡辺わたなべ大だい祐ゆう弁護士べんごし

「サプリメントは医薬品いやくひんではないことを理解りかいしたうえで、表示ひょうじをよく見みることを心こころがけてほしいです。健康けんこうの維持いじというサプリメント本来ほんらいの効果こうかを理解りかいしたうえで、広告こうこくの表示ひょうじが怪あやしいと感かんじたら、自分じぶん自身じしんで調しらべてみる、という心構こころがまえでいることが大事だいじになります」

機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひんは、消費しょうひ者しゃ庁ちょうのホームページにある「機能きのう性せい表示ひょうじ食品しょくひんの届出とどけで情報じょうほう検索けんさく」というデータベースで、商品しょうひん名めいや成分せいぶん名めいなどを入力にゅうりょくし、検索けんさくを押おせば、届け出とどけでの内容ないようを確認かくにんすることができる。

検索けんさくの結果けっか、表示ひょうじされた一覧いちらんは少すこし複雑ふくざつに見みえるかもしれないが、比較的ひかくてき分わかりやすい項目こうもくとして「表示ひょうじしようとする機能きのう成分せいぶん」の欄らんがある。

ここに表示ひょうじされている文言もんごんが、基本きほん的てきには「広告こうこくとして表示ひょうじできる機能きのう性せい」となるので、これを大おおきく超こえるような表現ひょうげんをしていないかを、確認かくにんしてみると一ひとつの目安めやすになる。

一方いっぽうで、食品しょくひん安全あんぜんに詳くわしい専門せんもん家かは、一般いっぱんの消費しょうひ者しゃがデータベースを見みて根拠こんきょが信用しんように値あたいするものなのか判断はんだんするのは難むずかしい側面そくめんもあり、私わたしたち自身じしんが食品しょくひんへの正ただしい知識ちしきを身みにつけることが大切たいせつだと指摘してきする。

立命館大学りつめいかんだいがく 畝うね山さん智香子ちかこ 客員きゃくいん研究けんきゅう員いん

「現状げんじょうでは、食品しょくひんはもともと何なにをしてもいい安全あんぜんなものではないことや、リスクに関にかんする情報じょうほうは十分じゅうぶん伝つたわっていないと思おもいます。そういう状況じょうきょうを改善かいぜんするのは難むずかしいですが、企業きぎょうを100％信しんじるでも消費しょうひ者しゃの理解りかいを求もとめるだけでもなく、社会しゃかい全体ぜんたいで健康けんこう食品しょくひんへの理解りかいを深ふかめていくことが大切たいせつです」

健康けんこう食品しょくひんは、あくまで健康けんこうの維持いじを補おぎなうものであって、病気びょうきの治療ちりょうにつながるものではない。

足たりない栄養素えいようそばかりに気きをとられるのではなく、本当ほんとうにその健康けんこう食品しょくひんが必要ひつようかどうかを考かんがえることが大切たいせつだ。