(1)人の発する音声のまとまりで, その社会に認められた意味を持っているもの。 感情や思想が, 音声または文字によって表現されたもの。 言語。
(2)ものの言い方。 ことばづかい。
「丁寧な~を使いなさい」
(3)言語を文字に書き表したもの。 文字。
(4)語彙(ゴイ)。 単語。
(5)謡物・語り物の中で, 節をつけない部分。 《詞》
(6)和歌に対して, 散文で書かれた部分。 また, 和歌の詞書(コトバガキ)。 絵巻物の詞書。
(7)意味。 理性。 ロゴス。
「はじめに~ありき」
(8)(「てにをは」に対して)体言・用言などの総称。 詞(シ)。
(9)語気。 ものの言いぶり。
「思わず強い~になった」
(10)ことばのあや。 たとえごと。
「『どりやどりや塵を結んでやらう…』『なう, 腹立ちや腹立ちや, それは~でこそあれ』/狂言・引括(虎寛本)」
<i>~が過・ぎる</i>
節度を越えたことを言う。 言うべきでない事まで言う。
<i>~尻((コトバジリ))を捕ら・える</i>
他人の適切さを欠いた言い方につけこんで, 皮肉を言ったり批判したりする。
「~・えて言いがかりをつける」
<i>~涼・し</i>
ものの言い方がいさぎよい。 きっぱりしたものの言い方である。
「~・しく奏せらる/浄瑠璃・百合若大臣」
<i>~なお耳にあり</i>
〔左氏伝(文公七年)〕
かつて聞いた言葉が, 今でもまだはっきり耳に残っている。
<i>~に甘(アマ)・える</i>
相手の好意をそのまま受ける。 多く「おことばに甘える」の形で用いる。
「お~・えて, 先に帰らせていただきます」
<i>~に余(アマ)・る</i>
言葉に言い尽くせない。
「彼の親切は~・るものがある」
<i>~に花が咲・く</i>
話がはずむ。
<i>~に花を咲か・す</i>
(1)話がはずむ。
(2)言葉巧みに話す。
「一々に~・せ理に玉を連ねて答へける/太平記 17」
<i>~に針を含・む</i>
相手を傷つけるような言葉を言う。
<i>~の下から</i>
言い終わるか終わらないうちに。 舌の根のかわかぬうちに。
<i>~は国の手形(テガタ)</i>
言葉のなまりは, その人の生国を表すしるしであるということ。
<i>~は心の使い</i>
心に思っていることは, 自然に言葉に表れてしまうものであるということ。
<i>~を返・す</i>
(1)返答する。
「~・すすきも与えずまくしたてる」
(2)口ごたえをする。 言い返す。
「お~・すようで恐縮ですが」
<i>~を掛・ける</i>
人にものを言いかける。 話しかける。
「後輩に~・ける」「選手に激励の~・ける」
<i>~を飾・る</i>
(1)美辞麗句を使う。
(2)巧みな言い回しでごまかす。
「~・り鷺を烏といひくろめんと/滑稽本・根南志具佐」
<i>~を交わ・す</i>
互いに口をききあう。
「近所に住んでいながら~・したこともない」
<i>~を下(サ)・ぐ</i>
「言葉を卑(ヒク)くす」に同じ。
「家来といはん武士に手をさげ, ~・げ髪の/浄瑠璃・関八州繋馬」
<i>~を番(ツガ)・う</i>
口頭で約束をする。
「身請けはおれぢや~・うた/浄瑠璃・寿の門松」
<i>~を継(ツ)・ぐ</i>
さらに言葉をつけ加える。
<i>~を尽く・す</i>
あらん限りの言葉を用いて表現する。 一生懸命に, いろいろ語る。
「~・して説得する」
<i>~を濁(ニゴ)・す</i>
はっきりと言わずにぼかす。 口をにごす。
「肝心な点については~・した」
<i>~を残・す</i>
(1)言い置いて去る。 また, 後世のために言い置く。
(2)言いたいこと全部を言わないでおく。
<i>~を呑(ノ)・む</i>
(1)「声を呑む」に同じ。
(2)さしさわりを感じて, 言いかけてやめる。
<i>~を吐(ハ)・く</i>
言う。 しゃべる。
<i>~を挟(ハサ)・む</i>
他人の話に割り込む。
<i>~を卑(ヒク)くす</i>
へりくだったものの言い方をする。 辞を低うする。 言葉を下ぐ。
「世話人は辞(コトバ)を卑うして挨拶せり/義血侠血(鏡花)」
Angie Ymnk commented