このうち西部・ワシントン州シアトル郊外のベルビューでは地球環境について考える「アースデー」を前に20日、地元の環境団体がイベントを開きました。
会場となった大学の中庭にはアメリカのテスラや日産自動車、韓国のキア自動車など10台のEVが並べられ、ドライバーが集まった教職員や学生に価格や性能、充電の頻度、維持費などを詳しく説明しながらその魅力をアピールしていました。
訪れた学生は「アメリカの西海岸では多くのEVが走っている。EVは地球温暖化を抑えることにつながるし、いま乗っているガソリン車から早く乗り換えたいと思っている」と話していました。
イベントに参加したEVのドライバーは「環境面からEVがベストだと考えている。まだ価格が高く普及にはしばらく時間がかかると思うが手ごろな価格のEVも次々と販売されるようになっており、メンテナンスに掛かる費用も少なくて済むのがメリットだ」と話していました。
1か月前にEVを購入したという男性は「ニューヨークやニュージャージー州には大気汚染や騒音が多く、それがEVを購入した理由だ。大気汚染を避けたかった。EVの価格が手ごろになれば人々はもっとEVを買いたくなり大気汚染や騒音を減らせる」と話していました。 また、2年前にEVを購入したという男性は「ガソリン代の節約が第一の課題で、それが購入の決め手だった。今までのところ私は満足している。たった1つ不便なのは遠出するとき充電には45分かかるので出かけた場所で十分に時間があるか確認しなければならないことだ」と話していました。
その柱の1つがEVの税制優遇措置です。 EVの購入者が最大7500ドル、日本円でおよそ100万円の税制優遇を受けられる仕組みです。 アメリカ国内でEVの普及を強力に後押しするとともにサプライチェーン全体で世界をリードする中国に対抗するねらいがあります。
またEVの心臓部と言われる蓄電池に欠かせない重要鉱物の抽出、加工はアメリカと、アメリカがFTA=自由貿易協定を結ぶ国などに限定。 蓄電池の部材は北米3か国での製造・組み立てが条件でその割合は徐々に引き上げられ2029年には100%になります。 EV産業の川上から川下まで露骨な中国外しを進めています。
主にアメリカのメーカーが対象となっていますが、中国だけでなく日本や韓国などのメーカーのEVは対象外となりました。 背景には中国への対抗だけでなく、アメリカ国内にEV関連の投資を呼び込み産業振興や雇用創出につなげたいねらいがあるとみられます。 日本政府などは自国メーカーが不利になるとしてアメリカに見直しを求め、重要鉱物の加工などを日本で行った場合でも最終的に北米でEVを組み立てていれば新たに優遇措置の対象となりました。 しかし、北米での最終組み立てや、蓄電池の部材は北米3か国での製造、組み立てを条件とすることは変わらず、現時点では日本の多くのEVにとって厳しい競争条件となります。
このうち、テスラはアメリカの西部カリフォルニア州と南部テキサス州の2か所に工場があるほか、国外では、中国の上海とドイツのベルリンに生産拠点があります。 GM=ゼネラル・モーターズのEVを生産する工場はアメリカの中西部ミシガン州の2か所や南部テネシー州、それにメキシコ北部のコアウイラ州にあります。 フォードのEVを生産する工場もアメリカの中西部ミシガン州、中西部ミズーリ州、メキシコのメキシコ州にあります。 アメリカのメーカーは北米3か国にEVの工場が集中していることで、バイデン政権が打ち出したEVの税制優遇措置の恩恵を受けることにつながり、競争上有利になっています。
このうち、電気自動車メーカーのテスラはセダンタイプやSUV=多目的スポーツ車などあわせて4つの車種を展開しています。 2030年までに年間の生産台数を2000万台に引き上げるという目標を掲げていて、生産体制を強化するため50億ドル以上、日本円にしておよそ6700億円を投資し、メキシコ北部に新工場を建設する計画です。 また、1回の充電でおよそ800キロ走行できるEVトラックを開発し、去年12月に、アメリカの大手飲料メーカー、ペプシコ向けに納車を開始したと明らかにしました。 テスラは商用車の展開にも力を入れ始めています。 GMは2035年までにガソリン車の生産、販売を段階的に取りやめ走行中に排ガスを出さないEVなどに切り替えることを目指しています。 これまでにEVを4車種販売し、ことし以降も6車種を投入して今後も車種を増やしていく計画です。 フォードはアメリカで人気のあるピックアップトラックのEVをはじめ、3車種のEVを販売しています。 EVの需要に応えるため生産能力を2026年末までに年間200万台以上に増やすことを目指していて、EVと電池の製造と開発に去年から2026年にかけて500億ドル以上、日本円で6兆7000億円以上を投資する計画です。 フォードでEVを担当するトム・サマービル氏は「アメリカでEVの需要は非常に強い。購入には消費者が変化を起こす必要があるが敷居はどんどん低くなっている。EVは人々の生活を補完し、主要な交通手段に適していて環境や消費者に多くの利益がある。それを手伝うのが私たちの目標の1つだ」と話していました。
EV所有者「価格手ごろになれば大気汚染など減」
「EVの税制優遇」 最大約100万円の税制優遇
北米3か国で最終組み立て条件 中国外し
優遇税制の対象 日本や韓国などのメーカーも対象外に
米自動車メーカーのEV工場 北米3か国に集中
米自動車メーカーの販売戦略