後発こうはつ地震じしん注意ちゅうい情報じょうほう 運用うんよう開始かいし1年ねん 約やく7割わりが“聞きいたことない”回答かいとう

「北海道ほっかいどう・三陸さんりく沖おき後発こうはつ地震じしん注意ちゅうい情報じょうほう」は、北海道ほっかいどうから岩手いわて県けんにかけての沖合おきあいにある「千島ちしま海溝かいこう」と「日本にっぽん海溝かいこう」、それにその周辺しゅうへんでマグニチュード7クラスの地震じしんが起おきた場合ばあいにその後そのごの巨大きょだい地震じしんの発生はっせいに注意ちゅういを呼よびかける情報じょうほうで、去年きょねん、運用うんようが始はじまりました。

16日にちで1年ねんになるのを前まえにNHKは防災ぼうさい対応たいおうが求もとめられる北海道ほっかいどうと青森あおもり県けん、岩手いわて県けん、宮城みやぎ県けん、福島ふくしま県けん、茨城いばらき県けん、千葉ちば県けんの対象たいしょう地域ちいきに住すむ1000人にんに、11月つきインターネットでアンケートを行おこないました。

その結果けっか、「北海道ほっかいどう・三陸さんりく沖おき後発こうはつ地震じしん注意ちゅうい情報じょうほう」の名称めいしょうについて、69％が「聞きいたことがない」と答こたえ、多おおくの人ひとに知しられていないことがわかりました。

一方いっぽう、「聞きいたことがある」と回答かいとうした31％の人ひとたちの間までも理解りかいが十分じゅうぶん進すすんでいません。

「北海道ほっかいどう・三陸さんりく沖おき後発こうはつ地震じしん注意ちゅうい情報じょうほう」が出でた場合ばあい、巨大きょだい地震じしんが起おきる確率かくりつは1％程度ていどで、気象庁きしょうちょうは、高たかい精度せいどで予測よそくしたり発生はっせいを予知よちしたりする情報じょうほうではないと強調きょうちょうしていますが、ほぼ半数はんすう（49％）が発生はっせい確率かくりつを「50％程度ていど」と回答かいとうしたほか「ほぼ100％」と答こたえた人ひとも3割わり（30％）でした。

また、情報じょうほうが出でた場合ばあいにどのように行動こうどうしたらいいかについて「知しらない」と答こたえた人ひとは46％にのぼりました。

1000人にんに行いったアンケートでは、この情報じょうほうが発表はっぴょうされたらどのような行動こうどうを取とるかについても複数ふくすう回答かいとうで聞ききました。

その結果けっか、最もっとも多おおかったのが「家族かぞくとの連絡れんらく手段しゅだんを確認かくにんする」と、「非常ひじょう持ち出もちだし品ひんを常つねに手元てもとに置おく」でそれぞれ46％だった一方いっぽう、この情報じょうほうで求もとめられていない「指定していされた避難ひなん所しょへの事前じぜん避難ひなん」を選えらんだ人ひとも43％に達たっしました。

さらに、「何なにもしないと思おもう」と答こたえた人ひとも15％にのぼりました。

このほか、8割わり余あまり（83％）が「国くにや自治体じちたいによる周知しゅうちが進すすんでいない」と答こたえていて、巨大きょだい地震じしんや津波つなみへの備そなえに多おおくの課題かだいが残のこっている実態じったいが明あきらかになりました。

「北海道ほっかいどう・三陸さんりく沖おき後発こうはつ地震じしん注意ちゅうい情報じょうほう」とは

「北海道ほっかいどう・三陸さんりく沖おき後発こうはつ地震じしん注意ちゅうい情報じょうほう」は、北海道ほっかいどうから岩手いわて県けんにかけての沖合おきあいの海溝かいこうで起おきる巨大きょだい地震じしんに備そなえ、注意ちゅういを呼よびかける情報じょうほうです。

北海道ほっかいどう沖おきの「千島ちしま海溝かいこう」と三陸さんりく沖おきの「日本にっぽん海溝かいこう」では、過去かこにマグニチュード7から9クラスの地震じしんが繰り返くりかえし起おきていて、最大さいだいクラスの巨大きょだい地震じしんの発生はっせいが切迫せっぱくしていると考かんがえられています。

最大さいだいクラスの巨大きょだい地震じしんが起おきると国くにの想定そうていでは北きた日本にっぽんの太平洋たいへいよう側がわを中心ちゅうしんに巨大きょだいな津波つなみが押し寄おしよせ、死者ししゃは最悪さいあくの場合ばあい、10万まん人にんから20万まん人にん近ちかくに達たっするとしています。

過去かこの巨大きょだい地震じしんの前まえには、より規模きぼの小ちいさな大だい地震じしんが起おきたこともあり、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいをもたらした2011年ねんの巨大きょだい地震じしんでは2日にち前まえにマグニチュード7.3の地震じしんが起おきていました。

このため、気象庁きしょうちょうは想定そうていされる震源しんげん域いきやその周辺しゅうへんでマグニチュード7クラスの地震じしんが発生はっせいした場合ばあいに、おおむね2時間じかん後ごをめどに後発こうはつ地震じしん注意ちゅうい情報じょうほうを発表はっぴょうし、その後そのごの巨大きょだい地震じしんの発生はっせいがふだんよりも高たかまっていると注意ちゅういを呼よびかけます。

対象たいしょうは、3メートル以上いじょうの津波つなみや震度しんど6弱じゃく以上いじょうの揺ゆれなどが想定そうていされている北海道ほっかいどうと青森あおもり県けん、岩手いわて県けん、宮城みやぎ県けん、福島ふくしま県けんそれに茨城いばらき県けんと千葉ちば県けんの、太平洋たいへいよう側がわを中心ちゅうしんとした182の市町村しちょうそんです。

事前じぜんの避難ひなんなどは呼よびかけず、発表はっぴょうから1週間しゅうかん程度ていどは日常にちじょうの生活せいかつを維持いじしつつ、すぐに避難ひなんできるよう備そなえておくことなどを求もとめています。

また、企業きぎょうや地域ちいきに対にたいしては津波つなみや土砂どしゃ災害さいがいのおそれのある場所ばしょでの作業さぎょうを控ひかえるほか、地域ちいきに住すむ高齢こうれい者しゃへの声こえかけや連絡れんらく手段しゅだんを改あらためて確認かくにんするなどとしています。

防災ぼうさい対策たいさくが行おこなわれれば、国くには死者ししゃを8割わりは減へらせるとしています。

この情報じょうほうが発表はっぴょうされる頻度ひんどは、2年ねんに1回かい程度ていどと見込みこまれていますが、巨大きょだい地震じしんが起おきる確率かくりつは100回かいに1度ど程度ていどと低ひくいうえ、防災ぼうさい対応たいおうを呼よびかける1週間しゅうかんが経過けいかしたあとに大だい規模きぼな地震じしんが起おきる可能かのう性せいもあるなど不ふ確実かくじつ性せいが高たかいとしています。

専門せんもん家か「知しっている人ひとが思おもったより少すくない」

災害さいがい情報じょうほうが専門せんもんでアンケートを監修かんしゅうした東北とうほく大学だいがくの佐藤さとう翔しょう輔准じゅん教授きょうじゅは「運用うんよう開始かいしから1年ねんがたち、これまで国くにや自治体じちたいがさまざまな場面ばめんで広報こうほうしてきたと思おもうが、情報じょうほうを知しっていた人ひとが思おもっていたよりも少すくないという印象いんしょうだ」と述のべました。

「北海道ほっかいどう・三陸さんりく沖おき後発こうはつ地震じしん注意ちゅうい情報じょうほう」が浸透しんとうしていない理由りゆうについては、千島ちしま海溝かいこうと日本にっぽん海溝かいこうで想定そうていされる巨大きょだい地震じしんが知しられていないことや運用うんようが始はじまってから1度ども情報じょうほうが発表はっぴょうされていないことなどが考かんがえられるとしています。

そのうえで「情報じょうほうの内容ないようをよくわかっていない人ひとが多おおい中なかで、実際じっさいに情報じょうほうが出だされたらパニックになり、各かく方面ほうめんに影響えいきょうが出でるのではないか」と述のべ、懸念けねんを示しめしました。

一方いっぽうで、情報じょうほうが浸透しんとうすれば大おおきな効果こうかが期待きたいできるとして、「国くにや自治体じちたいは情報じょうほう名めいだけでなくなぜこういう情報じょうほうが必要ひつようなのかや、情報じょうほうが出だされた際さいに自治体じちたいは何なにができて何なにができないのか、そして住民じゅうみんがとるべき行動こうどうは何なになのかをセットで学まなべる機会きかいを設もうけて浸透しんとうを進すすめていく必要ひつようがある」と指摘してきしています。

アンケート結果けっか 気象庁きしょうちょう「重おもく受け止うけとめる」

アンケートで7割わり近ちかくが「北海道ほっかいどう・三陸さんりく沖おき後発こうはつ地震じしん注意ちゅうい情報じょうほう」の名称めいしょうを「聞きいたことがない」と回答かいとうしたことについて、気象庁きしょうちょう地震じしん津波つなみ防災ぼうさい推進すいしん室しつの海老田えびた綾あや貴き室長しつちょうは、「この数字すうじを重おもく受け止うけとめている」と述のべました。

また、この情報じょうほうの浸透しんとうの難むずかしさについて、必かならず後発こうはつの巨大きょだい地震じしんが起おきるわけではなく不ふ確実かくじつ性せいが高たかいことや、情報じょうほうが出でたときの防災ぼうさい対応たいおうがわかりにくいことなどを挙あげました。

一方いっぽうで、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの2日にち前まえにマグニチュード7クラスの地震じしんが起おきた事実じじつもあるとして、後発こうはつの巨大きょだい地震じしんに注意ちゅういを呼よびかけるこの情報じょうほうの意義いぎを強調きょうちょうしたうえで「今いままで以上いじょうに関係かんけい省庁しょうちょうと連携れんけいして普及ふきゅう・啓発けいはつをさらに進すすめたい、このひと言ひとことに尽つきると思おもう。1人にんでも多おおくの人ひとにこの情報じょうほうの名称めいしょうと内容ないようを知しってもらうために努力どりょくしていきたい」と話はなしていました。