映像には、兵士たちがバスの中で疲れ切った表情で黙って座っている様子が写っています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、ウクライナ公共放送のインタビューで兵士たちについて「彼らは軍の司令部から、みずからの命を救うため製鉄所の外に自由に出られるというメッセージを受け取った」と述べました。
そして、民間人などはすでに全員が製鉄所から退避したとしたうえで「そのほかの人々も、おそらく数時間のうちに全員の退避が終わるだろう」と述べました。
そのうえで、ショイグ国防相がプーチン大統領に、製鉄所の制圧とマリウポリ全域の掌握を報告したとしています。
一方で「ウクライナ軍は防衛作戦を展開し、敵に人員と装備の面で大きな損害を与えている」と述べ、前日にドネツク州とルハンシク州でロシア軍の攻撃を合わせて14回撃退し、戦車8台を破壊するなど、侵攻を食い止めているとしました。
映像では、上空から飛んできたミサイルのようなものが建物を直撃して大規模な爆発が起き、大量の煙が立ち上り建物の破片が広い範囲に飛び散っています。 また、建物のそばを走っていた車が急停車し、降りてきた人たちが走って逃げる様子も写っています。 地元メディアによりますと、この爆発で11歳の子どもを含む7人がけがをしたということです。 ゼレンスキー大統領は、爆発はロシアのミサイルによる攻撃だとしたうえで「こうした標的を選ぶ連中の頭の中は一体どうなっているのだろう。絶対的な悪、絶対的な愚かさだ」と投稿し、強く非難しています。
この中で、プーチン大統領は「ロシアに対するサイバー攻撃は年々、増えているが、ウクライナへの軍事作戦を始めたあと、さらに深刻化し、規模も大きくなっている。情報空間でロシアに対する戦争が始まっている」と述べ、軍事侵攻の後、ロシアに対するサイバー攻撃が深刻化していると明らかにしました。 また「ロシアに対する制裁で、外国の情報技術やソフトウエアが規制され、ロシアの機器の技術サポートが一方的に停止された」と述べ、欧米側の制裁措置を批判しました。 そのうえで、プーチン大統領は「われわれへのサイバー攻撃や制裁による攻撃は失敗したと言える。われわれはこの攻撃に対し準備していたからだ」と述べたうえで、関係閣僚に対して、ロシアの情報セキュリティーの対策をさらに強化するよう指示しました。
このうち256人は子どもだとしています。 地域別では、東部のドネツク州とルハンシク州で2119人、キーウ州や東部のハルキウ州などそのほかの地域で1719人の死亡がそれぞれ確認されているということです。 また、けがをした市民は4351人に上るとしています。 ただ国連人権高等弁務官事務所は、東部のマリウポリなどでの死傷者については、まだ確認が取れていないなどとして、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るという見方を示しています。
ロシア国防省 “マリウポリ全域を掌握”
ロシア国防相“西部に部隊編成予定” 北欧2か国NATO加盟申請で
ウクライナ国防省 “敵に大きな損害を与えている”
ゼレンスキー大統領 “文化施設にミサイル” 強く非難
プーチン大統領 “ロシアへのサイバー攻撃が深刻化”
ウクライナ 少なくとも3838人の市民死亡 256人は子ども 国連