来年度らいねんど予算よさん 概算がいさん要求ようきゅう 過去かこ最大さいだい105兆ちょう円えん程度ていどに

このうち要求ようきゅう額がくが最もっとも多おおい厚生こうせい労働ろうどう省しょうは医療いりょうや介護かいごといった「社会しゃかい保障ほしょう費ひ」がさらに膨ふくらみ、過去かこ最大さいだいの32兆ちょう6234億おく円えんを要求ようきゅうしました。

また、防衛ぼうえい省しょうは宇宙うちゅうやサイバーといった領域りょういきの防衛ぼうえい能力のうりょくを強化きょうかするため過去かこ最大さいだいの５ご兆ちょう3223億おく円えんを求もとめました。

国土こくど交通こうつう省しょうは南海なんかいトラフの巨大きょだい地震じしんや首都しゅと直下ちょっか地震じしんへの対策たいさくとして津波つなみに備そなえた堤防ていぼうや、帰宅きたく困難こんなん者しゃを受け入うけいれる施設しせつなどを整備せいびする費用ひようを盛り込もりこみ、７なな兆ちょう101億おく円えんを要求ようきゅうしました。

このほか国債こくさいの償還しょうかんや利払りばらいのための「国債こくさい費ひ」は、今年度こんねんどの予算よさんより１いち兆ちょう4000億おく円えん余あまり多おおい、24兆ちょう9746億おく円えんとなります。

この結果けっか、来年度らいねんど予算よさんの概算がいさん要求ようきゅうは一般いっぱん会計かいけいの総額そうがくで６ろく年ねん連続れんぞくで100兆ちょう円えんを超こえ、過去かこ最大さいだいの105兆ちょう円えん程度ていどとなる見通みとおしです。

これは最終さいしゅう的てきに初はじめて100兆ちょう円えんを超こえる規模きぼとなった今年度こんねんど予算よさんの概算がいさん要求ようきゅう段階だんかいでの額がくをおよそ２に兆ちょう円えん、上回うわまわっています。

さらに消費しょうひ税率ぜいりつの引き上ひきあげに伴ともなう景気けいき対策たいさくなどは年末ねんまつまでに別途べっと、決きめることにしていて、歳出さいしゅつ拡大かくだいへの圧力あつりょくが強つよまる中なか、今後こんごの予算よさん編成へんせいで歳出さいしゅつをどう抑制よくせいしていくかが課題かだいとなります。

各かく省庁しょうちょうの主おもな施策しさく

来年度らいねんど予算よさんの概算がいさん要求ようきゅうで各かく省庁しょうちょうが提出ていしゅつした主おもな事業じぎょうの内容ないようです。

国土こくど交通こうつう省しょうは、豪雨ごうう災害さいがいなどに備そなえるため、ダムの整備せいびや堤防ていぼうのかさ上あげなどの水害すいがい対策たいさくとして5623億おく円えんを要求ようきゅうしました。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、シベリアに抑留よくりゅうされた日本人にっぽんじんの遺骨いこつを取り違とりちがえていた疑うたがいがある問題もんだいを受うけて、ＤＮＡでぃ-えぬえい鑑定かんていなどの体制たいせいを強化きょうかするために30億おく円えん、ハンセン病はんせんびょうの元もと患者かんじゃの家族かぞくによる集団しゅうだん訴訟そしょうが確定かくていしたことを受うけ、元もと患者かんじゃや家族かぞくの名誉めいよ回復かいふくのため正ただしい知識ちしきの啓発けいはつなどに10億おく円えんを盛り込もりこみました。

文部もんぶ科学かがく省しょうは、今いまのセンター試験しけんに代かわって再さい来年らいねんから始はじまる「大学だいがく入学にゅうがく共通きょうつうテスト」の実施じっしに向むけた費用ひようとして50億おく円えんを要求ようきゅうしました。

総務そうむ省しょうは、再さい来年らいねんの３月さんがつからマイナンバーカードを健康けんこう保険ほけん証しょうの代かわりに使つかえるようになることから、取得しゅとくが進すすんでいないカードの利用りよう者しゃを増ふやすため発行はっこうや交付こうふを行おこなう自治体じちたいへの補助ほじょや啓発けいはつ活動かつどうにかかる費用ひようとして1736億おく円えんを要求ようきゅうしました。

警察庁けいさつちょうは、来年らいねんの東京とうきょうオリンピック・パラリンピックの警備けいび対策たいさくとして300億おく円えんを盛り込もりこみました。

法務省ほうむしょうは、ことし４月しがつから始はじまった外国がいこく人材じんざいの受け入うけいれ拡大かくだいに対応たいおうするため、専用せんようの相談そうだん窓口まどぐちを設もうけたり在留ざいりゅう状況じょうきょうを的確てきかくに把握はあくするためのデータベースを構築こうちくしたりする費用ひようとして58億おく円えんを要求ようきゅうしました。

環境省かんきょうしょうは、ことし６月ろくがつのＧじ-20大阪おおさかサミットでの合意ごういを受うけ、海うみのプラスチックごみの回収かいしゅうや代替だいたい素材そざいの開発かいはつなどの費用ひようを盛り込もりこみました。

農林水産省のうりんすいさんしょうは、農林のうりん水産物すいさんぶつと食品しょくひんの年間ねんかんの輸出ゆしゅつ額がくを１いち兆ちょう円えんに増ふやすことを目指めざして、複数ふくすうの省しょうにまたがっていた衛生えいせい管理かんりなどの国内こくないの手続てつづきや輸出ゆしゅつ先さきの国くにとの交渉こうしょうなどを一元いちげん的てきに管理かんりする組織そしきを設もうけるため、15億おく円えんを要求ようきゅうしました。

景気けいき対策たいさくと財政ざいせい健全けんぜん化かの両立りょうりつが焦点しょうてん

来年度らいねんど予算よさん案あんの編成へんせいでは、消費しょうひ税率ぜいりつの引き上ひきあげに伴ともなう景気けいき対策たいさくと財政ざいせい健全けんぜん化かの両立りょうりつをどう図はかるかが焦点しょうてんとなります。

年金ねんきんや医療いりょう、介護かいごなどの社会しゃかい保障ほしょう費ひは歳出さいしゅつのおよそ３さん分ぶんの１いちを占しめ、高齢こうれい化かを背景はいけいに税収ぜいしゅうの伸のび以上いじょうに毎年まいとし増ふえ続つづけていています。

これを賄まかなうため、借金しゃっきんにあたる新あらたな国債こくさいを発行はっこうしてやりくりする状況じょうきょうが続つづいていて、国くにと地方ちほうを合あわせた借金しゃっきんは1100兆ちょう円えんを超こえ、主おもな先進せんしん国こくで最悪さいあくの水準すいじゅんです。

政府せいふは、2025年度ねんどに、政策せいさくに必要ひつような経費けいひを借金しゃっきんに頼たよらず税収ぜいしゅうなどで賄まかなえるようにすることを財政ざいせい健全けんぜん化かの目標もくひょうの１ひとつに掲かかげています。

しかし、６ろく年ねん後ごの2025年ねんにはいわゆる「団塊だんかいの世代せだい」がすべて75歳さい以上いじょうとなります。75歳さい以上いじょうの人口じんこうはおよそ2180万まん人にんに達たっする見通みとおしで、医療いりょうや介護かいご、年金ねんきんなどの社会しゃかい保障ほしょう給付きゅうふ費ひは昨年度さくねんどより20兆ちょう円えん増ふえて140兆ちょう円えんに急増きゅうぞうすると見込みこまれています。

こうした中なかで、この秋あきから本格ほんかく化かする社会しゃかい保障ほしょう制度せいどの改革かいかくに向むけた検討けんとうの中なかで将来しょうらいを見据みすえて給付きゅうふと負担ふたんの在り方ありかたを抜本ばっぽん的てきに見直みなおすことができるかが課題かだいとなります。

一方いっぽう、消費しょうひ税率ぜいりつの引き上ひきあげに伴ともなう景気けいき対策たいさくをめぐっては、今年度こんねんどの予算よさんでキャッシュレス決済けっさいのポイント還元かんげん制度せいどや住宅じゅうたくローン減税げんぜいの拡充かくじゅうなど、２に兆ちょう円えん規模きぼの対策たいさくが盛り込もりこまれました。

来年度らいねんどの予算よさんでも駆け込かけこみ需要じゅようの反動はんどうなどが景気けいきに及およぼす影響えいきょうを見みながら年末ねんまつまでに別途べっと、検討けんとうすることになっています。

歳出さいしゅつ拡大かくだいへの圧力あつりょくが強つよまる中なかで、来年度らいねんど予算よさん案あんは初はじめて100兆ちょう円えんを超こえた今年度こんねんど予算よさんをさらに上回うわまわる可能かのう性せいも出でています。

年末ねんまつまでの予算よさん案あんの編成へんせいでは、社会しゃかい保障ほしょう制度せいどの見直みなおしに加くわえて景気けいき対策たいさくと財政ざいせい健全けんぜん化かとの両立りょうりつをどう図はかるかが問とわれることになります。