調査ちょうさでは腕うで時計とけい型がたの睡眠すいみん計けいや、疲労ひろう度どを測定そくていするアプリを使つかい55人にんの１いちか月かげつ間かんの睡眠すいみんの状況じょうきょうを調しらべました。

それによりますと業務ぎょうむ時間じかん外がいに仕事しごとのメールを受け取うけとる数かずが多おおい日ひは「中途ちゅうと覚醒かくせい」と呼よばれる夜中やちゅうに目めが覚さめてその後そのご、眠ねむれない状態じょうたいの時間じかんが平均へいきんでおよそ20分間ふんかんありました。

これは業務ぎょうむ時間じかん外がいのメールが少すくない日ひと比くらべると２に倍ばいの長ながさで睡眠すいみんの質しつが低下ていかしたことがわかったということです。

調査ちょうさにあたった久保くぼ上席じょうせき研究けんきゅう員いんは、「業務ぎょうむ時間じかん外がいのメールが多おおいほど退社たいしゃしたあとも仕事しごとの心配しんぱいごとについて繰り返くりかえし考かんがえてしまうため睡眠すいみんの質しつの低下ていかにつながっている。仕事しごとの生産せいさん性せいだけでなく働はたらく人ひとの健康けんこう被害ひがいにもつながるおそれがあり対策たいさくが必要ひつようだ」と話はなしています。

労働ろうどう組合くみあいなどによると業務ぎょうむ時間じかん外がいの深夜しんやや休日きゅうじつに大量たいりょうのメールが送おくられ、返信へんしんや対応たいおうも求もとめられることなどから体調たいちょうを崩くずす人ひとがでていて中なかにはうつ病うつびょうなどの健康けんこう被害ひがいを訴うったえ会社かいしゃを辞やめるケースもあります。

こうした中なか、業務ぎょうむ時間じかん外がいの上司じょうしからの電話でんわやメールなどを拒否きょひできる「つながらない権利けんり」が注目ちゅうもくを集あつめていてこれを取り入とりいれる企業きぎょうも出で始はじめています。

つながらない権利けんりとは

「つながらない権利けんり」とは働はたらく人ひとたちが業務ぎょうむ時間じかん外がいに職場しょくばの上司じょうしや同僚どうりょうからの仕事しごとに関にかんする電話でんわやメール、ＬＩＮＥなどの連絡れんらくを拒否きょひできるというものです。

デジタルツールの普及ふきゅうで会社かいしゃだけでなく自宅じたくやカフェなど場所ばしょを選えらばずに仕事しごとができるようになりました。その一方いっぽうで仕事しごとを終おえた後のちの深夜しんやや休日きゅうじつにも業務ぎょうむの問い合といあわせや返信へんしんを求もとめるメールなどが送おくり続つづけられるケースも多おおくなっています。

このため仕事しごとから頭あたまが離はなれず心こころが休やすまる時間じかんもないとして「仕事しごとをしているのか休やすんでいるのかわからない」という声こえも出でています。

労働ろうどう組合くみあいなどを取材しゅざいするとこうした業務ぎょうむ時間じかん外がいのメールや電話でんわが原因げんいんとみられるうつ病うつびょうなどの健康けんこう被害ひがいを訴うったえる人ひとが相次あいついでいて、その数かずは増加ぞうか傾向けいこうにあるということです。

こうした中なかで「つながらない権利けんり」を取り入とりいれた企業きぎょうも出で始はじめています。

東京とうきょう都内とないにある従業じゅうぎょう員いん40人にん余あまりのＩＴ企業きぎょうでは去年きょねんから業務ぎょうむ時間じかん外がいは社内しゃない、取引とりひき先さきを問とわず、メールや電話でんわなどで連絡れんらくを取り合とりあうことを禁止きんししました。その結果けっか、従業じゅうぎょう員いんのやる気やるき向上こうじょうにつながり、売り上うりあげは４よん割わり増ふえたということです。

時間じかん外がい連絡れんらくが週しゅう１いち回かい以上いじょう 15％

業務ぎょうむ時間じかん外がいに職場しょくばの上司じょうしからの緊急きんきゅう性せいのない電話でんわやメールに週しゅう１いち回かい以上いじょう対応たいおうしていると回答かいとうした人ひとがおよそ15％に上のぼることが大手おおてコンサルティング会社かいしゃの調査ちょうさで分わかりました。

この調査ちょうさは「ＮＴＴデータえぬてぃ-てぃ-で-た経営けいえい研究所けんきゅうじょ」がことし５月ごがつ、正せい社員しゃいんとして働はたらく20歳さい以上いじょうの1110人にんを対象たいしょうにインターネットを通をつうじて行おこないました。

それによりますと業務ぎょうむ時間じかん外がいの深夜しんやや休日きゅうじつなどに職場しょくばの上司じょうしからの緊急きんきゅう性せいのない電話でんわやメールに週しゅう１いち回かい以上いじょう対応たいおうしていると回答かいとうしたのは165人にん、率りつにして14.9％に上のぼりました。

このうちほぼ毎日まいにちのように業務ぎょうむ時間じかん外がいのメールなどに対応たいおうしていると回答かいとうしたのは62人にん、5.6％でした。

さらに自分じぶんが働はたらいている会社かいしゃが働はたらき方かた改革かいかくに取り組とりくんでいるかを尋たずねたところ、上司じょうしから週しゅうに１いち回かい以上いじょう時間じかん外がいに連絡れんらくがあると回答かいとうした人ひとでは68.5％が取り組とりくんでいると答こたえました。

一方いっぽうで時間じかん外がいの連絡れんらくがあまりない人ひとでは勤務きんむ先さきが働はたらき方かた改革かいかくに取り組とりくんでいると答こたえたのは45.9％でした。

働はたらき方かた改革かいかくで職場しょくばにいる業務ぎょうむ時間じかんは減へっても退社たいしゃしたあとも自宅じたくなどで仕事しごとの電話でんわやメールを受うけ続つづける社員しゃいんは多おおいとみられています。

ＮＴＴデータえぬてぃ-てぃ-で-た経営けいえい研究所けんきゅうじょの加藤かとう真由美まゆみシニアマネージャーは「深夜しんやや休日きゅうじつに職場しょくばからの電話でんわやメールなどの対応たいおうに追おわれ、働はたらく人ひとたちの新あらたな負担ふたんとなっている。働はたらき方かた改革かいかくを進すすめるためにも職場しょくばでのルール作づくりが求もとめられている」と話はなしています。

時間じかん外がいのメールは違法いほう？

夜間やかんや休日きゅうじつなどの業務ぎょうむ時間じかん外がいに仕事しごとに関にかんするメールを送おくり続つづけることは法律ほうりつに違反いはんするのでしょうか。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうはおととし、労働ろうどう時間じかんの適正てきせい把握はあくのためのガイドラインを策定さくていしました。この中なかで労働ろうどう時間じかんの考え方かんがえかたについて、「使用しよう者しゃの指揮しき命令めいれい下かに置おかれている時間じかん」と定さだめています。

労働ろうどう時間じかんにあたるかどうかは会社かいしゃ側がわの指揮しき命令めいれい下かに置おかれたと評価ひょうかできるか客観きゃっかん的てきに判断はんだんされるとされています。

メールを受け取うけとるだけでなく、メールによってすぐに仕事しごとに取とりかかるよう指示しじを受うけたか、実際じっさいに業務ぎょうむを行おこなったかなど、それぞれのメールの中身なかみによって判断はんだんされるということです。

その結果けっか、労働ろうどう時間じかんにあたると判断はんだんされれば企業きぎょうがその分ぶんの賃金ちんぎんを支払しはらわなくてはなりません。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと業務ぎょうむ時間じかん外がいに仕事しごとに関にかんするメールを送おくり続つづけること自体じたいはそれだけでは法律ほうりつに違反いはんするとはいえないということです。

しかし、深夜しんやや休日きゅうじつに業務ぎょうむを指示しじするメールを繰り返くりかえし送おくり、受け取うけとった側がわが実際じっさいに仕事しごとをした場合ばあいには労働ろうどう時間じかんとみなされその結果けっか、長時間ちょうじかん労働ろうどうとなり、労使ろうし協定きょうていに違反いはんするなどした場合ばあいは法律ほうりつ違反いはんになるということです。

業務ぎょうむ時間じかん外がいにメールを送おくり続つづけることについて、今いまの法律ほうりつでは明確めいかくな規定きていはなく個別こべつに判断はんだんするしかないとしています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは時間じかん外がいの業務ぎょうむメールについては働はたらく人ひとたちへの影響えいきょうを懸念けねんしています。去年きょねん、作つくられたテレワークを導入どうにゅうする企業きぎょう向むけのガイドラインでは、長時間ちょうじかん労働ろうどう対策たいさくとして時間じかん外がいや、休日きゅうじつ、深夜しんやのメール送付そうふの抑制よくせいや、外部がいぶの端末たんまつから会社かいしゃのシステムへアクセスできない設定せっていにするなどの仕組しくみを整ととのえるよう求もとめています。

しかし、実際じっさいの運用うんようは企業きぎょうに委ゆだねられていて労働ろうどう者しゃを健康けんこう被害ひがいから守まもるため、どうルール化かしていくのかが課題かだいとなっています。