土石流どせきりゅう被害ひがいの地区ちく 「タイムライン」で防災ぼうさい行動こうどう確認かくにん 佐賀さが 唐津からつ

唐津からつ市し浜玉はまたま町まちの今坂いまさか地区ちくでは、去年きょねん7月つき、記録きろく的てきな大雨おおあめで発生はっせいした土石流どせきりゅうで3人にんが亡なくなるなど大おおきな被害ひがいを受うけました。

これを受うけて唐津からつ市しでは、避難ひなん行動こうどうの専門せんもん家かと協力きょうりょくし、大雨おおあめに備そなえた防災ぼうさい行動こうどうを時とき系列けいれつであらかじめ決きめておく「タイムライン」を完成かんせいさせ、8日にち、地区ちくの公民館こうみんかんに集あつまったおよそ20人にんの住民じゅうみんにその内容ないようを説明せつめいしました。

この中なかで市しの担当たんとう職員しょくいんは、タイムラインでは雨あめが降り出ふりだす前まえの平常へいじょう時じから災害さいがいが発生はっせいするまでを6つの段階だんかいに分わけ、段階だんかいごとに地区ちくの住民じゅうみんたちが取とるべき行動こうどうや避難ひなんするタイミングを定さだめていることなどを説明せつめいしました。

そして、去年きょねん7月つきの土石流どせきりゅうが発生はっせいするまでの雨量うりょうの状況じょうきょうや土砂どしゃ災害さいがい警戒けいかい情報じょうほうなどが出だされた時とき系列けいれつを確認かくにんし、今回こんかいのタイムライン上じょうではどの段階だんかいにあたるのかを照てらし合あわせていました。

今坂いまさか地区ちくの筒井つつい高だか宏ひろし区長くちょうは「この災害さいがいを教訓きょうくんに早はやめ早はやめの避難ひなんを意識いしきしていきたい。タイムラインをしっかり役立やくだてて、課題かだいがあれば修正しゅうせいしていきたい」と話はなしていました。

タイムラインの内容ないようは

今坂いまさか地区ちくで今回こんかい完成かんせいしたタイムラインは、大雨おおあめに備そなえて「ステージ0」から「ステージ5」までの6つの段階だんかいごとに、地区ちくの住民じゅうみんらが取とるべき行動こうどうや避難ひなんするタイミングなどがまとめられています。

具体ぐたい的てきには、

雨あめが降ふりだす前まえのでは、地区ちく内ないの山やまの斜面しゃめんといった危険きけんな箇所かしょを確認かくにんしたり、非ひ常用じょうようの持ち出もちだし品ひんの準備じゅんびなどを行おこなうとしています。

は、気象きしょう情報じょうほうで24時間じかんに降ふる雨あめの量りょうが100ミリ以上いじょうと予想よそうされるなどした場合ばあいで、自宅じたく周辺しゅうへんを片かたづけたり、防災ぼうさいラジオの電池でんちを確認かくにんしたりします。

24時間じかんの予想よそう雨量うりょうが200ミリ以上いじょうとなったり大雨おおあめ注意ちゅうい報ほうが発表はっぴょうされたりするとになり、地区ちく外がいなど遠とおい場所ばしょに住すむ親戚しんせきの家いえに避難ひなんする人ひとはその準備じゅんびを始はじめるほか、区長くちょうは防災ぼうさいラジオで大雨おおあめへの警戒けいかいを呼よびかけます。

次つぎのは、大雨おおあめ警報けいほうや線せん状じょう降水こうすい帯たいの半日はんにち前まえの予測よそく、高齢こうれい者しゃ等とう避難ひなんの情報じょうほうのいずれかが発表はっぴょうされた場合ばあいで、災害さいがい時じに支援しえんが必要ひつような障害しょうがい者しゃや高齢こうれい者しゃなどの「要よう支援しえん者しゃ」は避難ひなんを始はじめるほか、それ以外いがいの人ひとたちも避難ひなんの準備じゅんびを始はじめます。

そして、土砂どしゃ災害さいがい警戒けいかい情報じょうほうか避難ひなん指示しじのいずれかが発表はっぴょうされるとになり、すべての住民じゅうみんが指定していされた避難ひなん所しょなどへの避難ひなんを完了かんりょうするよう求もとめられます。

最後さいごのは、線せん状じょう降水こうすい帯たいの発生はっせいか緊急きんきゅう安全あんぜん確保かくほや特別とくべつ警報けいほうが出だされるなどした場合ばあいで、この段階だんかいでは住民じゅうみんの避難ひなんはすでに完了かんりょうしていますが、もし逃にげ遅おくれたという人ひとは、できるだけ安全あんぜんな場所ばしょに退避たいひするとしています。

今後こんご、本格ほんかく的てきな大雨おおあめのシーズンを迎むかえることから、今坂いまさか地区ちくでは、今回こんかい完成かんせいしたタイムラインを実際じっさいに活用かつようするとともに、課題かだい点てんなどが見みつかれば修正しゅうせいを加くわえるなどして、防災ぼうさいの実効じっこう性せいをさらに高たかめていくことにしています。

専門せんもん家か「作つくったら終おわりではない」

避難ひなん行動こうどうの専門せんもん家かとして、今坂いまさか地区ちくのタイムラインの作成さくせいをサポートしてきた東京とうきょう大学だいがく大学院だいがくいんの松尾まつお一郎いちろう客員きゃくいん教授きょうじゅは、今坂いまさか地区ちくで土石流どせきりゅうが引き起ひきおこされたのは、線せん状じょう降水こうすい帯たいによって大量たいりょうの雨あめが一いち度どに降ふったことが原因げんいんだと指摘してきした上うえで、「それでも住民じゅうみんは自分じぶんたちで命いのちを守まもらなければならない。そのためには、地域ちいきでどのタイミングで避難ひなんするかということを、あらかじめ決きめておくことが重要じゅうようだ」と述のべ、タイムラインの必要ひつよう性せいを訴うったえました。

その上うえで「タイムラインは作つくったら終おわりではない。このあとの梅雨つゆや台風たいふうでの大雨おおあめのたびに活用かつようし、改善かいぜんを繰り返くりかえすことで命いのちを守まもる道具どうぐにしていってほしい」と話はなしていました。

また、タイムラインの実効じっこう性せいを高たかめるために、防災ぼうさい情報じょうほうを発表はっぴょうする自治体じちたいとの連携れんけいや、住民じゅうみんが避難ひなんの空振からぶりを恐おそれず、タイムライン通どおりに行動こうどうすることが大切たいせつだと話はなしていました。

区長くちょうの役割やくわりも段階だんかいごとにまとめ

今坂いまさか地区ちくで作成さくせいされたタイムラインでは、住民じゅうみんとは別べつに筒井つつい高こう宏ひろし区長くちょうが取とるべき行動こうどうも段階だんかいごとにまとめられています。

具体ぐたい的てきには、大雨おおあめ注意ちゅうい報ほうの発表はっぴょうといった「ステージ2」の段階だんかいでは、防災ぼうさいラジオで住民じゅうみんに大雨おおあめへの警戒けいかいを呼よびかけるほか、大雨おおあめ警報けいほうか線せん状じょう降水こうすい帯たいの半日はんにち前ぜん予測よそくが出だされるなどした場合ばあいの「ステージ3」では、災害さいがい時じに支援しえんが必要ひつような障害しょうがい者しゃや高齢こうれい者しゃなどの「要よう支援しえん者しゃ」に声こえかけを行おこなうとしています。

そして、土砂どしゃ災害さいがい警戒けいかい情報じょうほうか避難ひなん指示しじが出だされた場合ばあいの「ステージ4」では、住民じゅうみんの避難ひなんが完了かんりょうしているかを確認かくにんするなど、タイムライン上じょうで住民じゅうみんの命いのちを守まもるための重要じゅうような役割やくわりを担になっています。

筒井つつい区長くちょうは去年きょねん7月つきの大雨おおあめの際さい、地区ちく内ないで被害ひがいがないかを見みて回まわっていたときに土石流どせきりゅうが発生はっせいしたということで、「家いえが押し出おしだされるようにして崩くずれていて、こんな災害さいがいが起おきるのかと予想よそうもできませんでした。前まえもって避難ひなんすることの大切たいせつさが身みにしみて分わかりました」と当時とうじの状況じょうきょうを振り返ふりかえりました。

その上うえで「今いままで災害さいがい時じの行動こうどうの具体ぐたい的てきな指針ししんはなかったので、タイムラインがあると助たすかります。これからはタイムラインに沿そって早はやめに避難ひなんし、災害さいがいを乗り切のりきっていければと思おもう」と話はなしていました。