ウクライナからの避難民への支援をめぐっては、林外務大臣が岸田総理大臣の特使として4月2日からポーランドを訪れ、避難民の滞在施設の視察や政府要人との会談を行うなどして日本での受け入れや支援に対するニーズを探りました。その結果、日本への避難を希望しているものの自力で渡航手段を確保することが困難な20人について、人道的な観点から林大臣の帰国に合わせて政府専用機の予備機に乗せ現地を出発しました。そして避難民を乗せた予備機は11時半すぎに到着しました。
そのうえで「来日した避難民の方々に対しては入国後の各場面に応じてさまざまな支援策を実施していきたい。基本的には『アジア福祉教育財団』の難民事業本部に委託して生活費や医療費の支給などの支援を実施し、自治体や企業などへ引き継ぎの後は、引き継ぎ先と協力しながら必要な支援を実施していく」と述べました。また松野官房長官は、3日までにウクライナからの避難を目的として日本に入国した人数は404人だと説明しました。
新たにロシアへの輸出禁止の対象になったのは ▽600万円を超える乗用車や ▽60万円を超えるバイク ▽20万円を超えるグランドピアノ 4万円を超える ▽天然の真珠などの宝飾品 ▽高級ウイスキーといった酒類 ▽貴金属を使用した腕時計など合わせて19品目です。 こうした高額な製品の輸出を止めることでプーチン大統領に近いとされる「オリガルヒ」と呼ばれる富豪への圧力を強めるねらいがあります。
そして「犯罪に関与したロシア軍を一刻も早く特定するため、あらゆる手を尽くしている。彼らを罰するためにEU=ヨーロッパ連合や国際刑事裁判所などの国際機関と協力していくことになる」と述べ、関係機関と連携してロシア軍の行為を厳しく追及していく考えを示しました。 これに先立ちゼレンスキー大統領は4日、ブチャで報道陣の取材に応じ「数千人の市民が戦車でひき殺されたり手足を切断されたりし、女性は暴行を受け、子どもたちも殺されている。世界はこれが戦争犯罪だということを認めなければならない」と訴えました。そのうえで「これは戦争よりひどい。ジェノサイドだ」と述べ、民族などの集団に破壊する意図をもって危害を加える「ジェノサイド」だとして強く非難しました。 またゼレンスキー大統領は停戦交渉が進展していないことに触れ「ロシア軍の非道な行為が日増しに明らかになっていて、交渉が長引くほどロシア側にとって結果は悪くなるだろう。もし彼らにまだ考える能力があるならば交渉は早く進めたほうがよい」と述べました。
このあと2人のひつぎは市内の墓地に運ばれ、ロシア軍や親ロシア派の武装勢力との戦闘で死亡した兵士たちが眠る一角に埋葬されました。参列者たちはウクライナの国旗の色に合わせて青と黄色の花を手向けて追悼しました。
ホワイトハウスで記者会見したサリバン大統領補佐官は新たな制裁について「同盟国や友好国と具体的な内容を協議している」と述べ、同盟国などと連携して打ち出すことになるという見通しを示しました。 一方、民族などの集団に破壊する意図をもって危害を加える「ジェノサイド」にあたるのかどうかについては「残虐な行為や戦争犯罪を目にしているが、組織的にウクライナ人の命が奪われる『ジェノサイド』のレベルまで達しているとはまだ確認していない。状況を注視していく」と述べ、アメリカ政府としては現時点で「ジェノサイド」とは認識していないとする立場を示しました。
死亡した人のうち958人はキーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで、472人は東部のドネツク州とルハンシク州で確認されています。また、けがをした人は2097人にのぼるということです。 多くの人たちは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたり、負傷したりしたということです。今回の発表にはロシア軍の激しい攻撃を受けている東部マリウポリなどで確認がとれていない犠牲者の数は含まれておらず、国連人権高等弁務官事務所は実際の数はこれよりはるかに多いとしています。
トーマスグリーンフィールド国連大使は、ロシアはプロパガンダの道具として人権理事会を利用していると非難したうえで「われわれにとって大切な原則を覆している国が人権理事会に参加し続けることは容認できない」と強調しました。国連人権理事会のメンバーは47か国で、国連総会で3分の2以上の賛成があれば資格を停止させることができます。
これに対しロシア外務省のザハロワ報道官は4日、インターファクス通信に対し「われわれは、このドイツの悪意ある行為に対応する」と述べ、対抗措置をとる考えを示しました。 またフランスの外務省も4日「多くのロシアの外交官の追放を決定した」と発表しました。この中でフランス外務省は追放の対象となるロシアの外交官について「われわれの安全保障上の利益と相反する行動をしている」と指摘し、今回の決定はヨーロッパ各国と歩調を合わせた対応だとしています。 このほかバルト3国のリトアニアの外務省は4日「ロシアとの外交関係を格下げすることを決めた」とする声明を発表しました。 それによりますと、リトアニア政府はリトアニアに駐在するロシア大使に出国するよう求めるとともに、西部のクライペダにあるロシア総領事館を閉鎖するということです。またロシアに駐在するリトアニア大使を近く帰国させるとしています。
国連の報道官によりますと、グリフィス事務次長は市民を保護し支援物資を届けるための人道的な停戦の可能性について話し合ったということです。ただ具体的な内容については「会談は生産的なものだった」と述べるにとどまり、5日に開かれる国連の安全保障理事会でグリフィス事務次長が報告するとしています。 グリフィス事務次長は近く、ウクライナの首都キーウも訪問する方向で調整を進めているということです。 一方、ロシア外務省によりますと、会談でラブロフ外相はキーウの北西にあるブチャで多くの市民が死亡しているのが見つかり、ロシアに対する非難が相次いでいることについて触れ「偽装が行われ、それがウクライナや西側諸国によって大々的に拡散されている」と反発しました。
会談のあと両外相はそろって記者会見し、トラス外相はウクライナの首都キーウの北西にあるブチャで多くの市民が死亡しているのが見つかったことについて「市民を標的にした虐殺が行われたという証拠にがく然としている。戦争犯罪が行われたことは非常に明白だ」としてロシアを強く非難しました。そして「西側諸国からプーチン大統領に流れている資金を止めなければならない」として、制裁の強化が必要だと述べました。 またクレバ外相は「中途半端な対応では不十分だ。私はブチャの犠牲者とウクライナの人々のために今週中にパートナー国に対して最も厳しい制裁をロシアに科すよう求める。これはウクライナの外相からの訴えではなく犠牲者とその親族、そしてウクライナ国民すべての訴えだ」と述べ、制裁のさらなる強化を強く訴えました。
これらの部隊はウクライナと国境を接するベラルーシに向けて北上しているか、すでにベラルーシへの移動を終えたとみられるということです。そのうえでこれらの部隊が補給や人員の追加を受けたあと、ウクライナ東部などでの戦闘に再び投入される可能性があるとの見方を重ねて示しました。 またキーウ北西のブチャで多くの市民が路上で死亡しているのが見つかったことについて、この高官は「ロシア軍による戦争犯罪を示す証拠があるとこれまで言ってきたが、ブチャの状況はその懸念を補強するものだ。これは国際的な捜査に役立つ証拠だ」と指摘しました。一方、東部の要衝マリウポリではロシア軍の侵攻に大きな進展はみられず、ウクライナ側との間で激しい戦闘が続いているとの見方を示しました。 またロシア軍が3日、ウクライナ南部の黒海に面する港湾都市オデーサ・ロシア語でオデッサ近郊の製油所や燃料施設をミサイルで破壊したと発表したことについて、この高官はロシア軍による空爆が行われたと指摘したうえで、水陸両用作戦の前兆なのか、この地域にウクライナ軍を足止めしようとしているのかねらいははっきりしないと述べました。
そしてプーチン大統領についてあらためて「戦争犯罪人だ」としたうえで「戦争犯罪として法廷で裁くために詳細な証拠を集めなければならない」と述べました。 そのうえでバイデン大統領はロシアに対して新たな制裁を科す考えを明らかにしました。
松野官房長官「さまざまな支援策を実施」
対ロシア追加制裁 高額の日本車や時計など輸出禁止
ゼレンスキー大統領「ジェノサイドだ」
西部リビウで地元出身兵士の葬儀
米大統領補佐官 “現時点で「ジェノサイド」とは認識せず”
国連人権高等弁務官事務所「3日までに市民1430人死亡」
米国連大使「国連人権理事会 ロシアのメンバー資格停止を」
ヨーロッパ各国 ロシア外交官追放などの動き
国連事務次長 ロシア外相らと“人道的停戦の可能性”で会談
ウクライナ外相と会談の英外相 “虐殺証拠にがく然 制裁強化を”
米国防総省高官 “現地離れたキーウ周辺展開の部隊 東部投入か”
バイデン大統領 プーチン大統領を「戦争犯罪人」と強く非難
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる5日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ウクライナからの避難民 日本到着