また、ウクライナと国境を接するモルドバの沿ドニエストル地方で起きた爆発について「ロシアとその代理勢力が、攻撃を受けたかのような情報をねつ造する、いわゆる偽旗作戦による攻撃を企てた。これによってウクライナの東部2州と同様、プーチン大統領が、ロシア系住民が多く住むこの地方の独立を一方的に承認し、その求めに応じて軍隊を派遣しようとするかもしれない。こうした行動は、モルドバや隣接するルーマニアでの緊張を大幅に高めるほか、ウクライナ東部におけるロシア軍の苦戦から目をそらす安っぽい『勝利』を、プーチン大統領にもたらす可能性がある」と指摘しました。
ウクライナとロシアの労働者をかたどった高さおよそ8メートルの銅像は、ソビエト時代の1982年、双方の友好の象徴としてキーウ中心部に建てられました。
クレーン車を使って銅像が台座から外され地面に倒されると、集まった人たちは、歓声をあげたり写真をとったりしていました。 銅像の撤去作業に立ち会ったキーウ市のクリチコ市長はメディアの取材に対して「この像は、ウクライナとロシアの友好を象徴していたが、今となってはまったく違う意味を持つものになってしまった」と話していました。
そして「欧米諸国と、その支配下にあるウクライナの政権による政策の結果は、ウクライナを崩壊させ、分裂させることにしかならない」と述べました。 パトルシェフ氏は、かつてFSB=連邦保安庁の長官を務めるなど治安機関の出身者でつくる強硬派、いわゆる「シロビキ」の代表格として知られています。プーチン大統領はことし2月に軍事侵攻を始めたとき「ウクライナの領土の占領は計画にない」と言いながら、今では東部や南部の都市を相次いで掌握し既成事実化を進めていて、パトルシェフ氏の発言は、ウクライナへの支援を強化するアメリカとの対決姿勢を強め、戦闘が長期化するおそれを示しています。
供給を停止する理由は明らかにされていませんが、ロシア政府は先月末「非友好国」と指定した欧米各国などに対し天然ガスを購入する際ロシアの通貨ルーブルでの支払いを義務づけるとして、「拒否した場合には契約は停止される」と警告していました。 ポーランドは天然ガスの輸入の50%以上をロシアに依存していますが、ポーランドの気候・環境相は「こうした事態を想定しロシアへの依存を減らす措置を講じてきた。ポーランドの各家庭がガスの不足に陥ることはない」として、影響は少ないとの認識を示しています。 またブルガリアのメディアによりますとブルガリアの国営ガス会社も、同じ26日、ガスプロムから、天然ガスの供給を停止する通知を受けたとしていて、ロシア側がほかの国々に対しても同様の措置をとる可能性が出ています。
UNHCRは当初、400万人と予測していましたが先月にはすでにその予測を上回っていて、25日現在で526万人が国外に逃れています。 UNHCRのマントゥー報道官は「これほどの規模とスピードでの避難民の増加は近年見たことがない」として、18億ドル余りの支援が必要となるとしています。
ウクライナ大統領府によりますと、子どもたちはマリウポリの戦闘で親を失い、いったんはロシア軍に連れ去られましたが、その後、ウクライナ側に保護され、キーウの病院でけがの手当てなどを受けています。 ゼレンスキー大統領は、この日が10歳の誕生日だという男の子の病室に入ると、握手をして「誕生日おめでとう」などと声をかけ、プレゼントとしてタブレット端末を手渡しました。 脚をけがしてベッドで寝たままとなっている男の子は、プレゼントを受け取り笑顔を見せていました。 また、ゼレンスキー大統領は12歳の女の子にも会い、「具合はどうですか」と尋ねると、女の子は「疲れていますが、大丈夫です」などと答え、プレゼントを受け取ると、うれしそうにはにかんだ様子を見せていました。 ゼレンスキー大統領は「子どもたちはわれわれの未来です。ウクライナのすべての子どもが家に戻れるよう、われわれは戦う」と述べ、軍事侵攻を続けるロシアに立ち向かう決意を新たにしていました。
そのうえで「私は私を市長に選んでくれた人たちとともにヘルソンにとどまっている。ヘルソンはウクライナのものだ」として、ロシアの支配には協力しないと強調しました。 ウクライナ政府などはロシアが占領を正当化するためにヘルソンで住民投票を実施する動きがあるとしていて、警戒を強めています。
すでに大使館の職員がリビウに向かったということで、今後、首都キーウでの業務が再開できるかどうか、見極めていくとしています。
また、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍の戦力について「地上部隊には相当な死傷者が出ている。多くの装備を失ったほか、精密誘導弾を大量に使い、主要な艦艇も失った。軍事力という点では侵攻開始当初より弱体化している」と指摘しました。 そのうえで「これらの戦力の一部は、制裁と輸出規制によって今後、補充するのが難しいとみられる。われわれは、ロシアが隣国を脅すことができなくなるようにしたい」と強調しました。
そのうえで東部のマリウポリの製鉄所で市民が取り残されていると見られることについて「ウクライナ軍は市民を盾にしたテロリストと同じ行動をとっている。ロシア側が設けた人道回廊は機能している」と述べ、ウクライナ側を非難しました。
会談のあと国連は「市民の避難に向けて国連と赤十字国際委員会が関与することで原則的に合意した」と発表し、今後の具体的な協議は、国連の人道問題調整事務所とロシア国防省の間で行われるとしています。 グテーレス事務総長はこのあとウクライナへ移り、28日にはゼレンスキー大統領と会談する予定ですが、プーチン大統領はウクライナ側に対する強硬な姿勢を崩しておらず、国連トップによる仲介が事態の打開につながるのかなお不透明な情勢です。
ロシア国防省は26日、ロシア空軍が東部ドネツク州のスラビャンスクで、武器庫などを破壊したほか、スラビャンスクの近郊では、地対空ミサイルシステムを破壊したとしています。 また、国防省は声明で、これまでの軍事作戦の成果として▽東部のドネツク州とルハンシク州の大部分を掌握したとしたほか、▽南部ヘルソン州の全域を掌握し、▽東部ハルキウ州、南東部ザポリージャ州、南部ミコライウ州の一部を掌握したとも主張しました。 そのうえで、「こうした地域では平和な生活が確立されている」として支配地域の拡大を正当化しました。
モルドバ政府などによりますと、沿ドニエストル地方では26日、2つの電波塔が破壊されたほか、軍の施設でも爆発が起きていて、ロシア寄りの地元当局は「テロ攻撃だ」と主張しているということです。 モルドバのサンドゥ大統領は26日、緊急の安全保障会議を開いたあと会見し「われわれはモルドバの平和を脅かす、いかなる挑発行為も非難する」と述べました。 そして「緊張を高める企ては、戦争を支持し地域の不安定化を図る、沿ドニエストル地方の内部の勢力によって引き起こされた」と述べ、ロシア寄りの地元当局など、モルドバ政府と対立する勢力による自作自演の可能性を示唆しました。 またウクライナ外務省は26日、声明を発表し、モルドバ政府を支持する立場を強調しました。 そのうえで「ロシアが2月に開始したウクライナに対する侵略に、モルドバの沿ドニエストル地方を引き込もうとする企てを非難する」として、地元当局に強い影響力をもつロシアをけん制しました。 一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は26日「確かに現地から入ってくるニュースは憂慮すべきものだ。状況を注意深く見守っている」と述べ、プーチン政権として状況を注視していることを明らかにしました。 沿ドニエストル地方は、1990年にモルドバから一方的に分離独立を宣言し、現在は事実上、モルドバ政府の統治が及んでおらず、ロシア軍1500人以上が駐留するなど、ロシアの強い影響下にあります。
ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で26日開かれた会合には、NATO=北大西洋条約機構の加盟国など40か国以上の関係者がオンラインも含めて参加しました。 会合後、アメリカのオースティン国防長官が記者会見し、ドイツが自走式の対空砲をウクライナへ提供すると明らかにするなど、各国が相次いで新たな兵器の供与を打ちだしたことを歓迎するとしたうえで、「われわれにはむだにしている時間はない」と述べました。 そのうえで「きょうすべてのリーダーはロシアの侵略と残虐行為と戦うウクライナを支援することをさらに決意したと思う」と述べ、会合を通じて各国が支援を強化することを確認したと強調しました。 これまでにアメリカやヨーロッパ諸国など30か国以上からのウクライナへの軍事支援は総額で50億ドル、日本円にして6300億円余りに上るということで今後も会合を定期的に開催し、関係国で軍事支援を調整していくということです。 欧米側はウクライナ東部での大規模な攻防戦を見据え、アメリカが大口径の砲弾を大量に撃ち込むりゅう弾砲を供与するなど、ウクライナ側が求める攻撃力の高い兵器の供与を始めていますが、ロシア側はこれに強く反発しています。
今月、日本海で行われた、海上自衛隊と、アメリカ軍の原子力空母「エイブラハム・リンカーン」を中心とする空母打撃群による共同訓練などを念頭に置いているとみられます。 モルグロフ次官は「外交ルートを通じて日本政府に警告している。こうした行為が増えれば、ロシアが防衛力強化のため対抗措置をとることを、覚悟する必要がある」と述べ、日本やアメリカをけん制しました。 ロシアは、ウクライナへの軍事侵攻を受け欧米と足並みをそろえて制裁を科す日本を非友好国に指定し、平和条約交渉の中断を一方的に表明するなど、日本への圧力を強めています。
主な避難先は、▽ポーランドがおよそ292万人、▽ルーマニアがおよそ78万人、▽ハンガリーがおよそ49万人、▽モルドバがおよそ43万人などとなっています。 また、▽ロシアに避難した人は、およそ61万人となっています。
このうち201人は子どもだとしています。 地域別でみると、▽東部のドネツク州とルハンシク州で1268人、▽それ以外のキーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで、1461人の死亡が確認されているということです。 また、けがをした市民は3111人にのぼるとしています。 しかし、東部のマリウポリなど激しい攻撃を受けている地域での死傷者の数について、国連人権高等弁務官事務所は▽集計が遅れていたり、▽確認がまだ取れていなかったりして統計には反映されていないとして、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るとの見方を示しています。
首都キーウ ウクライナとロシアの友好象徴の銅像を撤去
プーチン大統領側近“米などの武器供与が戦闘長引かせている”
ロシア ポーランドやブルガリアに天然ガス供給停止通知
ウクライナから国外に避難 予測より多い830万人にのぼる可能性
ゼレンスキー大統領 戦闘で親を失った子どもたちを激励
ウクライナ南部 ヘルソン市の市長解任 住民投票実施に警戒
米大使館の機能 ウクライナ国内に戻す
米国防長官「核使用の脅し 非常に危険で何の役にも立たない」
国連グテーレス事務総長がプーチン大統領と会談
ロシア軍 ウクライナ東部や南部で攻勢強める 一部地域掌握と主張
ロシア軍駐留の沿ドニエストル地方で複数の爆発
ウクライナ ゼレンスキー大統領「爆発はロシアの企て」
米主導の関係国会合 ウクライナへの軍事支援強化を確認
ロシア モルグロフ外務次官 日米をけん制
ウクライナから国外に避難した人 526万人余り
国連人権高等弁務官事務所 少なくとも2729人の市民が死亡
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
“偽旗作戦”と指摘 モルドバ沿ドニエストル地方の爆発