ボルトン氏しがNHKに明あかした“トランプ2.0”

ジョン・ボルトン氏しとは

ボルトン氏しは、外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょう分野ぶんやの強硬きょうこう派はとして知しられ、共和党きょうわとうのブッシュ政権せいけんで国連こくれん大使たいしなどを務つとめたあと、トランプ政権せいけんの1期き目めでは、安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくを担当たんとうする大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんを1年ねん半はん近ちかく務つとめました。

この間このかん、2018年ねんには史上しじょう初はじめて行おこなわれた、シンガポールでの米べい朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんにも同席どうせきするなど、政策せいさく決定けっていに影響えいきょう力りょくを持もちましたが、トランプ氏しとの意見いけん対立たいりつもあって辞任じにんし、その後そのごは暴露ばくろ本ほんを出版しゅっぱんするなど、トランプ氏しに批判ひはん的てきな立場たちばをとっています。

北朝鮮きたちょうせん政策せいさく「キム総そう書記しょきを米国べいこくに招待しょうたいする可能かのう性せい」

ボルトン氏しは、NHKのインタビューのなかで、2期き目めのトランプ政権せいけんの対たい北朝鮮きたちょうせん政策せいさくについて、「トランプ氏しはすでに北朝鮮きたちょうせんの指導しどう者しゃと初はじめて会談かいだんしたアメリカ大統領だいとうりょうだ。唯一ゆいいつ残のこされた見出みだしは、キム・ジョンウン総そう書記しょきをホワイトハウスに招待しょうたいするか、トランプ氏しがピョンヤンを訪問ほうもんするかだ。私わたしはトランプ政権せいけんの2期き目めにそのどちらかか、両方りょうほうが起おきる可能かのう性せいが高たかいと思おもう」と述のべ、北朝鮮きたちょうせんのキム総そう書記しょきと再ふたたび首脳しゅのう会談かいだんを行おこなう可能かのう性せいが高たかいという見方みかたを示しめしました。

一方いっぽうで、「トランプ氏しとキム氏しが核かく合意ごういに至いたるかどうかは別べつ問題もんだいだ。トランプ氏しは1期き目めではキム氏しが望のぞんだことに同意どういしなかったし、それはアメリカや、同盟どうめい国こくの日本にっぽんや韓国かんこくのためだったと思おもう。しかし、2期き目めで何なにかについて合意ごういするかどうかはわからない。私わたしはそのことを心配しんぱいしている」と述のべて、トランプ氏しがキム総そう書記しょきとのあいだで何なんらかの取り引とりひきをすることに対にたいし、懸念けねんを示しめしました。

外交がいこうスタンス「直感ちょっかんか 個々ここへの評価ひょうかか “取り引とりひき”か」

また、トランプ氏しの外交がいこうスタンスについて、ボルトン氏しは「トランプ氏しの外交がいこう政策せいさくを表現ひょうげんすることは非常ひじょうに難むずかしい。彼かれは通常つうじょうとるようなやり方やりかたで政策せいさくを実行じっこうせず、多おおくの場合ばあいは直感ちょっかんか、個々ここの外国がいこく指導しどう者しゃに対にたいする自分じぶん自身じしんの評価ひょうか、そして、とても個人こじん的てきな話はなしに基もとづく取り引とりひきの上うえでの決断けつだんに頼たよっている。このため、友好国ゆうこうこくや同盟どうめい国こくにとっては先さきを見越みこして計画けいかくを立たてたり、どんな政策せいさくをとるかを知しったりすることが非常ひじょうに難むずかしい」と述のべました。

日にち米べい関係かんけい「緊密きんみつな協力きょうりょくによる“利益りえき”の説明せつめいを」

そして、日にち米べいの同盟どうめい関係かんけいについては、「トランプ氏しがNATO＝北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやく機構きこうの同盟どうめいに懐疑かいぎ的てきであることと同様どうように、日本にっぽんや韓国かんこくなど同盟どうめい国こくとの2国こく間かん関係かんけいにも懐疑かいぎ的てきになることを心配しんぱいしている」と指摘してきしました。

そのうえでボルトン氏しは、トランプ氏しが1期き目めに、日本にっぽんに対にたいして在日ざいにちアメリカ軍ぐんの駐留ちゅうりゅう経費けいひの日本にっぽん側がわ負担ふたん、いわゆる「思おもいやり予算よさん」の増額ぞうがくを望のぞんでいたことに触ふれ、「岸田きしだ前ぜん総理そうり大臣だいじんは、日本にっぽんが5年間ねんかんで防衛ぼうえい費ひをGDPの1％から2％に倍増ばいぞうさせるとした。これこそが、トランプ氏しに何なん度ども何なん度ども訴うったえ続つづけなければならない点てんだ。バイデン大統領だいとうりょうが日本にっぽんと韓国かんこくと合意ごういして3か国かこくで演習えんしゅうを行おこなうことにしたのはよいことであり、これを継続けいぞくしていきたいということや、安倍あべ元もと総理そうり大臣だいじんの構想こうそうであったアジアの安全あんぜん保障ほしょうにまつわるクアッドの枠組わくぐみが非常ひじょうに重要じゅうようだということも訴うったえるべきだ。日にち米べいの協力きょうりょく関係かんけいが緊密きんみつならどんな利益りえきがあるのかを説明せつめいすることが大切たいせつだ」と強調きょうちょうしました。

米べい中ちゅう関係かんけい「トランプ氏しの態度たいどは早はやく変かわることも」

一方いっぽう、中国ちゅうごくとの関係かんけいについて、ボルトン氏しは「もしも習近平ちから国家こっか主席しゅせきがトランプ氏しに電話でんわし、『ドナルド、私わたしはあなたが選挙せんきょで選えらばれうれしい。バイデン氏しは多おおくの問題もんだいを引き起ひきおこした。お互おたがいが協力きょうりょくして通商つうしょう問題もんだいを解決かいけつしよう。あなたの1期き目めに試こころみたとおり、世紀せいきの取り引とりひきを成立せいりつさせよう』と言いえば、トランプ氏しはそれに飛とびつくだろう。私わたしは彼かれが世紀せいきの取り引とりひきを成立せいりつさせるかはわからないが、彼かれの態度たいどはかなり早はやく変かわると思おもう」と指摘してきしました。

ウクライナ情勢じょうせい「早期そうきの戦争せんそう終結しゅうけつへ 和解わかい案あんの形かたちは気きにせず」

さらに、ウクライナとロシアのあいだの停戦ていせんの可能かのう性せいについて、ボルトン氏しは、トランプ氏しが言いうように24時間じかん以内いないに実現じつげんすることは無理むりだとする一方いっぽう、停戦ていせん合意ごういに至いたるまでにはさほど時間じかんはかからないだろうという見方みかたを示しめしました。

その根拠こんきょについて、「プーチン大統領だいとうりょうは実際じっさいに停戦ていせんを望のぞんでいると思おもう。ロシア軍ぐんはひどい損害そんがいを出だし続つづけており、費ついやした資金しきんも巨額きょがくだ。もしプーチン氏しが軍ぐんの支配しはい地域ちいきに沿そって停戦ていせんラインを引ひくことができるのであれば、それを受け入うけいれるはずだ。そして、その停戦ていせん期間きかんが長引ながびけば長引ながびくほど、停戦ていせんラインがロシアとウクライナの新あらたな国境こっきょうとなる可能かのう性せいが高たかまり、プーチン氏しはこれを勝利しょうり宣言せんげんに利用りようできるだろう。トランプ氏しは、就任しゅうにん後ごできるだけ早はやく戦争せんそうを終おわらせたいと考かんがえており、その和解わかい案あんがどのような形かたちになるかはあまり気きにしない。彼かれはただ、それを終おわらせたいのであり、ウクライナにとっては悪わるいニュースだ」と述のべました。

中東ちゅうとう情勢じょうせい「イスラエルがイラン核かく施設しせつ攻撃こうげきの可能かのう性せい」

また、中東ちゅうとう情勢じょうせいについて、ボルトン氏しは「シリアのアサド政権せいけんが崩壊ほうかいしたこと、イスラエルがハマスに深刻しんこくな被害ひがいを与あたえたこと、そしてヒズボラに対にたいしても、大だい損害そんがいとは言いえずとも深刻しんこくな損害そんがいを与あたえたことで、中東ちゅうとうにおけるイランを支ささえる3つの柱はしらが崩壊ほうかいしたか、大幅おおはばに弱体じゃくたい化かした」と指摘してきした上うえで、「私わたしは、イスラエルがこの機会きかいを利用りようしてイランの核かく開発かいはつ計画けいかくを破壊はかいするという可能かのう性せいを否定ひていできない」と述のべて、イスラエルがイランの核かく関連かんれん施設しせつを攻撃こうげきする可能かのう性せいがあるという見方みかたを示しめしました。