ことしの「
春の
褒章」を
受章するのは、
◆人命救助活動で功績のあった人に贈られる「紅綬褒章」が1人。
◆ボランティア活動で功績のあった人に贈られる「緑綬褒章」が10人と19の団体。
◆長年にわたって、その道一筋に打ち込んできた人に贈られる「黄綬褒章」が200人。
◆芸術や文化、スポーツ、それに学術研究の分野で功績のあった人に贈られる「紫綬褒章」が21人と1つの団体。
◆公共の仕事で顕著な功績があった人に贈られる「藍綬褒章」が412人です。
このうち「紫綬褒章」は
▼先月行われた野球のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックで優勝した日本代表チームが団体で受章します。
また個人では
▼顔認証技術の第一人者として高精度な技術の開発にあたってきた、NECフェローの今岡仁さん
▼民放のドラマ「東京ラブストーリー」など、現代の人間模様を巧みなセリフで描くドラマを生み出してきた脚本家の坂元裕二さん
それに
▼日本舞踊家の花柳基さんや
▼箏曲演奏家の萩岡松韻さんらが受章します。
褒章の受章者が皇居で天皇陛下からおことばを受ける行事は、令和2年の春以降、新型コロナウイルスの影響で取りやめになっていましたが、今回は3年半ぶりに行われる予定です。
NECフェローの今岡仁さん
紫綬褒章を
受章するNECフェローの
今岡仁さんは
東京都出身の53
歳。
大阪大学大学院の博士課程を修了後、1997年にNECに入社。
2002年から顔認証技術の開発に携わり、研究チームのリーダーを務めてきました。
顔の特徴からAI=人工知能を使って認証する技術を世界に先駆けて開発し、アメリカの国立研究機関が行う技術テストで、高精度な顔認証技術として高い評価を受けています。
この顔認証技術は、国内外の空港の搭乗手続きや、インドの国民IDシステムなど、世界45か国で使われています。
受章について
今岡さんは「
研究チームの
メンバーなど会社全体の
受章だと
思うので、
皆に
感謝しています。
最初のころが1
番苦しくて、『
顔認証は
使い物にならないのではないか』と
言われていたが、20
年がたち、
顔認証ができて
当たり前というところまで
来られたのはすごく
喜ばしいことです」と
話していました。
そのうえで「一番目指したいのはカギやカードなどを持たない手ぶらの社会です。セキュリティー分野の製品なので、技術開発だけでなく使い方をしっかり説明し、同意を得ながら世界中に顔認証を広めていきたい」と話していました。
脚本家の坂元裕二さん
紫綬褒章を
受章する
脚本家の
坂元裕二さんは、
大阪府出身の55
歳。
高校卒業後、独学で脚本を学び、1989年に民放のドラマ「同・級・生」で脚本家としてデビューしました。
現代社会をリアリティーのある人物造形で描く脚本が評価され、優れたドラマを次々と世に送り出してきました。
中でも、1991年の民放のドラマ「東京ラブストーリー」は、都会で繰り広げられる若者たちの恋を描いて社会現象となり、トレンディードラマの旗手として一躍、注目を集めました。
また、児童虐待を描いた「Mother」や、犯罪被害者の家族と加害者の家族の交流を描いた「それでも、生きてゆく」など、社会的な問題に鋭く迫ったドラマの脚本でも高く評価されていて、2018年には芸術選奨の文部科学大臣賞を受賞しています。
受章について
坂元さんは「
身に
余る光栄な
受章に
感謝しております。わたしはトレンディー
ドラマと
呼ばれた
テレビ番組作りの
中で
生まれ、
当時も
今もトレンディードラマの
作り
手である
自分に
誇りを
持ち、どんな時代にあっても
新しいものを
作ることを
大きな目標としてきました。
先輩方のご
指導、
仲間たちの
力があっての、
このたびの
受章と
考えております。
ありがとうございました」
などと
コメントしています。
日本舞踊家の花柳基さん
紫綬褒章を
受章する
日本舞踊家の
花柳基さんは、
東京都出身の59
歳。
日本舞踊の花柳流の師範だった母親のもとで幼い頃から日本舞踊を学び、6歳からは人間国宝の二世・花柳壽楽さんから芸の手ほどきを受けました。
体を大きく使った華やかで躍動感のある踊りが特徴で、古典から新作の創作舞踊まで幅広い演目や役柄に挑戦し続け、多くの弟子を育てながら日本舞踊の伝承にも尽力してきました。
インドのニューデリーで現地のアーティストと共に創作舞踊の公演を行うなど、海外でも積極的に日本舞踊の魅力を発信し、2009年には芸術選奨の文部科学大臣賞を受賞しています。
今回の
受章について
花柳さんは「
本当にありがたく
光栄で、
身が
引き締まる思いです。
褒章としていただいた
光が、
私の
踊りの
道を
照らして
くれるのかなと
思っています。
踊りには
日本人の
精神性が
詰まっていて、
技や
芸だけでなく
人を
磨いて
くれるものです。
心を
豊かにする
日本舞踊のよさを、SNS
なども
活用しながら
世界に
広めていければうれしく
思います」と
話していました。
箏曲演奏家の萩岡松韻さん
紫綬褒章を
受章する
箏曲演奏家の
萩岡松韻さんは
東京都出身の66
歳。
琴の流派、山田流箏曲萩岡派の三代目・萩岡松韻の長男として生まれ、幼いころから琴の演奏を学び、東京芸術大学の邦楽科に入学して技術を磨きました。
大学在学中の1982年、四代目・萩岡松韻を継承し、伝統的な箏曲に加えて、みずから作曲も手がけ、これまでに100曲あまり作品を発表しています。
現在は、
母校の
東京芸術大学で
教授を
務め、
学生を
指導するとともに、
これまで
口伝で
受け継がれてきた
古典の
曲を
収集し、
楽譜に
記録する
など伝統の
継承にも
取り組んでいます。
こうした取り組みやすぐれた演奏技術が評価され、萩岡さんは2009年に伝統文化ポーラ賞優秀賞、去年には日本芸術院賞などを受賞しています。
紫綬褒章の受章について、萩岡さんは「大先輩がもらうもので、私には関係のない世界のご褒美だと思っていたので大変驚きました。大先輩の芸を少しでも頂戴したい、残したいというのがひとつの課題なので、これ以上、古典の曲をなくさないように若い人たちに教え、資料として残していくことが私の役目だと思っています。今後、さらにおもしろい曲を作りたいですし、大変、難しい古典の曲を、いい曲だねと感動を与えられるような演奏家になりたいと思っています」と話していました。
イグ・ノーベル賞 日本などの研究チームが「生理学賞」を受賞
ノーベル賞のパロディーで、ユニークな研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の受賞者が発表され、ことしは、ブタなどの動物に「お尻から呼吸する能力があることを発見した」として、日本などの研究チームが「生理学賞」を受賞しました。日本人の受賞は18年連続です。
Source: NHK
Sep 13, 2024 07:09
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