一方、声明からは「今後も追加の金融引き締めが適切だと予想している」という文言がなくなり、次回の会合で利上げを一時停止することを示唆したものとみられています。
パウエル議長は会合後の記者会見で、判断は今後の経済指標次第だとした上で次回会合で利上げを一時停止する可能性もあるという認識を示しました。
FRBとしては今回、利上げを決めインフレを抑えこむことを重視した形です。
▽おととし12月以降、消費者物価が7%以上となりインフレが加速したことから、FRBは去年3月の会合で0.25%の利上げを決めてゼロ金利政策を解除。金融引き締めへと転換します。利上げは3年3か月ぶりでした。 ▽さらに去年5月の会合で22年ぶりとなる0.5%の利上げと「量的引き締め」と呼ばれる金融資産の圧縮に乗り出すことも決めました。しかし、その後もインフレに収束の兆しは見えず、6月以降、11月の会合まで4回連続で0.75%という大幅な利上げを決めました。 ▽その後、発表された消費者物価指数は上昇率が前の月を下回る傾向が続いたことなどから、去年12月の会合では利上げ幅を縮小し、0.5%の利上げを決めました。去年3月にゼロ金利政策を解除し利上げを開始して以降、利上げ幅の縮小は初めてでした。 ▽さらに、ことし1月31日と2月1日に開いた会合では0.25%の利上げと、上げ幅を縮小し、会合後の会見でパウエル議長は「インフレが収まっていく過程が始まった」と言及しました。 ▽しかし、その後、ふたたびインフレの根強さを示す経済指標が相次ぎ、パウエル議長は3月7日の議会証言で今後の経済指標しだいで「利上げのペースを加速させる用意がある」と述べました。市場ではインフレを抑え込むために0.5%の大幅な利上げに踏み切るという観測が高まりました。 ▽この議会証言の直後、3月10日と12日に銀行の破綻が相次いだことを受けて3月の会合では利上げが金融システムに及ぼす影響を踏まえ0.25%の利上げにとどめました。去年3月以降、利上げは9回連続でした。 ▽今回の会合について市場では0.25%の利上げに踏み切るという見方が強まっていました。先週28日に発表されたことし3月のPCE・個人消費支出の物価指数が1年10か月ぶりの低い水準となりましたが、FRBの物価目標である2%を上回っていて、インフレの要因と指摘される人手不足も続いているためです。
《FRBパウエル議長 会合後会見 速報中》
「銀行業界の状況 3月上旬以降 大きく改善」
「利上げ局面の終わりに近づいているという感触」
「債務上限の引き上げは政府の支払いに不可欠」
「インフレ圧力は高く 2%の物価目標までは道のりは遠い」
《FRB 政策の経緯は》