東京大学などが
岐阜県で
建設を
進める宇宙から
伝わる「
重力波」を
観測する
施設、「KAGRA」の
心臓部の
1つと
なる鏡が
完成し、21
日披露されました。「KAGRA」は
来年、
本格的な
観測を
開始する
計画です。「KAGRA」
用の
鏡は
東京大学と
日本の
メーカーなどが
4つ
製作し、
その1つが21
日、
東京大学で
披露されました。
直径は23センチ、厚さは15センチあり、素材は宝石にも使われる鉱石の「サファイア」でできています。
重力波を観測する「KAGRA」は東京大学などが岐阜県飛騨市の地下に建設を進めている大型の施設で、L字に組み合わせた長さ3キロメートルある2本のパイプの中を、両端の鏡で反射させたレーザーの光が往復する仕組みです。
宇宙から重力波が伝わってくると3キロのパイプがわずかにひずみ、中を走るレーザー光の往復時間が微妙に変化することから、重力波を検知することができます。
重力波は、水素原子よりも小さい空間の伸び縮みの変化として伝わってくるため、レーザーを反射する鏡には極めて高い精度が求められます。KAGRAでは、氷点下およそ250度に鏡を冷やすことで、誤差やノイズの発生を極限まで抑える世界初の技術を採用したということです。東京大学などでは今後、鏡を取り付けて、来年、本格的な観測を開始する計画です。
東京大学宇宙線研究所の廣瀬榮一特任助教は「鏡がついに完成し、これから重力波を観測するモードに入る。人類が知らない宇宙の謎を追いかけたい」と話しています。
重力波とは超新星爆発や天体どうしの衝突などで、時空に「ゆがみ」が発生してそれが波のように伝わる現象で、アインシュタインが存在を予想し、これまでにアメリカとヨーロッパの施設が観測に成功しています。宇宙の成り立ちの謎の解明にもつながるとされ、今後、KAGRAの成果が期待されます。