このためメーカーなどで作る協議会は、事故に至らなくても転落の危険を感じた、いわゆるヒヤリ・ハットの体験を集めて事故防止につなげようと、去年12月からおよそ1か月間インターネットで募集し、756件のケースが寄せられました。
それによりますと、生後7か月未満の乳児では、だっこひもに乗せたり降ろしたりする際や前かがみになった際に、赤ちゃんが突然のけぞって滑り落ちそうになるケースが多く、生後7か月から2歳未満になると、歩行中に自分から抜け出そうとするケースが多かったということで、子どもの月齢によって転落につながる危険の状況が異なりました。
今回寄せられた事例の多くは、利用者側がみずからの責任だと感じメーカーなどに報告していないということで、協議会では引き続きヒヤリ・ハットの情報提供を呼びかけるとともに、今回のケースを詳しく分析し年齢に合わせた安全な使い方の啓発や、製品の改良に生かしていくとしています。
「自分が悪い」と思う母親も
だっこひもを使っている生後10か月の女の子の母親は「最近、子どもがだっこひもの中でよく体を動かすようになり、上半身をのけぞらせてそのままテーブルに後頭部をぶつけたことがありました。大ごとにはなりませんでしたが、だっこひもを使う時は常に気を配らないといけないと感じました」と話していました。
生後8か月の女の子の母親は「だっこひもで子どもをだっこしながら落ちた物を拾ったり靴のひもを結んだりする時に、子どもがすり抜けて落ちそうになったことは何度もあります。日常には欠かせないものなので、『みんなが使っているから安全だ』と過信せずに、気をつけて使いたいです」と話していました。
また、だっこひもの使用中に危険な体験をした時、どんな対応をするか聞いたところ、生後8か月の男の子の母親は「製品自体の不良についてはメーカーに問い合わせますが、使用中に子どもが危ない目にあったとしても、『自分が悪いんだ』と思って伝えたことはありません」と話していました。
メーカー団体「ささいなことでも連絡を」
国内でだっこひもを生産、販売、輸入しているメーカー37社が加盟する「抱っこひも安全協議会」の樋口博之代表幹事は「今回の調査で、月齢ごとにどんなリスクが潜んでいるか具体的に把握できたため、メーカーで情報を共有し今後の製品開発や改良に役立てていきたい。赤ちゃんの安全に関わることなので、利用者には使う前に説明書をしっかり読んでもらい、万が一、危険を感じたことがあれば、ささいなことでもメーカーや販売店に伝えてほしい」と話していました。