レースは、序盤からキルワ選手が積極的に前に出て安藤選手と清田選手がともに先頭集団を作りましたが、19キロの手前で清田選手が遅れはじめ、安藤選手とキルワ選手が並走する展開となりました。
このあとキルワ選手が28キロと30キロ過ぎで仕掛けたのに対して安藤選手も食らいつきましたが、33キロ過ぎにキルワ選手が抜け出しました。それでも安藤選手は最後までペースを乱さず日本歴代4位で初マラソンでは最高となる2時間21分36秒の好タイムでフィニッシュしました。
安藤選手は、2時間22分30秒以内で日本選手1位という日本陸上競技連盟が定める条件を満たし、世界選手権の代表に内定しました。
清田選手は日本勢2位、全体3位でフィニッシュし、2時間23分47秒のタイムで世界選手権の代表に大きく近づきました。
優勝はキルワ選手で、2時間21分17秒のタイムで大会3連覇を果たしました。
これで女子マラソンの世界選手権の代表選考レースはすべて終わり、今月17日に行われる日本陸連の理事会で、男子とともに代表選手が決まります。
安藤「タイム上げないと世界と勝負できない」
マラソン初挑戦で日本歴代4位の好記録を出した安藤友香選手は、「キルワ選手と走れる機会は、めったにないので一生懸命ついていこうと思っていた。結果はすごくうれしい。15キロから20キロは苦しくて『大丈夫かな』と思ったが後半のことは考えずに走った。33キロの登りは、練習もしてきたし自信があったが離されてしまったことは力不足だ。諦めずに粘れるレースをすることが持ち味だがタイムを上げないとまだまだ世界と勝負出来ない。また一から積み上げていきたい」と嬉しそうな表情で話していました。
また、タイムについては「歴代の上にいる人たちは自分に厳しい人ばかりだ。私がこういう中に入っていいのかと思うが4番という数字におごらず厳しく精進していきたい」と話していました。
清田「ついていけず悔しい」
日本勢2位で全体の3位に入った清田真央選手は、安藤選手と同じチームでトレーニングを積んでいます。清田選手は、「最後までついていこうと思ったが途中、離されて1人旅になってしまった。ついていけない自分が悔しいし弱いところだと思う。それでもコーチからは、『後半は絶対強い』と言われて自信をもって臨んだ。ダラダラと落ちることなく気持ちを持って走ることができた。世界選手権の代表に選ばれたら集団について最後まで粘りたい」と話していました。
陸連強化担当 瀬古利彦さん「あっぱれ よくやってくれた」
日本陸上競技連盟でマラソンと長距離の強化を担当する瀬古利彦さんは、レース後の記者会見で、マラソン初挑戦ながら2時間21分台の好タイムで、日本勢トップの2位に入った安藤友香選手について「きょうはハッピーだ。あっぱれ、よくやってくれた。怖いもの知らずというか若さと勢いを感じた。安定度、世界ナンバーワンのキルワ選手と19秒差ということは背中が見えているということ。世界選手権では、優勝、メダルも期待できて楽しみだ。日本記録も狙える選手だと思う」と笑顔で話していました。
また、安藤選手に続く3位に入った清田真央選手について「2回目のマラソンで自己ベストも更新した。極端なペースダウンもなくレースは高く評価できる。代表も有力だ」と話していました。