年金財政の
安定化を
図るため、60
歳までとなっている
国民年金の
保険料の
納付期間を65
歳まで
延長し、45
年間とする
案は
前回、2019
年に
実施された「
財政検証」の
中ですでに
検討されています。
前回の検証では、現役世代の平均の手取り収入に対して、夫婦2人のモデル世帯が受け取る年金額の割合を示す「所得代替率」は、実質の経済成長率が0.4%の場合、2047年度の時点で50.8%となりました。
これに対して、保険料の納付期間を5年間延長した場合は、6.8ポイント高い57.6%になりました。
しかし、納付期間が5年間延長されれば、保険料の負担はおよそ100万円増えることになります。
さらに、「基礎年金」の財源の半分は税金で賄われているため、全体の保険料が増えれば、増税の議論も必要になることなどから、前回は導入が見送られたいきさつがあります。
今回、再び納付期間の延長が議論される見通しになっているのは、出生率の低下などで、今後も現役世代の減少が見込まれることから、2024年に実施される「財政検証」で、前回を下回る厳しい結果になることが予想されるからです。
政府は、50%以上の所得代替率を確保することを法律で約束しているため、次の「財政検証」や制度改正に向けて、現役世代の減少や働き方の多様化など、社会の変化に応じた年金制度の検討を進める方針です。