日本新聞: 国民年金の保険料納付期間延長など「財政検証」に向け議論へ

国民こくみん年金ねんきんの保険ほけん料りょう納付のうふ期間きかん延長えんちょうなど「財政ざいせい検証けんしょう」に向むけ議論ぎろんへ

Oct 25, 2022 17:10

Furigana

公的こうてき年金ねんきんの将来しょうらいの給付きゅうふ水準すいじゅんの見通みとおしを示しめす「財政ざいせい検証けんしょう」に向むけた議論ぎろんが厚生こうせい労働ろうどう省しょうの審議しんぎ会かいで始はじまりました。国民こくみん年金ねんきんの保険ほけん料りょうの納付のうふ期間きかんを今いまの40年ねんから延長えんちょうするかどうかなどについて話し合はなしあわれる見通みとおしです。

公的こうてき年金ねんきんをめぐっては、法律ほうりつで5年ねんに1度ど「財政ざいせい検証けんしょう」を行おこない、将来しょうらいの給付きゅうふ水準すいじゅんの見通みとおしを示しめすことが定さだめられていて、次つぎは、再さい来年らいねん令りょう和わ6年ねんに実施じっしされます。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは25日にちに社会しゃかい保障ほしょう審議しんぎ会かいの年金ねんきん部会ぶかいを開ひらき「財政ざいせい検証けんしょう」や、その後そのごの制度せいど改正かいせいに向むけた議論ぎろんを始はじめました。

出席しゅっせき者しゃからは「物価ぶっかの高騰こうとうが続つづく中なか、基礎きそ年金ねんきんの給付きゅうふ水準すいじゅんは十分じゅうぶんなのか」という指摘してきのほか「年金ねんきんの財政ざいせい基盤きばんを抜本ばっぽん的てきに強化きょうかするため、国庫こっこ負担ふたん割合わりあいの引き上ひきあげも含ふくめて議論ぎろんすべきだ」などと、国民こくみん年金ねんきんの財政ざいせい強化きょうかを求もとめる意見いけんが出だされました。

審議しんぎ会かいでは今後こんご、現役げんえき世代せだいの減少げんしょうが年金ねんきん財政ざいせいに与あたえる影響えいきょうなどを踏ふまえ、前回ぜんかいの検証けんしょうの際さいにも議論ぎろんされた国民こくみん年金ねんきんの保険ほけん料りょうの納付のうふ期間きかんを、今いまの40年ねんから45年ねんに延長えんちょうするかどうかについて議論ぎろんされる見通みとおしです。

また、25日にちの議論ぎろんの中なかでは、パートなどで働はたらく短みじか時間じかん労働ろうどう者しゃの厚生こうせい年金ねんきんへの加入かにゅう要件ようけんについて「老後ろうごの生活せいかつを支ささえる重要じゅうような役割やくわりがあり、撤廃てっぱいも含ふくめた見直みなおしも必要ひつようだ」という意見いけんが出だされ、これについても議論ぎろんが行おこなわれる見通みとおしです。

“納付のうふ期間きかん延長えんちょう” 議論ぎろんの背景はいけいは

年金ねんきん財政ざいせいの安定あんてい化かを図はかるため、60歳さいまでとなっている国民こくみん年金ねんきんの保険ほけん料りょうの納付のうふ期間きかんを65歳さいまで延長えんちょうし、45年間ねんかんとする案あんは前回ぜんかい、2019年ねんに実施じっしされた「財政ざいせい検証けんしょう」の中なかですでに検討けんとうされています。

前回ぜんかいの検証けんしょうでは、現役げんえき世代せだいの平均へいきんの手取てどり収入しゅうにゅうに対にたいして、夫婦ふうふ2人にんのモデル世帯せたいが受け取うけとる年金ねんきん額がくの割合わりあいを示しめす「所得しょとく代替だいたい率りつ」は、実質じっしつの経済けいざい成長せいちょう率りつが0.4％の場合ばあい、2047年度ねんどの時点じてんで50.8％となりました。

これに対にたいして、保険ほけん料りょうの納付のうふ期間きかんを5年間ねんかん延長えんちょうした場合ばあいは、6.8ポイント高たかい57.6％になりました。

しかし、納付のうふ期間きかんが5年間ねんかん延長えんちょうされれば、保険ほけん料りょうの負担ふたんはおよそ100万まん円えん増ふえることになります。

さらに、「基礎きそ年金ねんきん」の財源ざいげんの半分はんぶんは税金ぜいきんで賄まかなわれているため、全体ぜんたいの保険ほけん料りょうが増ふえれば、増税ぞうぜいの議論ぎろんも必要ひつようになることなどから、前回ぜんかいは導入どうにゅうが見送みおくられたいきさつがあります。

今回こんかい、再ふたたび納付のうふ期間きかんの延長えんちょうが議論ぎろんされる見通みとおしになっているのは、出生しゅっしょう率りつの低下ていかなどで、今後こんごも現役げんえき世代せだいの減少げんしょうが見込みこまれることから、2024年ねんに実施じっしされる「財政ざいせい検証けんしょう」で、前回ぜんかいを下回したまわる厳きびしい結果けっかになることが予想よそうされるからです。

政府せいふは、50％以上いじょうの所得しょとく代替だいたい率りつを確保かくほすることを法律ほうりつで約束やくそくしているため、次つぎの「財政ざいせい検証けんしょう」や制度せいど改正かいせいに向むけて、現役げんえき世代せだいの減少げんしょうや働はたらき方かたの多様たよう化かなど、社会しゃかいの変化へんかに応おうじた年金ねんきん制度せいどの検討けんとうを進すすめる方針ほうしんです。