イランのロウハニ大統領は、21日までの2日間の日程で日本を訪れていて、20日午後6時すぎから、総理大臣官邸で、安倍総理大臣との首脳会談が行われています。
冒頭、安倍総理大臣は「中東地域の緊張の高まりが継続していることを強く懸念している。日本としては、地域の緊張緩和と情勢の安定化のためにできるかぎりの役割を果たしていく」と述べました。
そのうえで、「イランには、核合意を完全に履行するとともに、地域の平和と安定のために建設的な役割を果たしていくことを強く期待する」と述べました。
これに対し、ロウハニ大統領は、「中東地域、ペルシャ湾岸地域の平和と安定は、わが国にとっても非常に重要だ」と述べました。そして、「核合意は非常に重要だが、アメリカの一方的で非合理的な離脱を強く非難する。日本をはじめ世界各国が合意の維持に向けて努力することを願う」と述べました。
会談は、少人数での会合に続いて、人数を拡大して行われ、安倍総理大臣は、日本に関係する船舶の安全確保に向けた情報収集態勢を強化するため、中東への自衛隊の派遣を検討していることを説明し、理解を求めているものと見られます。
菅官房長官「情報収集強化に自衛隊の活用 丁寧に説明」
菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「わが国は、原油の輸入のおよそ9割を中近東地域に依存しており、この地域における船舶の安全が重要なことは明らかだ。こうした観点から、わが国に関係する船舶の航行安全を確保する日本独自の取り組みとして、情報収集態勢を強化するための自衛隊の活用を検討しており、20日の首脳会談でも日本の取り組みを丁寧に説明することにしている」と述べました。
河野防衛相「派遣は理解をいただけるのでは」
河野防衛大臣は閣議のあとの記者会見で「これまで、たびたびイランに対しては、透明性を持って、自衛隊派遣の検討の前提や、状況といったことを説明してきているので、イラン側には、そうしたことを踏まえて理解をいただけるのではないかと思っている」と述べました。
公明 山口代表「理解と協力を得る外交努力を」
公明党の山口代表は記者団に対し「イランは長年の日本の友好国で、航行の安全確保のために理解と協力を得る外交努力が重要だ。自衛隊の派遣についても、イラン側の理解をぜひ求めてほしい。アメリカ側は新たな合意形成を望んでいて、イランも多国間で航路の安全を確保すべきだという構想を主張するなど共通項がある。丹念に、より大きな合意形成に導くべく突っ込んだ話し合いを期待したい」と述べました。