東海道新幹線は前回の東京オリンピックが開催された1964年に開業し、2回目の大会が開かれることし、JR東海は5年ぶりの新型車両「N700S」を導入することを公表しています。
「N700S」の運行は大会直前の7月1日からに決まり、JRでは、東京大会の前に5編成を導入し、2022年度までに40編成を新型車両に切り替える計画です。
一方、N700Sの導入に伴って、ことし3月には、およそ20年間にわたって運行されてきた「700系」の車両が引退します。
騒音や空気抵抗より低減
新型車両の「N700S」とこれまでの車両の外観の変化を比べてみました。
まず、先頭はこれまでの車両と比べると若干、左右にエッジを立てた形状になっています。「デュアルスプリームウィング形」という名称で、騒音や空気抵抗をより低減させているといいます。
また、ヘッドライトには初めて「LEDライト」が採用されました。
そして車体の横には金色で描かれた「N700S」の文字と、“最高の”を意味する「Supreme」の頭文字から付けられた末尾の「S」をイメージした青色のラインが走っています。
セキュリティー対策も強化
今度は車内の特徴をまとめました。
まず利用者にとってうれしいのがコンセントの増設です。これまで窓際にしかありませんでしたが、すべての座席のひじ掛けに取り付けられています。
リクライニング機能では、より快適な座り心地を追求した結果、背もたれに連動して座面が数センチ沈み込むようになっています。
また、セキュリティー対策も強化されています。これまで車両の両端だけだった防犯カメラを天井に増設し、1両当たり6台で監視するということです。
一方、東海道新幹線は、ことし5月中旬から大きいスーツケースなど3辺の合計が1メートル60センチを超える「特大荷物」は、持ち込むのに予約が必要になります。
地震など異常時の対応強化
「N700S」は外観や車内だけでなく、性能面でも向上している点がありました。
まず速度です。営業最高速度は時速285キロとこれまでと変わりませんが、試験走行では時速360キロを超えるスピードを記録しています。
さらに、地震など異常時への対応が強化されています。ブレーキシステムを改良し、地震発生時のブレーキ距離は最も新しいN700Aよりも5%短縮されています。
また、自然災害などで停電しても自力で走行できるバッテリーを搭載していて、停電でいったん止まっても避難しやすい場所まで簡単に移動することができます。
時速360キロ目指す次世代新幹線も
新幹線をめぐっては、JR東日本でも新型車両の開発が進められています。それが東北新幹線の次世代型新幹線の試験車「ALFAーX」です。JR東日本が2030年度までの完成を目指し約100億円をかけて開発した試験車両です。
去年5月から、営業運転が終わった夜間に1週間に2回程度、仙台駅と新青森駅の間で試験走行が行われていて、再来年3月まで続けられる予定です。最大の特徴は先頭車両の形状です。
いわゆる“鼻”の部分は22メートルあり、車両のおよそ8割を占めています。この形状は、高速でトンネルに入った際の騒音の原因となる圧力波を抑えることを追求した結果だといいます。
さらにスピードも大幅に向上させる方針です。東北新幹線の営業最高速度は、新幹線の中で最も速い時速320キロですが、「ALFAーX」では時速360キロまで引き上げることを目指しています。
このほか、「ALFAーX」では高速走行しても安全運行できるよう、地震時に、より早く安全に止まる装置などが搭載される予定のほか、車両の電子機器の細かい状況を地上からモニタリングできるようにすることで、車両のメンテナンスを低コストでできるようなシステムにするということです。