天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいか チャールズ国王こくおう夫妻ふさい主催しゅさいの晩ばんさん会かいに

チャールズ国王こくおうからの招待しょうたいを受うけイギリスを訪問ほうもんしている両りょう陛下へいかは、現地げんち時間じかんの25日にち夜よる、歓迎かんげいの晩ばんさん会かいに臨のぞむため、バッキンガム宮殿きゅうでんを訪たずねられました。

天皇てんのう陛下へいかは、受章じゅしょうしたばかりのイギリスで最もっとも歴史れきしがある勲章くんしょう「ガーター勲章くんしょう」を身みにつけ、国王こくおうと並ならんでことばを交かわしながらゆっくりと歩あるいて会場かいじょうに入はいられました。

晩ばんさん会かいには日にち英えい両国りょうこくのおよそ170人にんが出席しゅっせきし、まずチャールズ国王こくおうがスピーチに立たって、冒頭ぼうとう、「英国えいこくにお帰かえりなさい」と日本語にほんごで語かたりかけました。

そして、「日にち英えい両国りょうこくのパートナーシップの核心かくしんにあるのは、緊密きんみつな友情ゆうじょうです」としたうえで、時折ときおりユーモアを交まじえながら、両国りょうこくの交流こうりゅうの長ながい歴史れきしに触ふれ、日にち英えい関係かんけいのさらなる発展はってんを祈いのることばを述のべました。

続つづいて天皇てんのう陛下へいかが、長ながい年月としつきをかけ世代せだいを超こえた人々ひとびとの交流こうりゅうを通をつうじて両国りょうこくの関係かんけいが育はぐくまれてきたとしたうえで、「裾野すそのが広ひろがる雄大ゆうだいな山やまを、先人せんじんが踏ふみ固かためた道みちを頼たよりに、感謝かんしゃと尊敬そんけいの念ねんと誇ほこりを胸むねに、更さらに高たかみに登のぼる機会きかいを得えている我々われわれは幸運こううんと言いえるでしょう。今後こんごとも日にち英えい両国りょうこくがかけがえのない友人ゆうじんとして、人々ひとびとの交流こうりゅうを通をつうじて真しんにお互おたがいを理解し合りかいしあう努力どりょくを弛ゆるみなく続つづけ、永続えいぞく的てきな友好ゆうこう親善しんぜんと協力きょうりょく関係かんけいを築きずいていくことを心こころから願ねがっています」と英語えいごでおことばを述のべられました。

歓迎かんげい式典しきてんや馬車ばしゃでのパレードなど昼ひるごろから続つづいた公式こうしき行事ぎょうじを終おえた両りょう陛下へいかは、現地げんち時間じかんの午後ごご11時じすぎに宮殿きゅうでんを出でて、宿泊しゅくはく先さきのホテルに戻もどられました。

イギリス滞在たいざいは28日にちまでの予定よていで、26日にちは、天皇てんのう陛下へいかがヨーロッパ最大さいだい規模きぼの生物せいぶつ医学いがく分野ぶんやの研究所けんきゅうじょなどを視察しさつし、世界せかい的てきな金融きんゆう街がい「シティ」の代表だいひょうらが主催しゅさいする歓迎かんげいの晩ばんさん会かいに臨のぞまれる予定よていです。

チャールズ国王こくおう 日本にっぽん語ごで「英国えいこくにお帰かえりなさい」

バッキンガム宮殿きゅうでんで開ひらかれた晩ばんさん会かいで、チャールズ国王こくおうはスピーチの冒頭ぼうとう「英国えいこくにお帰かえりなさい」と日本語にほんごで述のべ、天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかへの歓迎かんげいの気持きもちを表あらわしました。

そして「日にち英えい両国りょうこくのパートナーシップの核心かくしんにあるのは、緊密きんみつな友情ゆうじょうです。これは、国際こくさいルールとグローバルな制度せいどの重要じゅうよう性せいに対にたいする相互そうご理解りかいに基もとづくもので、最もっとも暗くらい年月としつきをも含ふくんだ歴史れきしの教訓きょうくんの上うえに築きずかれてきました」とした上うえで「今日きょう（こんにち）、私わたしたちはこれらの原則げんそくがかつてないほど問とわれる世界せかいに直面ちょくめんしています。私わたしたちが共有きょうゆうしている自由じゆう、民主みんしゅ主義しゅぎ、法ほうの支配しはいという価値かち観かんがこれほど重要じゅうようになったことはありません」と強調きょうちょうしました。

さらに、日にち英えい両国りょうこくの経済けいざい的てきなつながりや、気候きこう変動へんどう対策たいさくに向むけた共同きょうどう研究けんきゅう、それに安全あんぜん保障ほしょう面めんでの協力きょうりょくなどに触ふれ「このような共通きょうつうの努力どりょくのすべてを支ささえているのは、地理ちり的てきな隔へだたりを乗り越のりこえた日にち英えい両りょう国民こくみんの間まの永続えいぞく的てきな絆きずなです」と述のべました。

またチャールズ国王こくおうはスピーチの中なかで、日本にっぽんの人気にんきキャラクターで、イギリス生うまれという設定せっていの「ハローキティ」や、日本にっぽん発はつの人気にんきゲーム「ポケットモンスター」の話題わだいをユーモアを交まじえて紹介しょうかいし、会場かいじょうの笑わらいを誘さそっていました。

スピーチの最後さいごにチャールズ国王こくおうは、1613年ねんに徳川とくがわ家康いえやすが当時とうじのイングランド国王こくおうジェームズ1世せいに送おくった、両国りょうこくの緊密きんみつな関係かんけいを示しめす親書しんしょについて紹介しょうかいした上うえで「400年ねん以上いじょうたった今たったいまでも、この思おもいは私わたしたちの友情ゆうじょうの中心ちゅうしんに生いき続つづけています。心こころからの親したしみと明あかるく前向まえむきな気持きもちを持もって、天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかと日本にっぽん国民こくみんの皆様みなさまに、そして日にち英えい関係かんけいのこれからの400年ねんのために乾杯かんぱいをささげます」と述のべ、再ふたたび日本語にほんごで「乾杯かんぱい！」と締しめくくりました。

天皇てんのう陛下へいか 晩ばんさん会かいでのおことば

天皇てんのう陛下へいかは、晩ばんさん会かいでのおことばの中なかで、「日にち英えい両国りょうこくには、友好ゆうこう関係かんけいが損そこなわれた悲かなしむべき時期じきがありましたが、苦難くなんのときを経へた後のちに、私わたしの祖父そふや父ちちが女王じょおう陛下へいかにお招まねきいただき天皇てんのうとしてこの地ちを訪おとずれた際さいの想おもいがいかばかりであったかと感慨深かんがいぶかく思おもいます」と述のべられました。

そのうえで、「私わたしの祖父そふは、1971年ねんの晩餐ばんさん会かいで、日にち英えい両国りょうこくの各界かくかいの人々ひとびとがますます頻繁ひんぱんに親したしく接触せっしょくし、心こころを開ひらいて話し合はなしあうことを切せつに希望きぼうし、また、私わたしの父ちちは、1998年ねんに同おなじ晩餐ばんさん会かいで、日にち英えい両りょう国民こくみんが、真しんにお互おたがいを理解し合りかいしあう努力どりょくを続つづけ、今後こんごの世界せかいの平和へいわと繁栄はんえいのために、手てを携たずさえて貢献こうけんしていくことを切せつに念願ねんがんしておりました」と過去かこ2回かいの天皇てんのうの国賓こくひんとしてのイギリス訪問ほうもんを振り返ふりかえられました。

さらに、「日にち英えい関係かんけいは、長ながい年月としつきをかけ世代せだいを超こえた人々ひとびとの交流こうりゅうを通をつうじて育はぐくまれてきました。今回こんかいの英国えいこく訪問ほうもんを通をつうじて、両国りょうこくの友好ゆうこう親善しんぜん関係かんけいが、次代じだいを担になう若者わかものや子こどもたちに着実ちゃくじつに引き継ひきつがれ、一層いっそう進化しんかしていく一助いちじょとなれば幸さいわいです」と話はなされました。

そして最後さいごに、「我々われわれの時代じだいにおいては、政治せいじ・外交がいこう、経済けいざい、文化ぶんか・芸術げいじゅつ、科学かがく技術ぎじゅつ、教育きょういくなど、実じつに様々さまざまな分野ぶんやで日にち英えい間かんの重層じゅうそう的てきな連携れんけい・交流こうりゅうが加速かそくしており、日にち英えい関係かんけいはかつてなく強固きょうこに発展はってんしています。裾野すそのが広ひろがる雄大ゆうだいな山やまを、先人せんじんが踏ふみ固かためた道みちを頼たよりに、感謝かんしゃと尊敬そんけいの念ねんと誇ほこりを胸むねに、更さらに高たかみに登のぼる機会きかいを得えている我々われわれは幸運こううんと言いえるでしょう。今後こんごとも日にち英えい両国りょうこくがかけがえのない友人ゆうじんとして、人々ひとびとの交流こうりゅうを通をつうじて真しんにお互おたがいを理解し合りかいしあう努力どりょくを弛ゆるみなく続つづけ、永続えいぞく的てきな友好ゆうこう親善しんぜんと協力きょうりょく関係かんけいを築きずいていくことを心こころから願ねがっています」と述のべられました。

ガーター勲章くんしょうとは

イギリス王室おうしつによりますと、ガーター勲章くんしょうは1348年ねん、当時とうじのイングランド国王こくおう、エドワード3世せいがアーサー王おう伝説でんせつの「円卓えんたくの騎士きし」にならって創設そうせつした、イギリスで最もっとも歴史れきしがある勲章くんしょうです。

勲章くんしょうの授与じゅよには騎士きし団だんの一員いちいんに加くわえるという意味いみがあり、勲章くんしょうには騎士きし団だんのモットーである「悪意あくいを抱いだく者ものに災わざわいあれ」という文字もじが中世ちゅうせいフランス語ふらんすごで書かかれています。

受章じゅしょう者しゃは君主くんしゅがみずから選えらび、イギリス王室おうしつのメンバー、大おおきな功績こうせきが認みとめられたイギリス国籍こくせきの保持ほじ者しゃ、そして外国がいこくの君主くんしゅなど、3つに分類ぶんるいされます。

このうちイギリス国籍こくせきの保持ほじ者しゃとしては、これまでチャーチル元もと首相しゅしょうやサッチャー元もと首相しゅしょうなどが受章じゅしょうし、現在げんざいはメージャー元もと首相しゅしょうやブレア元もと首相しゅしょうなどが名前なまえを連つらねています。

また、外国がいこく籍せきでは現在げんざいノルウェー、スウェーデン、デンマーク、オランダ、スペイン、そして日本にっぽんの6か国かこくの合あわせて8人にんの君主くんしゅなどが受章じゅしょうしています。

原則げんそくとしてキリスト教きょう国こくの君主くんしゅなどが対象たいしょうですが、日本にっぽんは日にち英えい同盟どうめいの締結ていけつをきっかけに1906年ねん、明治めいじ天皇てんのうが初はじめて受章じゅしょうしたあと、1912年ねんに大正たいしょう天皇てんのうが、1929年ねんに昭和しょうわ天皇てんのうが受章じゅしょうしました。

このうち昭和しょうわ天皇てんのうは第だい2次じ世界せかい大戦たいせんを理由りゆうに1941年ねんに受章じゅしょうを剥奪はくだつされ、その後そのご、1971年ねんのイギリス訪問ほうもんの際さいに回復かいふくされました。

また、上皇じょうこうさまは在位ざいい中ちゅうの1998年ねんに受章じゅしょうされました。

この際さい、当時とうじのエリザベス女王じょおうの夫おっと、フィリップ殿下でんかが第だい2次じ世界せかい大戦たいせんで日本にっぽん軍ぐんの捕虜ほりょになった元もと兵士へいしなどの反対はんたいを背景はいけいに難色なんしょくを示しめしたと報ほうじられ、フィリップ殿下でんかがみずからそうした報道ほうどうを否定ひていする声明せいめいを出だす事態じたいとなりました。

ロンドン郊外こうがいのウィンザー城じょうでは毎年まいとし6月つき、敷地しきち内ないのセントジョージ礼拝れいはい堂どうでガーター勲章くんしょうの受章じゅしょう者しゃによる式典しきてんが行おこなわれ、受章じゅしょう者しゃは勲章くんしょうをつけ、マントを羽織はおった正装せいそう姿すがたで音楽おんがく隊たいや衛兵えいへいとともに礼拝れいはい堂どうまで行進こうしんします。