日本は2回、2試合ぶりに先発した9番の広島・菊池涼介選手のタイムリーヒットで先制し、同点の3回には4番の広島・鈴木誠也選手と5番の楽天・浅村栄斗選手が連続でタイムリーヒットを打つなど、この回、打者10人の攻撃で一挙6点をあげ勝ち越しました。
直後の4回に、先発の楽天・岸孝之投手が韓国打線につかまって5点を失い1点差に追い上げられましたが、5回には1番のヤクルト・山田哲人選手と3番の巨人・丸佳浩選手のタイムリーツーベースで2点をあげリードを広げました。
日本は今大会最多となる14安打で打ち合いを制し、韓国に10対8で勝ちました。これで日本は2次リーグを4勝1敗の1位で通過し、17日の決勝で初優勝を目指して再び韓国と対戦します。
丸「いい勢いであすの決勝へ」
タイムリーツーベースを含むヒット3本と活躍した丸佳浩選手は、「きょうとあす2試合とも韓国に勝って優勝したいとチームメートと話していた。きょう勝ったことで、いい勢いであすの決勝に入れると思う。けがで離脱した秋山選手の分もしっかりやって何としても勝ちたい」と話していました。
山田「やられている分 やり返す」
ここまで打率0割台と苦しみながらも2次リーグ最終戦となった韓国戦で、ヒット2本、2打点と活躍した山田哲人選手は「バッティングの状態としてはそこまで悪くないが、結果が出ていなかったので悔しさもあり、結果にこだわるという意識で試合に臨んだ。これで決勝に向けてメンタル面でもいけるという気持ちになった。韓国には4年前のプレミア12の準決勝でやられている分、やり返すぞという気持ちを持ってとにかく勝つことだけを考えたい」と話していました。
稲葉監督 初優勝に向け「総力戦で戦っていく」
野球の国際大会「プレミア12」で日本は2次リーグを1位で通過し17日夜、東京ドームで行われる決勝で再び前回大会王者のライバル・韓国と対戦します。
初優勝に向けて「総力戦で戦っていく」と稲葉篤紀監督。豊富な投手陣と小技やスピードで着実に1点を奪いにいく日本のスタイルで大一番に挑みます。
16日はすでに決勝進出を決めている日本と韓国にとって、最終順位に関係しない試合でしたが、稲葉監督は決勝を見据え、「隙を見せないように全力で戦っていこう」と選手を送り出しました。
序盤から点を取り合う展開の中でも打線は3つのバントを確実に決め、盗塁も2つ。フォアボールは7個選びました。
稲葉監督は「雑にいかないように、これまでの野球をやろうと思った。バッターたちが後ろにつなぐことをしっかりやってくれた」と日本の持ち味である細かい攻めが確認できたことを評価しました。
打線を引っ張る4番の鈴木誠也選手は16日の韓国戦でもタイムリーヒットを打って好調をキープ。ここまでの7試合で打率4割7分8厘、ホームラン3本、打点12はいずれも出場選手の中でトップの成績です。
さらにこれまで当たりの出ていなかった丸佳浩選手が3安打、山田哲人選手と吉田正尚選手が2安打をマーク。
稲葉監督は「決勝につながる」と手応えを口にしたうえで、1点を大事にする守り勝つ野球を目指すと強調し、「韓国打線を0点というわけにはいかないと思うが、これまでどおり、1点与えても次の1点は与えないという野球をしっかりやっていきたい」と気を引き締めました。
今大会、終盤に登板しているソフトバンクの甲斐野央投手、オリックスの山本由伸投手、DeNAの山崎康晃投手の3人はここまで好投を見せています。
稲葉監督は「いいピッチャーがそろっているので、どんどん後ろにつないでいくことができる」と早めの継投策をとる考えです。
さらに決勝ではこれまで先発で起用してきたDeNAの今永昇太投手とソフトバンクの高橋礼投手もリリーフで待機させる考えを明らかにしました。
「総力戦というのは選手はわかってくれている。全員で戦っていく」と稲葉監督。
先発する巨人の山口俊投手も「長いイニングというのは考えず、一人一人にしっかり投げて後ろにいい形でつなげたい」と監督の思いをくんで話していました。
一方、韓国の予告先発は31歳のヤン・ヒョンジョン投手。韓国プロ野球で通算136勝、今シーズンも16勝をあげている左の本格派です。
今大会は2試合に先発していずれも勝ち投手になり、防御率0.77と抜群の安定感を見せています。
打線を引っ張るのは21歳のイ・ジョンフ選手。父はかつて中日でプレーしたイ・ジョンボムさんです。16日の日本戦を含めてすべての試合でヒットを打ち、打率4割3分5厘をマークしています。
韓国は今大会で、日本を除いてアジア・オセアニアの最上位チームに与えられる東京オリンピックへの出場権をすでに手にしています。
日本が悲願の金メダルを目指す来年の東京オリンピックでもライバルとして立ちはだかるであろう韓国。稲葉監督は「全員で結束力をもって戦っていく」とことばに力を込めました。
これまでの日韓戦は…
日本と韓国はこれまでにも国際大会の大事な局面でたびたび対戦してきました。
2000年のシドニーオリンピックでは、予選リーグで韓国に敗れ、その後、3位決定戦で再び対戦。松坂大輔投手が7回まで得点を与えませんでしたが、8回にイ・スンヨプ選手に決勝の2点タイムリーツーベースを打たれて1対3で敗れ、メダルを逃しました。
2006年の第1回WBC=ワールド・ベースボール・クラシックでは、1次ラウンドと2次ラウンドで韓国に敗れましたが、準決勝でみたび対戦。7回に代打・福留孝介選手のツーランホームランで均衡を破って6対0で快勝。日本は決勝も勝ってWBC初代王者に輝きました。
2008年の北京オリンピックでは、予選リーグで敗れ、準決勝で再び対戦。同点の8回、岩瀬仁紀投手がイ・スンヨプ選手にツーランホームランを打たれて2対6で敗れました。
この時、フェンスの手前でホームランの打球を見送ったのが5番・ライトで出場していた稲葉篤紀監督でした。
2009年の第2回WBCでは韓国と5回も対戦。1次ラウンドでは1勝1敗、2次ラウンドでも1勝1敗で、決勝の相手も韓国でした。
3対3の同点で迎えた延長10回にイチロー選手のセンター前への2点タイムリーヒットで勝ち越し、日本が大会連覇を果たしました。
稲葉監督はこの試合は途中出場。10回にイチロー選手のタイムリーヒットへとつなげる送りバント決めていました。
そして、2015年の第1回プレミア12では、準決勝で対戦。先発の大谷翔平投手が7回をヒット1本、無失点。11個の三振を奪う快投でしたが、3対0の9回にリリーフ陣が韓国打線の粘りにあって一挙4失点で逆転負け。韓国はそのまま決勝も勝ってプレミア12の初代王者となりました。