この企業は、首都圏を中心に放課後児童クラブ、いわゆる学童保育を運営している「ウィズダムアカデミー」です。
この運営企業が都内で運営している学童保育で勤務していた佐藤秀貴被告(30)が、去年8月からことし2月ごろにかけて、児童3人のズボンの中に手を入れて体を触るなどしたとして、強制わいせつの罪に問われていることがNHKの取材で明らかになりました。
このうち1人の児童に対しては体を撮影したとして、児童ポルノ禁止法違反の罪で追起訴されているということです。
この企業は、民間の学童保育を東京や神奈川など1都3県であわせて21か所、展開していますが、一連の事件について、半年以上、施設のほかの利用者などに公表していないということです。
被害児童の保護者の1人は「学童を信じて子どもを預けていたので、強い怒りを感じている。きちんと公表をして、企業としての責任を取ってほしい」と話しています。
NHKの取材に対して、運営する企業は事件を公表していない理由について「公表を避けたい被害者もいることや、二次被害を防ぐことが最重要と考えています。このたびの児童に対する性暴力事件は、全く許し難い犯罪行為であると重く受け止めており、考え得る限りの再発防止策を検討しています」などとコメントしています。
被害児童の保護者「事件を隠しているように見える」
今回の事件で小学生の息子が被害にあったという保護者がNHKの取材に応じ、「事件を公表して、企業としての責任を取ってほしい」と話しました。
取材に応じたのは都内に住む夫婦で、習い事が複数あることや、送迎サービスなどが充実していることから、この企業が運営する学童保育を選んだということです。
息子の被害を知った時、母親は「本当にそんなことがあるのかという驚きと同時に、学童を信じて子どもを預けていたので、そんなことがあっていいのかと強い怒りを感じました」と振り返りました。
父親も「息子はまだ小さい。自分の感情をどこまで表現できているのかは親としても見えづらく、自信を失っている状況です」と苦しい胸の内を明かしました。
夫婦は、学童保育を運営する企業が事件を半年以上公表していない状況に対して、子どもが巻き込まれる性被害を広く伝えることで社会問題として捉えてほしいと、公表の必要性を感じるようになったといいます。
母親は「学童側はほかの児童のプライバシーを守るために公表しないと言っているが、事件を隠しているように見える。ちゃんと公表をして、企業としての責任を取ってほしい」と話していました。