皇后さまは、誕生日にあたって文書で感想を寄せ「還暦という節目の誕生日を迎えることに信じられないような気持ちがいたします」としたうえで「日頃より国民の皆様から寄せていただいている温かいお気持ちに対し、改めまして心からの御礼(おんれい)をお伝えしたいと思います。これからまた新たな気持ちで一歩を踏み出し、努力を重ねながら、この先の人生を歩んでいくことができればと思っております」とつづられました。
また、新型コロナウイルスの猛威から人々の命を救うため力を尽くした人たちに感謝の気持ちを示したうえで「様々な努力が実り、この感染症の問題が少しずつ落ち着きを見せるとともに、街にも活気が戻り、多くの人が徐々に日常の生活を取り戻してきていることに安堵しています。その一方で、今なお様々な困難を抱えている人も多く、身の上を案じています」と述べられました。
さらに、地方訪問の再開が本格化する中、6月の岩手県訪問で天皇陛下の即位後初めて東日本大震災の被災地を訪ねたことを振り返り「被災地の皆さんが、幾多の困難を抱えながらも弛(たゆ)みない努力を続けてこられた姿に心を打たれました。被災地が今後、真の復興を遂げていくことを心から願うとともに、引き続き被災地に心を寄せていきたいという思いを新たにいたしました」とつづられました。
また、令和になって初めての外国への親善訪問となったインドネシア訪問について「久々の海外への親善訪問で、滞在期間も国内で地方を訪問する時よりも 長かったこともあり、当初は不安もありましたが、多くの方に温かく迎えていただき、お陰様で、貴重な経験に満ちた思い出に残る初めてのインドネシア滞在となりました」と振り返られました。
さらに、結婚30年の節目を迎えたことについて「この30年の間のことを思い起こしますと、上皇上皇后両陛下の温かいお導きの下で、天皇陛下に常に優しくお支えいただき、また、ほかにも多くの方々に助けられ、見守っていただきながら、今日の日を迎えることができましたことに心から感謝しております」とつづられました。
そのうえで、大学4年生の愛子さまについて「まだあどけないところも残る愛子ではありますが、いろいろな時に私(わたくし)たちを助けてくれるようにもなってきたと感じます」と述べられました。
皇后さまは、9日午前、天皇陛下とともに、皇居・宮殿で、皇族方や三権の長などから祝賀を受けられることになっています。
皇后さまの誕生日にあたって、宮内庁は、天皇ご一家が皇居にあるお住まいの御所で歓談されている映像を公開しました。
映像は今月1日に撮影され、皇后さまは、インドネシアの大統領夫妻から贈られた写真のアルバムや、ジャワ特産の染め物「バティック」を手に取りながら、ことし6月のインドネシア親善訪問の思い出を話されていたということです。