そのうえで「ウクライナにとってこの戦争が終結するのは、われわれのものを取り戻したときだけだ。われわれの領土は歴史の一部であり、それを返還することは国際法の尊重を意味する」と強調し、ロシア軍が占領した地域から撤退する必要があると改めて主張しました。
一方、ウクライナの「アゾフ大隊」は11日、SNSに「製鉄所ではこの24時間で38回の空爆があった」と投稿し、ロシア軍の激しい攻撃が続いているとしました。
声明では「アメリカ国務省がNGOを通じて、ロシア社会でウクライナでの軍事作戦の信用を落とすキャンペーンを始めた」としています。 そして「混乱を引き起こすような文言をSNSで拡散する準備が進められている。ロシアの若者たちが街頭に出て欧米が『自由で民主的』だとする、みずからの利益となるような変化を起こそうとしている」と根拠を示さないまま一方的に主張しています。 これに対し、アメリカ国務省の報道担当者は「ロシアが長年、偽情報やプロパガンダを拡散していたことを考えると、非常に皮肉な声明だ」と反論しています。 ロシアのプーチン政権は、ウクライナへの軍事侵攻を開始して以降、情報統制を強化し、SNSの「テレグラム」を通じて反戦を訴え、抗議行動を呼びかける人々の身柄を拘束するなど、軍事侵攻に異を唱える声が高まることに神経をとがらせています。
ロシア軍は東部2州の掌握を目指していますが、ハルキウ州ではウクライナ軍が10日、4つの集落を奪還したと発表するなど、押し戻す動きが見られます。 こうした中、ロシア国防省は、ウクライナ軍がアメリカなどの支援を受け、生物兵器を開発していた証拠が見つかったなどと一方的に主張しました。 ウクライナ側は逆にロシア軍が、東部マリウポリの製鉄所に残るウクライナの部隊に、化学兵器による攻撃を仕掛ける可能性があるとしていて、こう着する戦局を打開するため、ロシア軍が生物兵器や化学兵器の使用に踏み切るのではないかという懸念が上がっています。
面会したのは、カテリーナ・プロコペンコさん(27)と、ユリア・フェドシュクさん(29)で、教皇に対し「兵士たちは食料も水もなく、多くがけがをして、死んでしまう人もいます。あなたなら命を救うことができます。彼らを死なせないでください」と涙ながらに訴え、製鉄所にいる兵士たちを安全に退避させるようロシアのプーチン大統領への働きかけを求めました。 これに対して、フランシスコ教皇は「できるだけのことをしたい」と答えたということです。 2人のうちフェドシュクさんは2日前に夫から「水がなくなった。水がなくても生き延びる方法を検索してほしい」というメッセージを受け取ったということです。 2人は報道陣に対し「製鉄所にはけがをした兵士が600人から700人いて、手足を失った人もいる。彼らは第三国に退避できるのであれば武器を置くと言っている」と話し、兵士たちの命を救ってほしいと訴えました。
親ロシア派によるガスの抜き取りがあったと説明し「輸送量を維持する責任を持てない」として、ロシア側の妨害行為で停止を余儀なくされたと訴えています。 ロシアからヨーロッパに輸送されるガスのおよそ3分の1はこの地域を通って供給されているということで、ウクライナの会社は別のルートでガスを送るよう求めています。 一方、ロシア側は「そのような状況は確認されていない」としたうえで、別のルートでの供給は技術的に不可能だとしています。
このうち238人は子どもだとしています。 地域別でみると、東部のドネツク州とルハンシク州で1865人、キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1631人の死亡が、それぞれ確認されているということです。 また、けがをした市民は3760人に上るとしています。 ただ国連人権高等弁務官事務所は、東部のマリウポリなど激しい攻撃を受けている地域での死傷者の数については、集計が遅れていたり、確認がまだ取れていなかったりして統計に含まれておらず、実際は大きく上回るという見方を示しています。
主な避難先は、 ▼ポーランドがおよそ325万人、 ▼ルーマニアがおよそ88万人、 ▼ハンガリーがおよそ57万人、 ▼モルドバがおよそ45万人などとなっています。 また、 ▼ロシアに避難した人はおよそ77万人となっています。
写真には、顔に大きなけがをして口のまわりが大きく腫れた男性や、腕を失った男性、それに片足を失って松葉づえで立つ男性などが写っています。 アゾフ大隊はこの写真とともに「けがをした兵士たちは完全に不衛生な状況の中にいる。写真の中の兵士や製鉄所にいる数百人の兵士は、自分たちの健康を犠牲にしてウクライナと世界を守ったのだ」と投稿し、国際社会に対して、負傷した兵士を早急に救出することが必要だと訴えました。
エフゲニー・ソスノフスキーさん(57)は、マリウポリのアゾフスターリ製鉄所の近くに住んでいましたが、ロシア軍による砲撃が激化したことを受けて、先月30日、妻と母と一緒に人道回廊と呼ばれる避難ルートを使って町の外に出ようと決めたものの、迎えのバスが来なかったといいます。 ソスノフスキーさんは「私たちは人道回廊で何度も避難しようとしたが、できなかった。避難のためのバスが来ると発表があり、その場所まで行ったが、その日は夜まで待ってもバスは到着せず、新しい情報もなかった。風が強い日で、90歳の母はとても寒がっていた。翌日も雨の中、朝からバスを待ち、翌々日も待ったが、結局バスは来なかった。最終的にバスを諦めて自分で車を手配し、避難することにした」と当時の状況について語りました。 手配した車でマリウポリから避難する途中、ロシア軍が設置した検問所を何度も通らなければならず「検問所ではスマートフォンの写真まで細かく確認された。少しでもこの戦争に関するものがあれば検問を通れなかった」と話しました。 また「近くにいた人はカーキ色のリュックサックを持っていたという理由で検問を通れなかった。最後の検問所は特に厳しく、若い男性は裸にされ、スマートフォンのメッセージなども詳しく確認されていた。検問所でバスの列を見たが、ほとんど人が乗っておらず、限られた人しかロシア軍の占領地域から出られないのだと感じた」と語りました。 ソスノフスキーさんは途中、数々の町を経由して今月3日に南東部ザポリージャに到着したということですが「マリウポリにいたときはインターネットにつながらなかったが、避難した今、たくさんのメッセージが届くようになった。親類が亡くなったことも今になって知った。私のきょうだいの家族が砲撃で亡くなり、庭に穴を掘って埋めなければならなかった。マリウポリには同じような家族がとてもたくさんいる。マリウポリのすべてが破壊され、非常に悲しく思っている」と苦しい胸の内を語りました。
また「軍事的な詳細は明らかにできない」と断ったうえで「町を取り囲むように、4つの方面で、厳重な防衛ラインを築いている。われわれは必ずドニプロを防衛する」と徹底抗戦する姿勢を示しました。 ドニプロは、戦闘に巻き込まれた東部の各地から、大勢の市民が避難した町として知られています。 市長は「すでにおよそ20万人が避難しているとみられる。このうち、およそ5万人がマリウポリからの避難民だ」と述べ、食料や住宅が行き渡るよう、支援を進めていると説明しました。 その一方で、負傷した兵士や市民を受け入れるうえでの課題も指摘し「けが人の大部分は銃弾ではなく、砲撃や地雷、それにミサイル攻撃によって負傷している。市内には6つの公立病院のほか、軍の病院などもあるが、すでに満床に近い状態だ」と苦境を明らかにしました。 そして日本からの支援については「これまでに8回、日本を訪れたことがあり、日本について理解しているつもりだ。日本の国民や政府がロシアの軍事侵攻に強く反対していることに、感謝している」と謝意を示しました。
先月24日時点で、ウクライナ国外に逃れた523万人のうち、仕事に就いていた人が120万人いて、避難に伴って仕事を失ったということです。 ILOは今後、軍事侵攻が続けば、3か月後には雇用全体の4割を超える700万の仕事が失われる可能性があるとしていて、ロシアに対し直ちに攻撃をやめるよう求めています。
“重傷の兵士避難の代わりにロシア捕虜を引き渡し”提案
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ウクライナ軍 東部で押し戻す ロシア 南部で支配既成事実化へ
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“少なくとも3496人の市民が死亡”UNHCRが発表
ウクライナ国外に避難 約598万人(10日時点)
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ドニプロの市長 負傷した兵士や市民受け入れ「満床に近い状態」
“ウクライナで雇用全体の3割の仕事失われた”ILO推計
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる12日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ゼレンスキー大統領「NATOに加盟していたら戦争なかったと確信」