そのうえで「ウクライナにとってこの戦争せんそうが終結しゅうけつするのは、われわれのものを取り戻とりもどしたときだけだ。われわれの領土りょうどは歴史れきしの一部いちぶであり、それを返還へんかんすることは国際こくさい法ほうの尊重そんちょうを意味いみする」と強調きょうちょうし、ロシア軍ぐんが占領せんりょうした地域ちいきから撤退てったいする必要ひつようがあると改あらためて主張しゅちょうしました。

一方いっぽう、ウクライナの「アゾフ大隊だいたい」は11日にち、SNSに「製鉄せいてつ所しょではこの24時間じかんで38回かいの空爆くうばくがあった」と投稿とうこうし、ロシア軍ぐんの激はげしい攻撃こうげきが続つづいているとしました。

面会めんかいしたのは、カテリーナ・プロコペンコさん（27）と、ユリア・フェドシュクさん（29）で、教皇きょうこうに対にたいし「兵士へいしたちは食料しょくりょうも水みずもなく、多おおくがけがをして、死しんでしまう人ひともいます。あなたなら命いのちを救すくうことができます。彼かれらを死しなせないでください」と涙なみだながらに訴うったえ、製鉄せいてつ所しょにいる兵士へいしたちを安全あんぜんに退避たいひさせるようロシアのプーチン大統領だいとうりょうへの働はたらきかけを求もとめました。

これに対にたいして、フランシスコ教皇きょうこうは「できるだけのことをしたい」と答こたえたということです。

2人にんのうちフェドシュクさんは2日にち前まえに夫おっとから「水みずがなくなった。水みずがなくても生き延いきのびる方法ほうほうを検索けんさくしてほしい」というメッセージを受け取うけとったということです。

2人にんは報道陣ほうどうじんに対にたいし「製鉄せいてつ所しょにはけがをした兵士へいしが600人にんから700人にんいて、手足てあしを失うしなった人ひともいる。彼かれらは第三国だいさんごくに退避たいひできるのであれば武器ぶきを置おくと言いっている」と話はなし、兵士へいしたちの命いのちを救すくってほしいと訴うったえました。

写真しゃしんには、顔かおに大おおきなけがをして口くちのまわりが大おおきく腫はれた男性だんせいや、腕うでを失うしなった男性だんせい、それに片足かたあしを失うしなって松葉まつばづえで立たつ男性だんせいなどが写うつっています。

アゾフ大隊だいたいはこの写真しゃしんとともに「けがをした兵士へいしたちは完全かんぜんに不ふ衛生えいせいな状況じょうきょうの中なかにいる。写真しゃしんの中なかの兵士へいしや製鉄せいてつ所しょにいる数すう百ひゃく人にんの兵士へいしは、自分じぶんたちの健康けんこうを犠牲ぎせいにしてウクライナと世界せかいを守まもったのだ」と投稿とうこうし、国際こくさい社会しゃかいに対にたいして、負傷ふしょうした兵士へいしを早急そうきゅうに救出きゅうしゅつすることが必要ひつようだと訴うったえました。

エフゲニー・ソスノフスキーさん（57）は、マリウポリのアゾフスターリ製鉄せいてつ所しょの近ちかくに住すんでいましたが、ロシア軍ぐんによる砲撃ほうげきが激化げきかしたことを受うけて、先月せんげつ30日にち、妻つまと母ははと一緒いっしょに人道じんどう回廊かいろうと呼よばれる避難ひなんルートを使つかって町まちの外そとに出でようと決きめたものの、迎むかえのバスが来こなかったといいます。

ソスノフスキーさんは「私わたしたちは人道じんどう回廊かいろうで何なん度ども避難ひなんしようとしたが、できなかった。避難ひなんのためのバスが来くると発表はっぴょうがあり、その場所ばしょまで行いったが、その日ひは夜よるまで待まってもバスは到着とうちゃくせず、新あたらしい情報じょうほうもなかった。風かぜが強つよい日ひで、90歳さいの母はははとても寒さむがっていた。翌日よくじつも雨あめの中なか、朝あさからバスを待まち、翌々日よくよくじつも待まったが、結局けっきょくバスは来こなかった。最終さいしゅう的てきにバスを諦あきらめて自分じぶんで車くるまを手配てはいし、避難ひなんすることにした」と当時とうじの状況じょうきょうについて語かたりました。

手配てはいした車くるまでマリウポリから避難ひなんする途中とちゅう、ロシア軍ぐんが設置せっちした検問けんもん所しょを何なん度ども通とおらなければならず「検問けんもん所しょではスマートフォンの写真しゃしんまで細こまかく確認かくにんされた。少すこしでもこの戦争せんそうに関にかんするものがあれば検問けんもんを通とおれなかった」と話はなしました。

また「近ちかくにいた人ひとはカーキ色しょくのリュックサックを持もっていたという理由りゆうで検問けんもんを通とおれなかった。最後さいごの検問けんもん所しょは特とくに厳きびしく、若わかい男性だんせいは裸はだかにされ、スマートフォンのメッセージなども詳くわしく確認かくにんされていた。検問けんもん所しょでバスの列れつを見みたが、ほとんど人ひとが乗のっておらず、限かぎられた人ひとしかロシア軍ぐんの占領せんりょう地域ちいきから出でられないのだと感かんじた」と語かたりました。

ソスノフスキーさんは途中とちゅう、数々かずかずの町まちを経由けいゆして今月こんげつ3日にちに南東なんとう部ぶザポリージャに到着とうちゃくしたということですが「マリウポリにいたときはインターネットにつながらなかったが、避難ひなんした今いま、たくさんのメッセージが届とどくようになった。親類しんるいが亡なくなったことも今いまになって知しった。私わたしのきょうだいの家族かぞくが砲撃ほうげきで亡なくなり、庭にわに穴あなを掘ほって埋うめなければならなかった。マリウポリには同おなじような家族かぞくがとてもたくさんいる。マリウポリのすべてが破壊はかいされ、非常ひじょうに悲かなしく思おもっている」と苦くるしい胸むねの内うちを語かたりました。

また「軍事ぐんじ的てきな詳細しょうさいは明あきらかにできない」と断ことわったうえで「町まちを取り囲とりかこむように、4つの方面ほうめんで、厳重げんじゅうな防衛ぼうえいラインを築きずいている。われわれは必かならずドニプロを防衛ぼうえいする」と徹底てってい抗戦こうせんする姿勢しせいを示しめしました。

ドニプロは、戦闘せんとうに巻き込まきこまれた東部とうぶの各地かくちから、大勢たいせいの市民しみんが避難ひなんした町まちとして知しられています。

市長しちょうは「すでにおよそ20万まん人にんが避難ひなんしているとみられる。このうち、およそ5万まん人にんがマリウポリからの避難ひなん民みんだ」と述のべ、食料しょくりょうや住宅じゅうたくが行き渡いきわたるよう、支援しえんを進すすめていると説明せつめいしました。

その一方いっぽうで、負傷ふしょうした兵士へいしや市民しみんを受け入うけいれるうえでの課題かだいも指摘してきし「けが人けがにんの大だい部分ぶぶんは銃弾じゅうだんではなく、砲撃ほうげきや地雷じらい、それにミサイル攻撃こうげきによって負傷ふしょうしている。市内しないには6つの公立こうりつ病院びょういんのほか、軍ぐんの病院びょういんなどもあるが、すでに満まん床ゆかに近ちかい状態じょうたいだ」と苦境くきょうを明あきらかにしました。

そして日本にっぽんからの支援しえんについては「これまでに8回かい、日本にっぽんを訪おとずれたことがあり、日本にっぽんについて理解りかいしているつもりだ。日本にっぽんの国民こくみんや政府せいふがロシアの軍事ぐんじ侵攻しんこうに強つよく反対はんたいしていることに、感謝かんしゃしている」と謝意しゃいを示しめしました。