米中首脳会談はAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に合わせて、アメリカ西海岸のサンフランシスコ近郊で、現地時間の15日午前11時すぎ、日本時間の16日午前4時すぎから始まり、さきほど終わりました。
両首脳による対面での会談は1年ぶりです。
会場に習近平国家主席が到着するとバイデン大統領が笑顔で出迎え、2人は握手をしたあと、報道陣の声かけには答えず、建物の中に入りました。
米中の間で台湾や南シナ海をめぐる情勢、それに経済安全保障分野などをめぐって対立が深まる中、会談を通じて、去年夏から遮断されている軍のホットラインの再開など、両国が意思の疎通を円滑にはかれる環境を築けるかが焦点です。
また両首脳はイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が続く中東情勢についても意見を交わしているとみられ、米中の対立の深まりに歯止めをかける糸口を見いだせるのか注目されています。
ホワイトハウスは、バイデン大統領がこのあと、日本時間の午前、単独で記者会見を行い、会談の成果を発表するとしています。
バイデン大統領「競争が衝突へ転じないように」
アメリカのバイデン大統領は中国の習近平国家主席との首脳会談の冒頭、「去年、G20にあわせてインドネシアのバリ島で私たちが会って以来、われわれのチームの主要なメンバーはさまざまな問題について重要な議論を交わしてきた。対面での話し合いにかわるものはない。私たちの話し合いはいつも率直であり、感謝している」と述べました。
そして、「わたしは今回の会談を重視している。指導者どうしが互いに誤解をしないことは最も重要だと考えているからだ」としたうえで、「私たちは競争が衝突へと転じないよう責任ある形で競争を管理していかなければならない」と述べました。
習国家主席「新しい合意に達すること期待」
中国の習近平国家主席は、会談の冒頭「世界は新型コロナウイルスの感染拡大からは抜け出したが、大きな影響はまだ残っている。世界経済は回復し始めたが力強さに欠け、産業のサプライチェーンは妨げられ、保護主義が台頭するなど、これらの問題が非常に際立っている。世界で最も重要な二国間関係として、中米関係は人類の進歩のために責任を果たさなければならない」と述べました。
そして、「この50年余り、中米関係は順風満帆ではなく紆余曲折(うよきょくせつ)の中で前に向かって発展してきた」としたうえで、「この地球は中米両国を受け入れることができる。それぞれの成功は互いのチャンスだ。私は中米関係の将来は明るいとかたく信じている」と述べました。
また、習国家主席は「両大国が関わり合わないことはいけないことで、お互いのことを変えようとすることも現実的ではなく、衝突と対抗の結果には誰も耐えることはできない」と述べたうえで、「私と大統領は中米関係をかじ取りする者として人々、世界、歴史に対し、重い責任を背負っている。きょう、私は大統領と中米関係の戦略性、方向性、それに世界の平和と発展の重大な問題について、突っ込んだ意見交換を行い、新しい合意に達することを期待している」と述べました。
さらに、「大国による競争はこの時代の潮流ではなく、両国と世界が直面する問題を解決することもできない」としたうえで、「両国の歴史、文化、社会制度、発展の道が異なることは客観的な現実だ。しかし、双方が相互尊重、平和共存、ウィンウィンの協力を堅持するかぎり、完全に相違を乗り越えて、正しくつきあう道を見つけることができる」と述べました。
アメリカ ロシアとも接触あるか注目
一方、ロシア外務省のザハロワ報道官は15日に行った会見の中で、APECの首脳会議をめぐり、「アメリカから水面下ではあるが、われわれと現実的で非公式な対話を行う用意があるというシグナルがでている」などと述べ、アメリカ側から何らかの対話の打診が内々にあったと主張しました。
APECの首脳会議にはロシアからはプーチン大統領は出席せず、代わりにオベルチュク副首相が出席することになっています。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によってアメリカとロシアの対立が深まるなか、両国の間で何らかの接触が見られるか注目されます。