日本新闻: アルツハイマー病リスク高める遺伝子のメカニズムを解明

アルツハイマー病びょうリスク高たかめる遺伝子いでんしのメカニズムを解明かいめい

Oct 22, 2023 04:10

Furigana

アルツハイマー病びょうのリスクを高たかめることが知しられているものの、詳くわしい仕組しくみが分わかっていなかった特殊とくしゅな遺伝子いでんしが、神経しんけい細胞さいぼうの働はたらきを妨さまたげるメカニズムを慶応けいおう大学だいがくのグループが、iPS細胞さいぼうを使つかった実験じっけんでつきとめたと発表はっぴょうしました。

この研究けんきゅうは、慶応けいおう大学だいがくの岡野おかの栄さかえ之の教授きょうじゅらのグループが国際こくさい的てきな科学かがく雑誌ざっしの「ステムセル・リポーツ」で発表はっぴょうしました。

アルツハイマー病びょうは「APOE4」と呼よばれる遺伝子いでんしを持もっている人ひとでは発症はっしょうのリスクが3.5倍ばい以上いじょうに高たかまりますが、詳くわしいメカニズムはこれまで分わかっていませんでした。

グループでは人工じんこう的てきに「APOE4」を持もたせたヒトのiPS細胞さいぼうを神経しんけい系けいの細胞さいぼうに変化へんかさせたうえで、正常せいじょうな神経しんけい細胞さいぼうと一緒いっしょに培養ばいようしました。

その結果けっか、一緒いっしょに培養ばいようした神経しんけい細胞さいぼうは、表面ひょうめんにある情報じょうほう伝達でんたつの役割やくわりを担になう「スパイン」と呼よばれる突起とっきが成長せいちょうしにくくなり、突起とっきの長ながさが通常つうじょうよりおよそ20％短みじかくなっていたということです。

この遺伝子いでんしを持もつ細胞さいぼうから多おおく分泌ぶんぴつされるたんぱく質たんぱくしつの1つが、スパインの成長せいちょうを妨さまたげることも確認かくにんできたということで、グループでは、このたんぱく質たんぱくしつが神経しんけいのシナプスの障害しょうがいを引き起ひきおこすことで、アルツハイマー病びょうのリスクを高たかめている可能かのう性せいがあるとしています。