NATOの首脳会議は、9日から11日にかけてワシントンで開かれます。
現地では創設から75年の節目を迎えた記念の式典が行われ、会議が始まりました。
NATOのストルテンベルグ事務総長は演説で「ロシアのウクライナに対する戦争は数世代にわたる最大の安全保障上の危機だ。最大のリスクはロシアがウクライナで勝利をおさめることだ。そのようなことは起こしてはならない」と述べてロシアによるウクライナ侵攻が続く中、加盟国の結束の重要性を訴えました。
また開催国・アメリカのバイデン大統領は演説で「NATOは歴史上かつてないほど強固だ。ウクライナは自由な国だったが今も自由な国だ。ロシアが勝つことはない。ウクライナが勝利する」と述べました。
NATOによりますと、今回の会議では、ウクライナへの軍事支援を強化するため、NATOの役割を拡充し、兵器の供与やウクライナ軍兵士の訓練について加盟国間の調整を担うことや資金確保に向けた取り組みについて合意する見通しです。
ヨーロッパでは、NATOのあり方を見直す考えを示してきたトランプ氏が秋の大統領選挙で返り咲いた場合、NATOの結束への影響を懸念する声も出ています。
一方、自身の年齢に対する不安が広がる中、バイデン大統領が首脳会議で議論をリードし、指導力を示すことができるのかも注目されています。
ゼレンスキー大統領 ワシントンに到着
ウクライナのゼレンスキー大統領は、NATOの首脳会議に出席するため、9日、ワシントンに到着しました。
ゼレンスキー大統領は記者団に対し、ロシア軍が8日に大規模なミサイル攻撃を行い、首都キーウの小児病院などに大きな被害が出たことを念頭に「今回の事態を受け、バイデン大統領をはじめとする各国の首脳は、これまでよりも力強く、断固とした姿勢で臨むことができると思う」と述べ、防空システムの支援などについて議論の進展に期待を示しました。
岸田首相も10日にアメリカへ出発
岸田総理大臣は、NATO=北大西洋条約機構の首脳会議に出席するため、10日午後に政府専用機で羽田空港を出発します。
首脳会議には、NATOのインド太平洋地域のパートナー国である日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの4か国で出席し、サイバー攻撃への対処や偽情報対策などの分野で協力を広げることを確認する見通しです。
さらに日本など4か国は、ウクライナのゼレンスキー大統領、アメリカのバイデン大統領と、それぞれ会合を開くことも検討しています。
岸田総理大臣としては、ウクライナ支援を継続していく姿勢を重ねて強調するとともに、ロシアや中国の動向を踏まえ、ヨーロッパとアジア地域の安全保障は不可分だという認識のもとでNATOや関係国と一層の連携強化を図り、日本周辺の平和と安定にもつなげていきたい考えです。
岸田総理大臣はアメリカに続いてドイツを訪れ、ショルツ首相と会談する予定で、重要鉱物などの供給網の構築を含めた経済安全保障分野での新たな協力の枠組みを設ける方向で調整しています。