横浜よこはま市し教委きょうい 教員きょういんのわいせつ事件じけん裁判さいばんで職員しょくいん動員どういんし傍聴ぼうちょう席せき埋うめる

横浜よこはま市し教育きょういく委員いいん会かいの会見かいけんによりますと、教員きょういんが児童じどうや生徒せいとに対にたいしてわいせつな行為こういを行おこなったとして逮捕たいほ・起訴きそされた4つの事件じけんに関にかんし、2019年ねんからことしにかけて横浜よこはま地方ちほう裁判所さいばんしょで行おこなわれた合あわせて11回かいの公判こうはんについて、傍聴ぼうちょう席せきを埋うめるため、職員しょくいんを動員どういんしていたということです。

最大さいだいで50人にんの職員しょくいんに業務ぎょうむとして傍聴ぼうちょうさせていたということで「不ふ特定とくてい多数たすうの人ひとが傍聴ぼうちょうすることで、プライバシーが守まもられないことが懸念けねんされる。保護ほご者しゃ側がわから『不ふ特定とくてい多数たすうの人ひとに聞きかれないよう多おおくの職員しょくいんに来きてほしい』と要請ようせいを受うけ、思おもいをくみ取くみとった」と主張しゅちょうしています。

集団しゅうだんで傍聴ぼうちょうしていることがわからないように、裁判所さいばんしょ内ないで声こえをかけ合あわないことや、裁判所さいばんしょの前まえで待ち合まちあわせないことなどを指示しじしていたということです。

市し教委きょういは一般いっぱんの人ひとの傍聴ぼうちょうの機会きかいを損そこなうものだったとして、今後こんごこうした動員どういんはしないとしています。

横浜よこはま市し教育きょういく委員いいん会かいの村上むらかみ謙介けんすけ教職きょうしょく員いん人事じんじ部長ぶちょうは「一般いっぱんの方ほうの傍聴ぼうちょうの機会きかいが損そこなわれたことについて大変たいへん申し訳もうしわけなく思おもっている。加害かがい者しゃの行為こういを隠蔽いんぺいするつもりはなかった」と話はなしています。

江川えがわ紹子こさん「機会きかいを奪うばったことは相当そうとう大おおきな問題もんだい」

今回こんかいの問題もんだいについて、ジャーナリストの江川えがわ紹子こさんはまず裁判さいばんの公開こうかいの原則げんそくについて触ふれ、「裁判さいばんの傍聴ぼうちょうには、裁判さいばんがきちんと行おこなわれているか一般いっぱんの人ひとたちがチェックすることに加くわえ、どういう出来事できごとがあったのか知しる機会きかいになるという意味いみがある」と指摘してきしました。

そのうえで、教員きょういんによる児童じどうや生徒せいとへのわいせつ事件じけんの裁判さいばんを一般いっぱんの人ひとが傍聴ぼうちょうできないよう、横浜よこはま市し教育きょういく委員いいん会かいが職員しょくいんを動員どういんしていた今回こんかいの対応たいおうについて、「昨今さっこんの関心かんしん事ごととなっている子こどもの性せい被害ひがいにどう対応たいおうすべきなのかを考かんがえるきっかけにもなるので、教育きょういく委員いいん会かいがそうした機会きかいを奪うばったことは相当そうとう大おおきな問題もんだいだ」と指摘してきしています。

また「裁判所さいばんしょは被害ひがい者しゃの保護ほごにとても神経しんけいを使つかっていて、被害ひがい者しゃが申し入もうしいれれば、プライバシーに関かかわる情報じょうほうが裁判さいばんで出でないようにしてもらえるはずで、本来ほんらいは教育きょういく委員いいん会かいがしゃしゃり出しゃしゃりでてくるような場面ばめんではない。被害ひがい者しゃ保護ほごのためだったというのは、にわかには信しんじがたいところがあるので、第だい三さん者しゃの目めも入いれてきちんと検証けんしょうする必要ひつようがある」と話はなしていました。

動員どういんの経緯けいい 「業務ぎょうむ」として出張しゅっちょう旅費りょひも

横浜よこはま市し教育きょういく委員いいん会かいが職員しょくいんを動員どういんしたのは、2019年ねんからことしまでに横浜よこはま地方ちほう裁判所さいばんしょで開ひらかれた11回かいの公判こうはんで、いずれも教員きょういんが児童じどうや生徒せいとにわいせつ行為こういを行おこなったとされる事件じけんに関にかんするものでした。

裁判さいばんの期日きじつが決きまると、事件じけんに関かかわる地域ちいきを管轄かんかつする教育きょういく事務所じむしょ長ちょう名めいで動員どういんの依頼いらい文書ぶんしょが出だされ、各地かくちの教育きょういく事務所じむしょなどで部署ぶしょごとに誰だれが行いくかを決きめていました。

この傍聴ぼうちょうは「業務ぎょうむ」として出張しゅっちょう旅費りょひも支払しはらわれていて、確実かくじつに傍聴ぼうちょうできるよう開廷かいていの概おおむね30分ふんから40分ふん前まえから並ならんでいたとしています。

その際さい、職員しょくいんが集団しゅうだんで傍聴ぼうちょうしていることが分わからないよう、裁判所さいばんしょ前まえでの待ち合まちあわせは避さけることやお互おたがいに声こえかけをしないこと、傍聴ぼうちょう席せきや裁判所さいばんしょの近ちかくで被害ひがい者しゃや学校がっこう名めいを言いわないことといった内容ないようを文書ぶんしょで指示しじしていたということです。

こうした動員どういんについては、当時とうじの横浜よこはま市しの教育きょういく長ちょうに判断はんだんを仰あおいだ上うえで始はじめたとしています。

理由りゆうについて教育きょういく委員いいん会かいは「不ふ特定とくてい多数たすうの人ひとが傍聴ぼうちょうすることでプライバシーが守まもられないことが懸念けねんされる。被害ひがい者しゃの保護ほご者しゃや弁護士べんごしから『不ふ特定とくてい多数たすうの人ひとに聞きかれないよう多おおくの職員しょくいんに席せきを埋うめてほしい』という趣旨しゅしの要請ようせいがあり、思おもいをくみ取くみとった」としています。

教育きょういく委員いいん会かいの判断はんだんで、毎回まいかい、傍聴ぼうちょう席せきをすべて埋うめようとおよそ50人にんが動員どういんされ、これまで開ひらかれた11回かいの裁判さいばんで動員どういんが要請ようせいされた職員しょくいんの数かずは延のべ525人にんに上のぼりました。

この間このかん、職員しょくいんから問題もんだい視しする声こえはあがらなかったということです。

会見かいけんの中なかで、教育きょういく委員いいん会かいは「私わたしたちは身内みうちだ。一般いっぱんの人ひとに聞きかれるよりも教育きょういく委員いいん会かいの方ほうが安心あんしんできるということで対応たいおうした」と主張しゅちょうしました。

一方いっぽう、傍聴ぼうちょう席せきが埋うまることで一般いっぱんの人ひとや報道ほうどう機関きかんの記者きしゃなどが傍聴ぼうちょうする機会きかいが失うしなわれたという指摘してきについては、「加害かがい者しゃの教員きょういんをかばったり、行為こういを隠蔽いんぺいしたりする意図いとは無なかった。被害ひがい者しゃの不安ふあんに思おもう気持きもちを伺うかがっている中なかで、配慮はいりょを求もとめる声こえがあった」としています。

教育きょういく委員いいん会かいは一般いっぱんの人ひとの傍聴ぼうちょうの機会きかいを損そこなったとして謝罪しゃざいしたうえで、今後こんごはこのような動員どういんはしないとしています。