日本新聞: 高校野球近江“エースで4番”の主将最後の夏日本一への決意

高校こうこう野球やきゅう近江おうみ“エースで4番ばん”の主将しゅしょう最後さいごの夏なつ日本一にっぽんいちへの決意けつい

Aug 19, 2022 22:08

Furigana

夏なつの全国ぜんこく高校こうこう野球やきゅうは残のこる4チームによる争あらそい、準決勝じゅんけっしょうが20日にちに行おこなわれます。

注目ちゅうもくを集あつめる選手せんしゅの1人にんが、第だい2試合しあいで下関しものせき国際こくさいと対戦たいせんする近江おうみ（滋賀しが）の3年生ねんせい、山田やまだ陽よう翔しょう主将しゅしょうです。去年きょねんの夏なつもマウンドに上あがり、ベスト4、ことし春はるのセンバツは準じゅん優勝ゆうしょう、一いち歩ほ一いち歩ほ頂点ちょうてんへと近ちかづき、“キャプテン”、“エース”、そして“4番ばん打者だしゃ”として臨のぞむ最後さいごの夏なつに強つよい決意けついで挑いどんできました。

（甲子園こうしえん取材しゅざい班はん・丸茂まるも寛ひろし太ふとし）

急きゅうきょ出場しゅつじょうのセンバツは準じゅん優勝ゆうしょうも“悔くやしい大敗たいはい”に

近江おうみは、ことしのセンバツ、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで出場しゅつじょうを辞退じたいした学校がっこうに代かわって、急きゅうきょ大会たいかいに出でることになりました。

山田やまだ主将しゅしょうにとっても、思おもわぬ形かたちで訪おとずれた出場しゅつじょう機会きかいでしたが、気迫きはくあふれるピッチングでチームを引っ張ひっぱりました。決勝けっしょうで大阪桐蔭おおさかとういんに敗やぶれはしたものの滋賀しが県勢けんせい初はつの準じゅん優勝ゆうしょうに導みちびきました。

それでも山田やまだ主将しゅしょうは“達成たっせい感かん”より“悔くやしさ”の方ほうが大おおきかったと言いいます。

（山田やまだ陽よう翔しょう主将しゅしょう）

「センバツで準じゅん優勝ゆうしょうさせてもらったんですけれども、やはり決勝けっしょうという大だい舞台ぶたいで負まけ、しかも、滋賀しがを代表だいひょうしてきているのに大敗たいはい（1対たい18）してしまったので、本当ほんとうに悔くやしい思おもいをしました。このままでは夏なつに甲子園こうしえんに出でたとしても日本一にっぽんいちになれないということを常々つねづね思おもい続つづけてやってきました」

ノートに書かきためた「日本一にっぽんいち」への強つよい思おもい

山田やまだ主将しゅしょうの日本一にっぽんいちへの思おもいは自身じしんの“野球やきゅうノート”にも記しるされています。多賀たが章あきら仁じん監督かんとくの薦すすめで、書かきためてきたノートを特別とくべつに見みせてもらいました。

▽センバツの決勝けっしょうで敗やぶれた日ひ

「日本一にっぽんいちになるためには、まだはやく何なにもかもが足たりていなかった。夏なつこそなんとしても日本一にっぽんいちになる」

▽チームへの思おもい

「近江おうみに入はいった理由りゆうは甲子園こうしえんで優勝ゆうしょうしたいからだ」

野球やきゅうに取り組とりくむ日々ひびを振り返ふりかえりながら、自分じぶん自身じしんの気持きもちと向き合むきあってきたノート。2年生ねんせいから書かき続つづけ、4冊さつ目めに。文章ぶんしょうにすることで、気持きもちを整理せいりしてきました。

（山田やまだ主将しゅしょう）

「自分じぶんが一番いちばん素直すなおになれる時間じかんというか、そういったことがこのノートと向き合むきあっているときは一番いちばんあるのかなって思おもいます」

“最後さいごの夏なつ”へ取り組とりくんだことは

山田やまだ主将しゅしょうが最後さいごの夏なつに向むけて、精力せいりょく的てきに取り組とりくんだのが毎朝まいあさの自主じしゅ練習れんしゅうです。新型しんがたコロナの影響えいきょうで全体ぜんたい練習れんしゅうの時間じかんが制限せいげんされるなか、続つづけてきました。

自身じしんの成長せいちょうにつなげたいとかねてから目標もくひょうとしていた球速きゅうそく150キロを出だすために、握力あくりょくを鍛きたえるトレーニングを行おこなったり、センバツでは納得なっとくいく結果けっかを得えられなかったバッティングも、課題かだいを克服こくふくしようと取り組とりくみました。

（山田やまだ主将しゅしょう）

「朝あさ練習れんしゅうというのは自分じぶんの意志いしでやる練習れんしゅうだと思おもうので、基本きほん的てきに自分じぶんがほかの選手せんしゅに投なげかけることはしません。自分じぶんはキャプテンとして行動こうどうで見みせる、背中せなかで自分じぶんがみせていくことに意味いみがあるのかなと思おもっています」

そうした山田やまだ主将しゅしょうの覚悟かくごは、チームメイトにも伝つたわり、多おおくの選手せんしゅが朝あさ早はやくからの自主じしゅ練習れんしゅうに参加さんかするようになりました。

（津田つだ基もと副ふく主将しゅしょう）

「野球やきゅうの技術ぎじゅつに関にかんしては全員ぜんいんがわかっているすごさなんですが、思おもいや意識いしきの高たかさといった表ひょうに見みえない部分ぶぶんも、一いち野球やきゅう人じんとして、同い年おないどしとして尊敬そんけいできる存在そんざいです」

（2年生ねんせい清谷きよたに大輔だいすけ選手せんしゅ）

「尊敬そんけいできる先輩せんぱいです。チームを引っ張ひっぱる姿勢しせいや練習れんしゅう量りょうが本当ほんとうにすごい人ひとだと思おもいます」

（多賀たが章あきら仁ひとし監督かんとく）

「もう『かがみ』ですよね。ほかの選手せんしゅは自分じぶんにはまねできないってみんな思おもっていると思おもうんですよ。背中せなかで引っ張ひっぱっているんですよ」

最後さいごの夏なつ示しめした成長せいちょうの跡あと

山田やまだ主将しゅしょうに引っ張ひっぱられて力ちからをつけてきた近江おうみ。スローガンに掲かかげたのは「一丸いちがん」です。

山田やまだ主将しゅしょう頼たのみのチームから脱却だっきゃくすることが頂点ちょうてんに立たつには不可欠ふかけつだったためです。

そして、成長せいちょうの跡あとは、この夏なつの甲子園こうしえんでの戦たたかいにもあらわれています。山田やまだ主将しゅしょうは春はるにも劣おとらぬ気迫きはくあふれるピッチングを見みせています。

ストレートは最速さいそく148キロ。変化球へんかきゅうの鋭するどさも増ましました。

その一方いっぽうで、相手あいてチームにも研究けんきゅうされ、初戦しょせんからリードされる試合しあいが続つづきましたが、チームは動揺どうようせず、いずれも逆転ぎゃくてん勝がちしてきました。

特とくに準々じゅんじゅん決勝けっしょうでは、大会たいかい屈指くっしの好こう打者だしゃ、浅野あさの翔しょう吾われ選手せんしゅを擁ようする高松たかまつ商業しょうぎょうにつかまり、失点しってんを重かさねました。それでも打線だせんが、投手とうしゅの山田やまだ主将しゅしょうを支ささえ、終盤しゅうばんに逆転ぎゃくてん。

さらに右足みぎあしの太ふとももの裏うらがつるアクシデントで山田やまだ主将しゅしょうが投なげられなくなったあとは、同おなじ3年生ねんせいの星野ほしの世よ那投手とうしゅが、好こうリリーフを見みせ、2大会たいかい連続れんぞくのベスト4進出しんしゅつにつなげました。

（山田やまだ主将しゅしょう）

「夏なつの大会たいかいが始はじまってから仲間なかまには助たすけられてばかりです。僕ぼく自身じしん、なかなかチームに貢献こうけんすることができない中なかで、本当ほんとうにみんなの力ちからが日に日ひにひに大おおきくなっていくのを感かんじています。僕ぼく自身じしんもこんなのではだめだなという思おもいになっているので、次つぎこそはしっかり自分じぶんがチームの勝利しょうりに貢献こうけんできるように頑張がんばりたいなと思おもいます」