石巻市長「辞任は妥当だ」
桜田オリンピック・パラリンピック担当大臣は、10日、岩手県出身の自民党の高橋比奈子衆議院議員のパーティーに出席し「復興以上に大事なのが議員だ」などと述べ、事実上、更迭されました。
これについて、震災の被災地、石巻市の亀山紘市長は記者会見で「復興よりも大事なことがあるということが信じられない。東京オリンピックの復興の火が石巻に最初に展示されるなど、復興五輪の機運が少しずつ高まってきた中で、こうした発言があるとは思わなかった。辞任は妥当だ」と批判しました。
一方、石巻市内に住む住民からも批判の声が相次ぎました。
40代の男性は「発言を聞いて寂しく悲しい気持ちになった。もう被災地が忘れられてしまっているのかなと思った」と話していました。
また、50代の女性は「何も考えずに発言をしているとしか思えず、被災地のことを考えていない発言だ。次の大臣にはこうした失言のないように考えて進めてほしい」と話していました。
福島市長「ありえない」
「復興五輪」を掲げた東京オリンピックで最初の競技となるソフトボールと野球の試合が行われる福島市の木幡浩市長は、11日定例の記者会見で「ありえない発言で大臣は交代せざるをえない。こうした発言は非常に残念だ。被災地の復興やオリンピックなど重要な課題が山積している中で、政府は緊張感を持ち、時間を無駄にすることなく課題解決に取り組んでほしい」と述べました。
そのうえで木幡市長は新しい大臣のもとで、復興五輪と位置づけられたオリンピックの準備に万全を期す考えを示しました。
大船渡市長「非常にがっかり」
岩手県大船渡市の戸田公明市長はNHKの取材に対し「桜田氏は、今までに何度も失言があったので、大臣としての資質に疑問を感じていた。国の要職につく立場の人の失言だけに、非常にがっかりしている」と述べました。
一方、大船渡市も選挙区となっている衆議院岩手2区選出の鈴木俊一前大臣が後任に決まったことについて、「被災した岩手県から選ばれた大臣なので、復興五輪を担ってくれることを期待している。日本として恥ずかしくない復興五輪にしてほしい」と述べました。
岩手県知事「信じられない気持ち」
岩手県の達増知事は記者団に対し「あのような発言が出るとは信じられない気持ちだ。大臣の個人的な問題というより、政権全体として復興についての基本的な考え方が定まっていないことに問題がある」と述べ、桜田氏だけでなく、国の復興への姿勢そのものを非難しました。
そのうえで、桜田氏の後任に、衆議院岩手2区選出の鈴木俊一前大臣が決まったことについて、「岩手の復興を一緒に取り組んできたので心配していない」と述べる一方、「政権全体として、復興の基本的な考え方を定め、日本全体に浸透していくように今からでもやってもらわないといけない」と述べ、国に対し、復興に真摯(しんし)に取り組むよう求めました。
宮古市民「あまりにもひどい」
被災地の岩手県宮古市でも非難の声が強まっています。70代の女性は「復興はとても大事なのに、あの言い方はあまりにもひどい。被災地で暮らす自分としては考えられない発言です」と話していました。一方、地元の衆議院岩手2区選出の鈴木俊一前大臣が後任に決まったことについて「地元選出なので期待する部分はある。被災地のことを親身に考えて仕事に取り組んでもらいたい」と話していました。