鹿児島県で
稼働している
川内原子力発電所について、
地元の
住民などが、
巨大噴火に対する
安全性が
確保されていないとして、
原子力規制委員会が
出した
設備などの
安全に関する
許可を
取り消すよう
求めた
裁判で、
福岡地方裁判所は
訴えを
退けました。
原発事故を受けて規制基準が見直されたあと、国が出した許可をめぐって起こされた集団訴訟で司法判断が示されたのは初めてです。
川内原発とは
川内原子力発電所は鹿児島県薩摩川内市の海に面した丘陵地にあり、1号機と2号機の2基の原子炉があります。
1号機は昭和59年7月に、2号機は昭和60年11月に営業運転を始めましたが、平成23年の東日本大震災による福島第一原発の事故以降、運転が停止されました。
その後に設けられた新しい規制基準に合わせて安全対策が強化され、平成26年9月、1号機と2号機は全国の原発で初めて原子力規制委員会から「設置変更許可」を受け、翌年、いずれも再稼働しました。
一方、川内原発の運転に反対する地元の住民などは、平成26年に運転の停止を求める仮処分を申し立てるなど、これまでにも司法の判断を求めてきました。
この仮処分の審理でも、川内原発から半径160キロの範囲内にあり、過去に巨大噴火を引き起こした火山に対する安全性が争われました。
この仮処分で、福岡高裁宮崎支部は3年前、「原子力規制委員会の火山評価の方法は、巨大噴火の時期や規模を発生前に予測できることを前提としている点で不合理な点がある」と指摘しました。
一方で「巨大噴火は極めて低い頻度でしか起きず、安全性の確保の観点で原子力規制委員会の判断が不合理とは言えない」などとして、住民側の申し立てを退けました。
原発をめぐっては、福島の事故をきっかけに全国で仮処分や裁判が起こされ、裁判所が運転しないよう命じたケースもありますが、その後、いずれも取り消されています。