Japanese News: 英語民間試験来年４月からの実施を見送りへ

萩生田はぎうだ大臣だいじんの「身の丈みのたけにあわせて」という発言はつげんが問題もんだいとなった新あらたな大学だいがく入試にゅうしに導入どうにゅうされる英語えいごの民間みんかん試験しけん。文部もんぶ科学かがく省しょうは、予定よていしていた来年らいねん４月しがつからの実施じっしを見送みおくる方針ほうしんを固かためたことが関係かんけい者しゃへの取材しゅざいでわかりました。文部もんぶ科学かがく省しょうは、来年度らいねんどから、今いまの大学入試センターだいがくにゅうしせんた-試験しけんに代かわって、「大学だいがく入学にゅうがく共通きょうつうテスト」を新あらたに実施じっしします。英語えいごの民間みんかん試験しけんは、この共通きょうつうテストの柱はしらの１ひとつとして導入どうにゅうが決きまり、ベネッセや日本にっぽん英語えいご検定けんてい協会きょうかいなど６むっつの事業じぎょう者しゃによる検定けんてい試験しけんが実施じっしされる予定よていでした。

しかし、文部もんぶ科学かがく省しょうなどは、１いち日にちまでに、来年らいねん４月しがつからのこの民間みんかん試験しけんの実施じっしを見送みおくる方針ほうしんを固かためたことが、関係かんけい者しゃへの取材しゅざいでわかりました。

試験しけんまですでに半年はんとしを切きり、１いち日にち、受験じゅけんに必要ひつような共通きょうつうＩＤあいでぃ-の手続てつづきが始はじまるのを前まえに、50万まん人にんに上のぼる受験生じゅけんせいへの影響えいきょうを考慮こうりょし、判断はんだんしたものとみられます。

民間みんかん試験しけんをめぐっては、利用りようする大学だいがくから、難易なんい度どの異ことなる試験しけんを、合否ごうひ判定はんていに使つかうことは難むずかしいという指摘してきが相次あいつぎ、結果けっか的てきに、初年度しょねんど利用りようする大学だいがくと短大たんだいは、全体ぜんたいの６ろく割わりほどにとどまる見通みとおしとなりました。

また、高校こうこうや受験生じゅけんせいからも、受験じゅけん料りょうなどの費用ひよう負担ふたんが大おおきいといった問題もんだいに加くわえて、先日せんじつの萩生田はぎうだ大臣だいじんの「身の丈みのたけにあわせて」という発言はつげんや、事業じぎょう者しゃ側がわから、試験しけん会場かいじょうなどの詳細しょうさいな情報じょうほうが10月つきになっても、公表こうひょうされなかったことなどに、不満ふまんが高たかまっていました。

英語えいご民間みんかん試験しけん導入どうにゅうの経緯けいい

英語えいごの民間みんかん試験しけんは、今いまから２に年ねん前まえ、毎年まいとしおよそ50万まん人にんが受験じゅけんする大学入試センターだいがくにゅうしせんた-試験しけんに代かわり、再さい来年らいねん１月いちがつから行おこなわれる「大学だいがく入学にゅうがく共通きょうつうテスト」に導入どうにゅうされることが決きまりました。

これは、1990年ねんに共通きょうつう１いち次じ試験しけんから、センター試験しけんに切り替きりかわって以来いらいの、大おおきな入試にゅうし制度せいど改革かいかくでした。

民間みんかん試験しけんの導入どうにゅうは、日本人にっぽんじんが苦手にがてとする英語えいごのコミュニケーション力りょくを向上こうじょうさせるためでした。

そのためには、話はなす力ちからと書かく力ちからの育成いくせいが欠かかせませんが、今いまのセンター試験しけんで測定そくていしているのは、読よむ力ちからと聞きく力ちからの２に種類しゅるいだけです。

そこで、文部もんぶ科学かがく省しょうは、すでに話はなす力ちからと書かく力ちからを測定そくていする検定けんてい試験しけんを行おこなっていた民間みんかん事業じぎょう者しゃを活用かつようすることを決きめました。

2018年ねん３月さんがつ、国くには公募こうぼによって選えらんだ、次つぎの７ななつの事業じぎょう者しゃの名前なまえを公表こうひょうしました。

▼ケンブリッジ大学だいがく英語えいご検定けんてい機構きこうが実施じっしする「ケンブリッジ英語えいご検定けんてい」、

▼ＥｄｕｃａｔｉｏｎａｌＴｅｓｔｉｎｇＳｅｒｖｉｃｅが実施じっしする「ＴＯＥＦＬｉＢＴ」、

▼ブリティッシュ・カウンシル、

▼ＩＥＬＴＳＡｕｓｔｒａｌｉａが実施じっしする「ＩＥＬＴＳ」、

▼ベネッセコーポレーションが実施じっしする「ＧＴＥＣ」、

▼日本にっぽん英語えいご検定けんてい協会きょうかいが実施じっしする「英えい検けん」、「ＴＥＡＰ」、そして、「ＴＥＡＰＣＢＴ」、

▼国際こくさいビジネスコミュニケーション協会きょうかいが実施じっしする「ＴＯＥＩＣ」です。

一方いっぽうで、今いまの英語えいごのセンター試験しけんについては、この民間みんかん試験しけんと並行へいこうする形かたちで初はじめての共通きょうつうテストとなる来年度らいねんどから４よん年間ねんかんは、従来じゅうらい通どおり実施じっしするとしました。

その仕組しくみは、受験生じゅけんせいが来年らいねん４月しがつから12月つきの間まに、希望きぼうする民間みんかん試験しけんを２に回かい選えらんで受うけるというもので、もし３さん回かい受うけても、２に回分かいぶんのスコアしか採用さいようはされません。

スコアは、大学入試センターだいがくにゅうしせんた-を通をつうじて、受験じゅけんする大学だいがくに提供ていきょうされ、各かく大学だいがくの判断はんだんで、出願しゅつがん資格しかくや合否ごうひ判定はんていに使つかわれることになっていました。

戸惑とまどう大学だいがくや短大たんだい利用りようは６ろく割わりにとどまる

この民間みんかん試験しけんについて、全国ぜんこくの国立こくりつ大学だいがくで作つくる「国立こくりつ大学だいがく協会きょうかい」は、２に年ねん前まえ、活用かつようする方針ほうしんを明あきらかにしましたが、各かく大学だいがくからは戸惑とまどいの声こえが上あがりました。

その理由りゆうの１ひとつが、難易なんい度どの異ことなる民間みんかん試験しけんのスコアをどうして１ひとつの物差ものさしで測はかれるのか、でした。これについて、国くにはセファールと呼よばれる国際こくさい的てきな基準きじゅんにより、可能かのうだとしましたが、厳格げんかくさが求もとめられる合否ごうひ判定はんていに活用かつようすることは難むずかしいなどとして北海道ほっかいどう大学だいがくや東北とうほく大学だいがくなど、見送みおくる大学だいがくが出で始はじめます。

さらに、東京とうきょう大学だいがくなどは、受験じゅけん資格しかくには活用かつようはするものの、合否ごうひ判定はんていには使つかわないことを決きめました。その結果けっか、初年度しょねんどに民間みんかん試験しけんを利用りようする大学だいがくと短大たんだいは629校こう、全体ぜんたいの６ろく割わりほどにとどまりました。

事業じぎょう者しゃも混乱こんらん高校こうこうや受験生じゅけんせいから延期えんき求もとめる声こえ

試験しけんを行おこなう事業じぎょう者しゃ側がわも混乱こんらんが続つづきました。公正こうせい公平こうへいな試験しけんを実施じっしするため、受験じゅけん料りょうや採点さいてんの体制たいせい、さらに試験しけん会場かいじょうなどについて、国くにからさまざまな注文ちゅうもんが出だされたためです。

これにより、事業じぎょう者しゃ側がわも調整ちょうせいが難航なんこうし、高校こうこうや受験生じゅけんせいに対にたいして、試験しけんの日程にっていや場所ばしょなどの基本きほん的てきなスケジュールがことし夏なつになっても示しめされないままでした。

さらに、７ななつの民間みんかん事業じぎょう者しゃのうち、ＴＯＥＩＣの事業じぎょう者しゃが、７月しちがつに撤退てったいすることを明あきらかにし混乱こんらんに拍車はくしゃをかけます。

その結果けっか、全国ぜんこくの高校こうこうの校長こうちょうでつくる団体だんたいは試験しけんの実施じっし方法ほうほうなどの情報じょうほう提供ていきょうが不十分ふじゅうぶんだとして、文部もんぶ科学かがく省しょうに、初年度しょねんどは民間みんかん試験しけんを延期えんきするよう異例いれいの申し入もうしいれをしました。

さらに、受験生じゅけんせいからも、試験しけん会場かいじょうが少すくない地方ちほうは不利ふりだという声こえや、検定けんてい料りょうが高たかすぎるという声こえが相次あいつぎました。

萩生田はぎうだ大臣だいじん「身の丈みのたけ」発言はつげんに野党やとうなどから批判ひはん

９月くがつに就任しゅうにんした文部もんぶ科学かがく省しょうの萩生田はぎうだ大臣だいじんは、「受験じゅけん者しゃが安心あんしんして活用かつようすることができるよう、万全ばんぜんの体制たいせいを整ととのえる」と述のべて、試験しけんは予定よてい通どおり実施じっしする考かんがえを重かさねて強調きょうちょうしていました。

しかし、先月せんげつ、民放みんぽうの番組ばんぐみで、この民間みんかん試験しけんについて、「身の丈みのたけに合あわせて頑張がんばってもらえれば」などと発言はつげんしたことが、野党やとうなどから批判ひはんをあび、萩生田はぎうだ大臣だいじんは陳謝ちんしゃするとともに、受験生じゅけんせいの不安ふあんの解消かいしょうに取り組とりくむとしていました。