「もう最初さいしょに言いわれたときは正直しょうじき、諦あきらめました。なんで自分じぶんがっていう感かんじ」

母親ははおやの路子みちこさんは、落ち込おちこむ息子むすこを励はげまし続つづけたといいます。

「ただ、治なおしてやるとしか思おもいませんでしたね。涙なみだは出でませんでしたし、絶対ぜったいに治なおそうと思おもいました」

もう一度もういちど、野球やきゅうがしたい。

山崎やまざき投手とうしゅは、子こどもの脳腫瘍のうしゅように詳くわしい医師いしがいる北海道ほっかいどうの病院びょういんで手術しゅじゅつを受うけました。

およそ6時間じかんの手術しゅじゅつ。腫瘍しゅようはすべて取り除とりのぞくことができました。

「先生せんせいにほっぺをたたかれて、そのときに目めが少すこし開ひらいて、先生せんせいが『全部ぜんぶ取とったよ。野球やきゅうできるよ』って言いってくれたのが最初さいしょでした。すごくうれしかった」

退院たいいん直後ちょくごに、東京とうきょうの強豪きょうごう、日大にちだい三さん高だかに進学しんがく。

少すこしずつ厳きびしい練習れんしゅうに耐たえられるようになりました。

日大にちだい三さん高だかの準じゅん優勝ゆうしょうに貢献こうけんしました。

その後そのご、明治めいじ大学だいがくに進すすみ、2015年ねんにドラフト1位いでオリックスに入団にゅうだんします。

これまでの経験けいけんについて、山崎やまざき投手とうしゅはこう振り返ふりかえります。

山崎やまざき福ふく也投手とうしゅ

「今いまとなっては貴重きちょうな体験たいけんができたかなと、支ささえてくれた周まわりの方ほうに感謝かんしゃしています」

「正直しょうじき、チームの雰囲気ふんいきはよくなかったです。みんな動揺どうようしているように見みえました。いつも由ゆかり伸しんに頼たよっているチームだったので、僕ぼく自身じしんはしっかりそこをカバーしたいなというのがありました。日本にっぽんシリーズという舞台ぶたい、緊張きんちょうすることはするんですけれど、楽たのしみの気持きもちの方ほうが大おおきかったです」

「タイムリーを打うったときは『絶対ぜったい打うってやる、初球しょきゅうから打うってやる』という気持きもちで打席だせきに入はいりました。ことしは、打席だせきに入はいった方ほうがいいリズムで投なげられるという感覚かんかくがすごくありました。小ちいさい頃ころから打撃だげきが好すきで自信じしんがありました。投なげるのと打うつのどっちが好すきか迷まようくらい好すきです」

「去年きょねん、日本にっぽんシリーズで悔くやしい思おもいをチームみんなでしたので、今年ことしはチームみんなで勝かちに行いくという思おもいだった。勝かててよかった。本当ほんとうに、正直しょうじき、できすぎという部分ぶぶんもありましたし、楽たのしかったというのがいちばんですね。まず、プロ野球やきゅう界かいに入はいって、日本にっぽんシリーズで投なげられるということも想像そうぞうしていなかったし、そこで2回かいも投なげられる楽たのしさがあった」

山崎やまざき福ふく也投手とうしゅ

「本当ほんとうにビックリしたのがいちばん。このような貴重きちょうな経験けいけんさせてもらって感謝かんしゃしています」

これまでも病院びょういんを訪問ほうもんし、病気びょうきの子供こどもたちを励はげます活動かつどうを行おこなってきた山崎やまざき投手とうしゅ。これからも、子こどもたちの励はげみになるようにプレーしていきたいと話はなしています。

山崎やまざき福ふく也投手とうしゅ

「まずは自分じぶん自身じしん結果けっかを出だしてそれをみて勇気ゆうきづけられるといいなと思おもって、1イニング1万まん円えんの寄付きふを始はじめました。子こどもたちは、いろいろと苦くるしい時ときもありますけれど、前まえを向むいてほしい。僕ぼく自身じしんも前まえを向むいていろんな活動かつどうをできて支援しえんできるよう頑張がんばります。まずは、リーグ三さん連覇れんぱ、日本にっぽん一いち二に連覇れんぱ。チーム全員ぜんいんで。個人こじんとしてはローテーションの一角いっかくとして1年間ねんかん投なげ続つづけることが目標もくひょうです」