中国の
今後の
重要方針を
話し合う共産党の
会議が26
日から
開かれ、
経済政策の
基本方針などの
新たな「5
か年計画」に
加え、2035
年までの
国家戦略を
示す長期目標について
議論されます。
長期目標が
示されれば25
年ぶりとなり、
習近平国家主席の
長期政権の
実現に
向けた
権力基盤をさらに
盤石にするねらいが
あるとみられます。
中国・
北京では
習近平指導部をはじめ、300
人以上の
幹部が
出席して
今後の
重要方針を
話し合う共産党の
会議「5
中全会」が26
日から
今月29
日まで
開催されます。
会場になるとみられる軍の管理する施設の周囲には、多くの警察官や警察車両が配置されていました。
会議では、来年から2025年までの経済政策の基本方針などを盛り込んだ新たな「5か年計画」に加え、2035年までの長期目標が議論され、最終日に成果をまとめたコミュニケが発表される見通しです。
焦点は、アメリカとの覇権争いが激しくなっているハイテク分野でどのような戦略を示すかで、内容しだいでは米中の新たな対立の火種となる可能性もあります。
一方、今回、2035年までの国家戦略を示す長期目標が策定されれば、1995年に当時の江沢民指導部が示して以来、25年ぶりで、習主席の長期政権の実現に向け、権力基盤をさらに盤石にするねらいがあるとみられます。
「5中全会」とは
中国共産党の「5中全会」は、5年に1度の党大会で選出される最高指導機関の1つの「中央委員会」が任期中に開く、5回目の全体会議のことです。
党大会は5年に1度開かれる党の最高意思決定機関で、党や政府の要職につく幹部となるおよそ200人の「中央委員」とおよそ160人の「中央候補委員」を選出し、中央委員会を組織します。
そして、次の党大会が開かれるまでは、この中央委員会が党大会にかわり、年に少なくとも1回は全体会議を開催し、重要政策や人事などを決定することになっています。
全体会議は、慣例では5年間で7回開かれ、このうち、次の党大会の2年前に開かれることが多い5中全会では、かつて、重要な決定が行われてきました。
2010年には現在の習近平国家主席が軍の要職の中央軍事委員会の副主席に選出され、当時の胡錦涛国家主席を引き継ぐ、最高指導者としての地位を固めました。
また前回、2015年には人口の増加を抑制するために30年以上行われてきたいわゆる「一人っ子政策」の廃止が決定されています。
焦点は長期目標と幹部の人事
今回の「5中全会」の焦点は2035年までの国家戦略を示す長期目標と幹部の人事です。
このうち、長期目標は策定されれば1995年に当時の江沢民指導部が示して以来、25年ぶりとなります。
習主席としては、2期目の任期を大幅に超える2035年までの目標を示すことで、長期政権の実現に向けた権力基盤を盤石にしたいねらいがあるとみられます。
もう1つの焦点が幹部人事です。
2010年の5中全会では、現在の習主席が中央軍事委員会の副主席に選出され、次期最高指導者としての地位を固めました。
このため、今回の5中全会で習主席の後継者と目される幹部の抜てき人事が行われなければ、習主席の3期目以降の続投の可能性がますます高まります。
中国共産党は、先月、新たな規則、「中国共産党中央委員会工作条例」を制定し、習主席を「核心」とする「党中央の権威」を擁護するよう党幹部などに義務づけていて、今回の5中全会を前に習主席への権力集中を強化していました。
経済政策の焦点は
今回の「5中全会」の経済政策の焦点は、ことし5月に初めて示された「双循環」=「2つの循環」と呼ばれる戦略を新たな5か年計画でどのように打ち出すかです。
戦略の具体的な内容は明らかになっていませんが、国内経済の「循環」と国際経済の「循環」とを連結させることにより、新たな発展モデルを作るとしています。
このうち、主体となるのは国内の「循環」で、高成長を支えてきた輸出への依存度を低下させ、内需の拡大によって国内産業を成長させるのがねらいとみられます。
一方、国際的な「循環」については、国外からの投資や先端技術の移転を呼び込み、国内産業の高度化につなげるねらいを指しているとみられます。
2015年に打ち出した「中国製造2025」では、半導体の国産化率を2025年までに70%に引き上げるなど、ハイテク分野で世界トップの水準を目指すと掲げ、この分野の覇権をめぐる米中対立の引き金にもなりました。
今回の「2つの循環」戦略でも中国はハイテク分野の育成にさらに力を入れる見通しで、国内主導を打ち出した背景には、こうしたハイテク製品の部品調達などを含むサプライチェーン=供給網を国外に依存するリスクを減らすねらいもあるとみられます。
このため、戦略の具体的な内容しだいでは米中の新たな対立の火種となる可能性もあり、アメリカが、中国との経済的なつながりを切り離そうとする、いわゆる「デカップリング」が今後、さらに進むのではないかという見方も出ています。