天皇てんのう陛下へいか「テムズバリア」視察しさつ テムズ川がわの可動かどう式しき高潮こうちょう対策たいさく施設しせつ

長年ながねん、水みずをめぐる問題もんだいを研究けんきゅうしている天皇てんのう陛下へいかは、現地げんち時間じかんの24日にち午前ごぜん、高潮こうちょうなどによるテムズ川がわの氾濫はんらんからロンドンの街まちを守まもるため1982年ねんに建設けんせつされた「テムズバリア」を訪たずねられました。

「ピア」と呼よばれる島しまのような部分ぶぶんとの間まに回転かいてん式しきの水門すいもんを10個こ備そなえているこの施設しせつは、緊急きんきゅう時じに幅はば500メートル余あまりのテムズ川がわをせき止せきとめて、海面かいめん上昇じょうしょうによってさかのぼってくる海水かいすいを防ふせぎます。

天皇てんのう陛下へいかは、管理かんり棟とうから「ピア」の1つにかかる橋はしの上うえで、担当たんとう者しゃから水門すいもんの仕組しくみなどについて説明せつめいを受うけられました。

天皇てんのう陛下へいか 大学だいがく時代じだいから水みずにまつわる研究けんきゅう続つづける

天皇てんのう陛下へいかは、大学だいがく時代じだいに水みずにまつわる研究けんきゅうを始はじめ、留学りゅうがくされたイギリスのオックスフォード大学だいがくでの研究けんきゅうテーマもテムズ川がわの水運すいうんの歴史れきしでした。

留学りゅうがく中ちゅうの体験たいけんを記しるした著書ちょしょ「テムズとともに 英国えいこくの二に年間ねんかん」には、テムズ関係かんけいの史料しりょう集あつめに奔走ほんそうした時ときのことや、先生せんせいとともに川かわべりを歩あるき実地じっちにテムズを見みたこと、研究けんきゅうで疲つかれた自分じぶんをいやしてくれた緩ゆるやかな流ながれと周囲しゅういの美うつくしい景観けいかんなどテムズとともに過すごした日々ひびがありありとよみがえるとしたうえで、「オックスフォード滞在たいざい中ちゅう、テムズの存在そんざいは常つねに私わたしの生活せいかつの、そして研究けんきゅうの支ささえであった」とつづられています。

天皇てんのう陛下へいかは、その後そのごも水みずをめぐる問題もんだいの研究けんきゅうを続つづけ、国際こくさい会議かいぎなどの機会きかいに世界せかい各国かっこくの専門せんもん家かと交流こうりゅうするとともに、国内こくない外がいで水みずに関にかんする施設しせつの視察しさつを重かさねられてきました。

5月つきも水みずと衛生えいせいなどをテーマにインドネシアで開ひらかれた「世界せかい水すいフォーラム」でビデオによる基調きちょう講演こうえんを行おこない、2度どにわたって能登のと半島はんとう地震じしんの被災ひさい地ちを訪問ほうもんした経験けいけんを踏ふまえて、津波つなみ被害ひがいなどについて説明せつめいされました。

外務省がいむしょうによりますと、こうした天皇てんのう陛下へいかのライフワークを考慮こうりょして、テムズバリアが視察しさつ先さきに選えらばれたということです。

この施設しせつは、大勢たいせいの死者ししゃが出でた1953年ねんの高潮こうちょうによる洪水こうずいをきっかけに建設けんせつされ、1982年ねんの運用うんよう開始かいしからことし4月つきまでに洪水こうずい対策たいさくとして220回かい余あまり閉とじられました。