捜索を受けたのは、東京 中野区にある日本大学アメリカンフットボール部の学生寮で、22日午前9時すぎに捜査員およそ10人が入りました。
日本大学の3年生で、アメリカンフットボール部の北畠成文容疑者(21)は先月、寮のベッドに備え付けられた収納ボックスの中に乾燥大麻と覚醒剤を隠し持っていたとして逮捕されました。
任意の取り調べに対し、「大麻を買ったときにおまけとして覚醒剤をもらった」などと説明していて、警視庁は自分で使う目的で隠し持っていたとみています。
捜査関係者によりますと、その後の調べで、北畠容疑者が「ほかの部員も使っていた」という趣旨の供述をしたことなどから、学生寮でほかの部員も所持していた疑いがあるとして改めて捜索したということです。
警視庁は寮の中で違法薬物が広がっていた疑いもあるとみて、使用の実態や入手ルートの解明を進めることにしています。
“寮で大麻など使用する様子目撃”
日本大学でアメリカンフットボール部とは別の運動部に所属していた男性がNHKの取材に応じました。
男性によりますと、数年前からアメフト部とは別の運動部の寮の部屋に部員が集まって、大麻などを使用する様子を目にしていたといいます。
使用するのは主に練習が終わったあとの夜の自由時間で、男性は「先輩から『お前も薬やらない?楽になるよ』と直接誘われたことで違法薬物だとわかった。タバコ状のものを吸ったり、粉状にしたものをあぶったりする様子を見た」と証言しました。
繁華街で違法薬物を仕入れてくる運動部の部員もいて、「5吸い」と呼ぶ大麻5回分の使用量が入った小さい袋を500円から1000円で売買していたということです。
また、ほかの運動部の部員が薬物の売買や交換に訪れる際には、見張り役をさせられたこともあったと証言しました。
男性は「コーチや監督、ほかの先輩が少しでも近くに来たらすぐに知らせるように指示された。この中に薬が入っていると言われたことがあり、靴の箱や部活の用具入れ、ポーチなどに入れて、交換している様子を見た。アメフト部の部員が訪れることもあった。見張りをしたことは自分も犯罪の一端を担っていると感じて悩んだ」と話していました。
大学関係者に相談したこともありますが「気のせいだ」と言われ、取り合ってもらえなかったといいます。
男性は「日大は名門だと憧れて入ったが、なぜ部活と関係のないことを気にしていなくてはいけないのかと思いショックだった。アメフト部員の逮捕を聞いたときも驚きはなく、むしろここまでよく隠していたというのが本音だ。大学には全部出し切ってもらい、いい状態になるよう努力してほしいと思う」と話していました。