平成23年9月に起きた紀伊半島豪雨では、川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、死者・行方不明者は和歌山、奈良、三重の3県で88人にのぼりました。
このうち14人が犠牲になった新宮市では熊野川町に設けられた慰霊碑の前で追悼式が行われ、田岡実千年市長や市の職員などおよそ30人が参加しました。
参加者は黙とうのあと、ひとりひとり花を手向けて祈りをささげ、田岡市長が「大水害を片ときも忘れることなく、市民の皆様が『安心・安全に暮らすことができるまち』を築いてまいります」と追悼のことばを述べました。
慰霊碑の隣には、そばを流れる熊野川の水があふれたときの水位が、地面から8.27メートルの高さだったことを示すモニュメントがあり、豪雨のすさまじさを今に伝えています。
式典のあと、田岡市長は、「12年前は非常につらい経験だったが、復興もほぼ完了し、市民の防災意識も年々高まってきていると感じる。豪雨の教訓を災害対応にいかしていきたい」と話していました。
奈良 五條市で慰霊祭 遺族らが黙とう
大規模な土砂崩れが発生して8人が亡くなり、今も3人が行方不明となっている五條市宇井地区では、4日慰霊祭が行われ、遺族や地元の住民などおよそ50人が参列して黙とうをささげました。
続いて、五條市の平岡清司市長が「大雨による被害が報告されるたび、12年前のあの日の出来事が思い出されます。災害の記憶と教訓を決して風化させることなく災害に強いまちづくりにまい進していきます」と追悼のことばを述べました。
参列した人たちは慰霊碑の前に設けられた献花台に花を手向けて犠牲者を悼んでいました。
姉を亡くした遺族の徳田綾子さん(76)は「12年たってもまだ姉が亡くなった実感がない。二度と同じような災害で悲しい思いをする人がいないよう願っています」と話していました。