一方で、今回の能登半島地震では、避難先の自動販売機を壊して、中から商品を取り出してしまったケースもありました。
いざ、災害が起きた時、どうすればいいのでしょうか?
「緊急時なので開けている」
地震が発生した1月1日の夜、石川県穴水町の穴水高校には住民などが避難していました。
しかし、避難所には指定されていないため、食料や水の備蓄はありませんでした。
飲み物の自動販売機はありましたが、高校によりますと、2日になって「壊されている」という連絡があったということです。
壊されたのは3台で、いずれも飲み物が取り出され、このうち1台は前の部分が激しく壊れていました。
この高校に避難していた男性は、NHKの取材に対し「突然、大きい音がしたので見に行くと自動販売機の前に3、4人いて、工具を使って壊しているように見えた。『緊急時なので開けている』と言っていた」と話していて、その後、知らない人から飲み物を受け取ったということです。
設置した大手飲料メーカーによりますと、22日になって「避難している人に配ろうと思い、自動販売機を壊してしまった。反省している」という謝罪の連絡があったということです。
「災害支援型」だったけど…
このメーカーによりますと、設置していた自動販売機は「災害支援型」と呼ばれるタイプのもので、通電していれば、管理者やメーカーの担当者が専用の鍵を使って操作することで飲み物を無料で取り出せるようになるということです。
しかし、穴水町では地震のあと全域で停電したうえ、当日は元日で鍵を管理している教職員がいなかったため、災害支援のための機能が使えなかったと見られるということです。
メーカーでは、自家発電機能があって停電時でも作動する販売機や遠隔で操作できる販売機の設置を、今後、増やしていくことも検討しているということです。
設置した北陸コカ・コーラボトリングの今田栄美子広報PR課長は「会社としては罪として告訴することは考えていません。ただ、自動販売機を壊せば、本人だけでなく、周りの人もけがをするおそれがあります。連絡先を必ず記載しているので、開けられなくてもまずは連絡してほしい」と呼びかけています。
「災害支援型」には複数の種類が
自動販売機で飲料を扱う会社によると、災害対応の自動販売機には複数の種類があり、停電しているときでも取り出せるタイプもあります。
主に、指定避難所になっている学校や公共施設などの屋内に設置されているということです。
▽バッテリー式
カギを使って非常用電源に切り替えることで、ボタンを押せば無料で商品が取り出せるようになります。
▽ハンドル充電式
コインなどでケースを開け、中にある充電用のハンドルを手で回して発電することで、商品が取り出せます。
▽ワイヤー式
鍵で扉を開けて内部にあるワイヤーをセットし、それを引っ張ることで、商品が取り出せます。
こうした自動販売機の災害時の開け方は、自動販売機の管理者が把握しているといいます。緊急時でも壊すようなことはせずに、連絡してほしいと呼びかけています。