建たったばかりのいい匂においがします。

（二に所しょノ関せき）

そうですね。ほんと、こっちに引っ越ひっこしして３さん日にち、４よん日にちですからね。

（三さん輪りん）

いよいよ完成かんせいしたという感かんじですけれども、どんな気持きもちで入はいりましたか。

（二に所しょノ関せき）

そうですね、理想りそうの相撲すもう部屋へやになったかなと思おもいますし、これからよくしたいと思おもいますし、ものはいいものができたかなと思おもいますけどね。

（三さん輪りん）

いちばんは、どういうことを考かんがえて、こういう部屋へやを作つくろうと思おもったんですか。

（二に所しょノ関せき）

弟子でしが強つよくなることがいちばんですよね。うん、それだけです。他たは何なにも考かんがえてないですよ。だから土俵どひょう２に面めん作つくるのもそうだし、バスケットボールのゴールもね、遊あそんでもいいと思おもいますし、鉄棒てつぼうもあったと思おもうんですけど、鉄棒てつぼうにぶら下ぶらさがるだけでね、体からだが調整ちょうせいできると思おもいますし。

両国りょうこくからは１いち時間じかん以上いじょうかかる茨城いばらきに部屋へやを構かまえたのは、どんな思おもいからですか。

（二に所しょノ関せき）

地元じもとなんですよね、ここがね。そこの道路どうろ一いち本ほん挟はさんで向むこうは牛久うしく、使用しようする駅えきも「ひたち野ひたちのうしく」っていう、地元じもとの駅えきを利用りようさせていただくんですけど。まあ本当ほんとうに、現役げんえき中ちゅうね、地元じもとの茨城いばらきの方ほうにはたくさん応援おうえんしていただいて、そういうバックアップがあってね、現役げんえきをあれだけやることができて。まあ、優勝ゆうしょうした時ときのね、パレードの景色けしきはいまだに忘わすれられないものがありまして。

やっぱり茨城いばらきでやるということがすごい自分じぶんはメリットを感かんじたんでね。

引退いんたい後ご、二に所しょノ関せき親方おやかたは、大学院だいがくいんでスポーツビジネスを研究けんきゅうしました。テーマは、相撲すもう部屋へやの経営けいえい。

相撲すもう以外いがいのスポーツクラブの運営うんえいについても調しらべる中なかで、同おなじ茨城いばらきのチームがヒントになったと言いいます。それが、Ｊリーグじぇいり-ぐの鹿島かしまアントラーズでした。

（二に所しょノ関せき）

鹿島アントラーズかしまあんとら-ずには、サッカー練習れんしゅう場じょうが多数たすうあるんですよね。ジュニアからトップチームまで、みんなそこの練習れんしゅう場じょうで練習れんしゅうするって話はなしを聞きいて。そうするとジュニアの子こたちはね、トップ選手せんしゅとやってる、っていう感かんじになりますし。そしたら、土俵どひょうを『２に面めん使つかおうじゃん』ってことも考かんがえましたよね。

この部屋へやのある茨城いばらきの県南けんなん地区ちくが、相撲すもうが盛さかんじゃないんですよね。少すこしでもきっかけを作つくってあげて、いずれお相撲すもうさんになりたいっていう子こどもたちを増ふやしていくっていうのも、この茨城いばらきでやる理想りそうですから。そういうところで土俵どひょうを２に面めん使つかって、お相撲すもうさんが稽古けいこしたところでちっちゃい子こたちが稽古けいこすると、『あんな風かぜになりたいな』と思おもえるようになると、環境かんきょうとしてはいいのかなと思おもいましたね。

僕ぼくも小ちいさいとき、相撲すもう大会たいかいに年としに１いち回かいだけ出でてたんですけど、その時とき、茨城いばらき県けんにある式しき秀しゅう部屋へやの力士りきしが来きたんですけど、その時ときの力士りきしの名前なまえ、いまだにやっぱ覚おぼえてますよ。そのぐらい小ちいさいときの記憶きおくっていうのはあるんですね。

（三さん輪りん）

強つよい力士りきしを育そだてるためのトレーニング方法ほうほうだったり、指導しどう方法ほうほうについても研究けんきゅうされましたよね。

（二に所しょノ関せき）

いや、それはね、実じつはあんまりしていないんですよ。そういうところはいろいろ現役げんえき中ちゅうに、体からだの仕組しくみもね、いろいろ勉強べんきょうしましたし、現役げんえき中ちゅうもたくさんいろんな稽古けいこしてきて、いろんなトレーナーに会あいましたし、そういうところでいちばん理想りそうのものっていうのがね、自分じぶんの中なかでできて、番付ばんづけが上うえに上あがったんでね、その精神せいしんっていうのを教おしえてあげたいと思おもいますし、しっかり考かんがえる力ちからのついた、考かんがえる力ちからをつけた力士りきしっていうのを育そだてていきたいと思おもいます。

（三さん輪りん）

考かんがえる力ちからをつけさせるのは大事だいじですか。

（二に所しょノ関せき）

まあ言いってみれば…何なにも勉強べんきょうしないで、本番ほんばんで問題もんだいとけって言いわれてもとけないじゃないですか。だからしっかり勉強べんきょうさせて、問題もんだい集しゅうをしっかりとかせるっていうような。

いきなり答こたえを追おいかけるのではなく、そういうところでしっかりとした問題もんだい集しゅうをとけるような稽古けいこをしっかりしていかないといけないと思おもうのでね、やっぱりいきなり答こたえが出でるものではないんですよ。一ひとつ一ひとつやってきて答こたえって見みつかると思おもうんですけど、そういう力士りきしを育そだてていきたいということですね。

（三さん輪りん）

どんなことを考かんがえられるといいのでしょうか。

（二に所しょノ関せき）

相撲すもうって、やっぱり「こうすればこうなる」っていうセオリーがあると思おもうんですよね。

そのセオリーを、やっぱり考かんがえずに、なんかよくわかんない相撲すもう取とってるっていう力士りきしがものすごく多おおく感かんじて。特とくに序ノ口じょのくちから見みてると、番付ばんづけが下したになればなるほどそういうものがわかってないなというか、順序じゅんじょわかってないなと思おもうことが多おおいので。そういうところでね、順序じゅんじょをちゃんと教おしえてあげるってことと、考かんがえさせるってことですよね。

（三さん輪りん）

序ノ口じょのくちの時ときからそんな風かぜに考かんがえてました？

（二に所しょノ関せき）

いやあ、考かんがえてなかったですね。ほとんどポテンシャルでやってきたんで。でも感性かんせいだけでやっていると限界げんかいがあったんですよね。２に３さん歳さい、２に４よん歳さいぐらいで、『もう無理むりだ』と思おもったときがありました。その時ときに、体からだの使い方つかいかたと呼吸こきゅうの取とり方かた、体からだの中心ちゅうしん軸じくをとる形かたちとね、腰こしの使い方つかいかたもそうですし、丹田たんでんの作り方つくりかた、そういうところを考かんがえて取り組とりくんでいったときに、１いち年ねん後ごに大関おおぜきに上あがったんですよね。稽古けいこし始はじめたときに、白はく鵬ほうの６ろく３さん連勝れんしょうの時ときのあの一番いちばんね、連勝れんしょうを止とめた一番いちばんがありましたよね。

その時ときに「これだ、これをやっていれば大丈夫だいじょうぶだ」ってところに変かわってね。あそこからちょっといろいろシフトチェンジしていったところがありましたね。

（三さん輪りん）

親方おやかたは、現役げんえき時代じだい、自分じぶんの考かんがえる力ちからっていうのはどんな風かぜに身みについたと思おもいますか。

（二に所しょノ関せき）

まあ、よく考かんがえましたよね。やっぱり勝かつために考かんがえなきゃいけない。それがやっぱり上うえに行いけば行いくほど、若わかいときは勝かった負まけたで喜よろこんでたところあったんですけど、大関おおぜき上あがって、それ以上いじょうになってくると、「これができたかできなかったか」で変かわってくるんですよね。できれば勝かてるっていう確信かくしんがあったんで、そうすると反省はんせいもしやすい。これができた、これができなかった…

勝かった負まけたっていうのはなかなか反省はんせい点てんが見みつからないというか、ね、次つぎにつながらないところがあったんですけど、そういうところで順序じゅんじょっていうのが、なんていうんでしょうかね、順序じゅんじょをしっかり整ととのえると勝かちに結び付むすびつくっていうのが自分じぶんでわかってきたときに、星ほし数すうが安定あんていしてくるってことはありましたけどね。

（三さん輪りん）

何なにを考かんがえているんですか？勝かつために。

（二に所しょノ関せき）

あるんですよ。

僕ぼくはシンプルに、立ち合たちあいの時ときにはこれとこれとこれをやる、３みっつやる。上あがってからどういう体からだの使い方つかいかたをする、組くんでからどうする、寄よるときにどういう寄より方かたをする、っていうことがそれぞれあるんですよね。それぞれを組み合くみあわせて１ひとつになったときに、やっぱり星ほしってのが安定あんていしてきたんですよね。それができるかできないかだけの１いち５ご日間にちかんでしたね。

だから帰かえってきて、できたかできなかったか。じゃあ明日あしたこれとこれをやろう。シンプルにシンプルになってくるので、非常ひじょうに反省はんせいもしやすいですし、うん、自分じぶんの理想りそうっていうのも見極みきわめやすくなるっていうかね。

（三さん輪りん）

私わたしたちが取材しゅざいをしていて、力士りきしが『まずは立ち合たちあい当あたることだ』ってところで取材しゅざいが終おわるケースが多おおいんですけど、各かく力士りきしはそのあとにそういう考かんがえがたくさんあるんですね。　

（二に所しょノ関せき）

絶対ぜったい話はなさないですもん、僕ぼくなんて。

（三さん輪りん）　

稀まれ勢ぜいの里さともそうでしたか。

（二に所しょノ関せき）

話はなすわけないですよね（笑えみ）

（三さん輪りん）

よく「考かんがえすぎる」っていう表現ひょうげんがあるじゃないですか。考かんがえすぎて負まけるってことはなかったですか。

（二に所しょノ関せき）

考かんがえすぎて負まけることなんてないと思おもいますね。それは、はい。考かんがえすぎてないと思おもいますよね。僕ぼくが見みると。考かんがえすぎて負まけるって、考かんがえすぎて体からだが動うごかなくなるってことですかね。体からだが動うごかなかったことをもっと考かんがえるべきだと思おもいますし、だから考かんがえすぎるってことはないと思おもうし、考かんがえすぎていいと思おもいますね。

（三さん輪りん）

もし、「すぎる」と思おもうのであれば、それはまだ足たりていない？

（二に所しょノ関せき）

考かんがえすぎて何なにが起おきたか、ということを考かんがえていないですよね。だからそこを考かんがえるってことでしょうね。理想りそうを言いうとね。なんで動うごかなかったか。それをやっぱ分解ぶんかいしていくと何なにかにたどりついてくるんで。なんかそういうことをやるのが好すきだったですよね。　

（三さん輪りん）

考かんがえるということでいけば、先代せんだいの鳴戸なると親方おやかた（５ご９きゅう代だい横綱よこづな 隆たかしの里さと。稀まれ勢ぜいの里さとの入門にゅうもん時じの師匠ししょう）は、よく「考かんがえろ」と…

（二に所しょノ関せき）

言いってましたね、すごかったですね。

（三さん輪りん）

すごかったですか。

（二に所しょノ関せき）

考かんがえるってことは、稽古けいこをやりつくしたうえで考かんがえる、ってことでしたね。稽古けいこ場じょうから、その、なんていうんだろう。小手先こてさきの勝かつ相撲すもうっていうのをやるということは考かんがえじゃなく、勝かつということは、馬力ばりきをしっかりいかす。小手先こてさきで勝かったりとか、はたいて勝かったりとか、ちょっと出だし投なげ打うったりとか、寄よれるとこ寄よれなかったりするときには、やっぱものすごい叱しかられましたし。

若わかの里さと関せき（現げん　西にし岩いわ親方おやかた）もね、あれだけ四つ相撲よつずもうですけど、稽古けいこ場じょうでは突つき押おしの稽古けいこをさせられてましたからね、まわしとると怒おこられてた部分ぶぶんもあったんで。だから、やっぱり、馬力ばりきで勝かつということは勝かつための近道ちかみち、ということをしっかり考かんがえさせられたというかね。だから、ものすごい馬力ばりきをつける稽古けいこをさせられましたね。そのおかげもあると思おもいますし、あれがなかったらおそらく上うえで通用つうようしてなかったと思おもいますしね。

けがをしたあとの処理しょり、というか、アプロ―チのしかたには悔くいが残のこってましたよね。だからもう１いち回かい生まれ変うまれかわるのであれば、けがをする前まえより、けがをしたあとの自分じぶんになりたい。それはやっぱり、あの時ときできなかったようなことをやってみたいなと思おもいますし、あのとき僕ぼくは間違まちがっていたのかなと思おもいますし。けがをしたあとに立ち直たちなおることができなかったんで、だったらけがしない力士りきし作つくったほうが楽らくでしょ、って思おもったんでね。そういうところでけがしない力士りきしを育そだてたい、ってことをまずひとつ考かんがえましたね。

やっぱりけがをしたら元もとの自分じぶんに戻もどれないって、ものすごくわかりましたし、あれだけ昔むかしのような相撲すもうがとれないってことは、もう、けがをして、２にか月かげつぐらいは、もう無理むりなのかなって思おもったことは何なん度どもありましたし。そういうところでね、弟子でしたちにこれだけ基礎きそ運動うんどうをさせてるってことは、つまんないことやらせてるってことは、けがさせない、ってことがまずひとつ。

去年きょねん８月はちがつに師匠ししょうとして独立どくりつして以降いこう、二に所しょノ関せき親方おやかたは「しこ」や「すり足すりあし」などの基礎きそ運動うんどうを中心ちゅうしんに弟子でしたちに指導しどうしています。

体からだ作づくりと基礎きそ運動うんどうの繰り返くりかえしですね。ですから、けがしない、土台どだいがしっかりした力士りきしっていうのを育そだてて、そして今いまじゃなく、先さきに開花かいかできるような、ずっと長ながく関取せきとりやれるような、そんな力士りきしを育そだてていきたいなと思おもいますけどね。

（三さん輪りん）

親方おやかたのいろんな話はなしを聞きいていると、目新めあたらしい取り組とりくみも目立めだちますが、根底こんていには、昔むかしからの『これだ』というものがあるんですか？

（二に所しょノ関せき）

ほんとに、先人せんじんの方ほうが築き上きずきあげてきた基礎きそ運動うんどう、そういうものが僕ぼくは最新さいしんの科学かがくだと思おもってますので、それが力士りきしの体からだ作づくりにはいちばん理想りそうだと思おもうんですね。それをまずひとつ持もった上うえの、いろんなトレーニングだと思おもうんです。

基礎きそ運動うんどうがウェイトトレーニング的てきになってきて、体からだのアプローチのしかたが昔むかしの力士りきしと変かわってきてるんですよね。それが今いま、僕ぼくは理想りそうじゃないと思おもってるんで。昔むかしながらやってきたような、「しこ」だったりとか「てっぽう」だったりとか、「すり足すりあし」があるんですね。そういうものを、いま勉強べんきょうしながら。僕ぼくもそういうふうな「しこ」を踏ふんだりとか「腰こし割わり」をしているってことがあったんで、そこは教おしえていってますね。

とにかくまっすぐ体からだをおこして中心ちゅうしん軸じくを立たてる、ってことが相撲すもうにはいちばん必要ひつようなんですね。それがちょっと曲まがってしまったりとか、体からだが曲まがってると筋肉きんにくのつき方かた変かわってくるんですよね。スクワットは体からだ曲まげたりとかやるんですけど、そうすると違ちがう、僕ぼくらのほしいところになかなかその筋肉きんにくがついてこないんですよね。そういうところで形かたちをしっかり、「しこ」もそうですし、「腰こし割わり」「すり足すりあし」のしかたもそうですね。

（三さん輪りん）

それはもう、頭あたまで知しるというより体からだでわかっていく、ということでしょうか。

（二に所しょノ関せき）

そういうことです。やっぱり、最初さいしょはきついですよね、ひいひい言いってますし。しっかり基礎きそ運動うんどうをやるっていう時間じかんを１いち時間じかん以上いじょう取とって、僕ぼくも朝あさ、いちから見みてね、稽古けいこ場じょうにおりてね、体からだの使い方つかいかたっていうのを教おしえながらやってますね。

そこだけで僕ぼくはいいと思おもうんです。そこがまずないと強つよくならないんで。だからもう若わかい力士りきしなんてほとんど相撲すもう取とらせてないですよ。しっかり鍛きたえさせるってことは大事だいじですね。

（二に所しょノ関せき）

馬力ばりきがない上位じょうい力士りきしはいないですからね。馬力ばりきがない力士りきしこそ、僕ぼくはよく寝ねられましたね。馬力ばりきがない力士りきしと次つぎの日ひ戦たたかうとすごい楽らく、考かんがえがすぐまとまるっていうか。なんか安心あんしん感かんがあるというか。

でも、ちょっと馬力ばりきあるぞと。例たとえば「北きた勝富かつとみ士しがくるぞ」とか、「日馬くさま富とみ士しくるぞ」とか。「もしかしたらもっていかれるんじゃないか」、「千代ちよ大だい龍りゅうくるぞ」とか、やっぱりちょっと寝ねつき悪わるくなるんですよね。そんだけ怖こわいんですよね、馬力ばりきのある力士りきしって。まずこれを作つくるということが、考かんがえが至いたるというか、もう、相手あいてに考かんがえさせられて寝ねつき悪わるくするっていうのはね、馬力ばりきあるってことなので。

これを作つくるっていうのは、若わかいうちしかできないからね、そこって。いきなり２に７なな歳さい、２に８はち歳さいで馬力ばりき鍛きたえようと思おもってもなかなか鍛きたえられないんで、若わかいときからやり続つづけていかないと。

単純たんじゅんそうに見みえて結構けっこう難むずかしいですよね。それを自分じぶんは十分じゅうぶんわかってたんで、それを鍛きたえさせてあげたいなと。とにかく押おす稽古けいこ。とにかく前まえに持もっていく稽古けいこっていうね、そういう風かぜにやろうとしていますね。

ことし６月ろくがつ５ご日にちの部屋へや開びらきで、二に所しょノ関せき親方おやかたは、こう目標もくひょうを語かたりました。しかし、まだまだ試行しこう錯誤さくごの途中とちゅう。自分じぶんが現役げんえき時代じだいに身みにつけてきたことが正ただしいかどうかは、弟子でしが強つよくなることでしか確たしかめられないと言いいます。

（二に所しょノ関せき）

思おもいどおりいかないですよね。なかなかこう。稽古けいこ場じょうで調子ちょうしがいい子こが負け越まけこしたりとか、悪わるかった子こがいきなり強つよくなったりとか、そういうところで、何なにがいいのか悪わるいのかっていうのはこれから、試ためし試ためしやってる感かんじですけど。

これをやっぱり、結果けっか残のこすってことが、自分じぶんのやり方やりかたが間違まちがってなかったなって思おもえることしかないですよね。弟子でしたちが強つよくなるってことが、僕ぼくの中なかの『正ただしかった』っていうような思おもいですよね。僕ぼくがそういう風かぜにして上あがってきたってことが、ひとつの確信かくしんというか自信じしんというか、そういうことじゃないですかね。

そこを早はやく理解りかいしてほしい。なぜこんなことやってるのかってことを理解りかいして、自分じぶんの体からだを早はやくわかってほしいなと。そうするともっともっとね、上うえまで行いってくれるのかなと思おもいますね。

（三さん輪りん）

親方おやかたが、これから先さきも大だい相撲すもうの力士りきしとして弟子でしたちに持もち続つづけてほしいのは、どんな気持きもちですか。

（二に所しょノ関せき）

常つねにやっぱりこう、上うえを目指めざすということがまずひとつだと思おもいますし、よけいなリップサービスしたからって別べつに人気にんき出でるわけじゃないし。お客おきゃくさんっていうのは、本物ほんものの相撲すもうの力士りきしが見みたいんですよね。しかもやっぱり、特とくに相撲すもうファンの人ひとの目めっていうのは、目めが肥こえてますから。もうちゃんとした相撲すもう取とれば大おおきな拍手はくしゅがありますし、ちゃんとした生いきざまをもって相撲すもう取とればね、やっぱりものすごい拍手はくしゅがあるんですよね。でもなんかこう、とんでもない相撲すもう取とると、たまにはブーイング起おきたりとか、しーんとしたりすることもあると思おもいますし。そういうところでね、しっかりとした生いきざま、そういうね。もう土俵どひょうで語かたれ、とね。土俵どひょうの中なかでパフォーマンスしっかりできる力士りきしを育そだてていきたいと思おもいますし、そういう力士りきしが僕ぼくの理想りそうだと思おもいますね。