楽天では複数の選手が、来シーズンの契約更改交渉の場などで安樂投手からハラスメント行為を受けたと訴え、球団はこれまでに選手や監督、コーチなどを対象にアンケートをとってハラスメント行為に関する情報を集めるとともに安樂投手からも聞き取りを行って事実関係の確認を慎重に進めてきました。
楽天は30日夕方、仙台市内で記者会見し、安樂投手がロッカールームでチームメートの下着を脱がしたり、体を押したりする身体的なハラスメント行為のほか、しつこく食事に誘ったり「バカ」などの暴言にあたる言葉を使ったりするハラスメント行為があったことを認めました。
ハラスメントを受けた人はおよそ10人で、こうした状況を見たり聞いたりした人はおよそ40人に上るということです。
そして、30日までがプロ野球のコミッショナーへの提出期限となっている来シーズンの契約を結ぶ見込みの保留選手名簿に安樂投手を載せないことを明らかにしました。
来シーズンの契約交渉が無期限で延期となっていた安樂投手は、この結果、球団との契約が解除され、自由契約となります。
安樂投手は、楽天を含めて他球団と交渉が可能となり、自由に選手契約を結ぶことができますが、楽天は、来年度の契約は考えていないということです。
楽天の森井誠之球団社長は「安樂選手のハラスメントは、ほぼ事実と認められた。本人は『謝罪したい』と話しているが被害人数も多く見過ごすことのできない事案だ。関係者にご迷惑おかけしたことをおわび申し上げます」と話していました。
2014年ドラフト1位 中継ぎ転向後3季連続50試合登板
安樂智大投手は愛媛県出身の27歳。地元の済美高校時代には、2年生の時にエースとして春のセンバツでチームを準優勝に導きましたが、3年生の夏はひじの故障の影響もあって愛媛大会の3回戦で敗退しました。
それでも、150キロを超えるストレートを持ち味にした右の本格派のピッチャーとしてプロから注目を集め、2014年のドラフト会議で楽天とヤクルトの2球団から1位で指名を受け、楽天に入団しました。
プロでは、1年目に初登板で先発し勝利をあげましたが2年目以降は、期待された成績を残せませんでした。
その後、中継ぎに転向すると、今シーズンまで3年連続で50試合以上に登板してリリーフ陣を支えていました。
「保留者名簿」「自由契約」とは
プロ野球の12球団は、毎年11月末までに、来シーズンも引き続き契約を結ぶ見込みの選手として、上限70人までの「契約保留選手名簿」をプロ野球のコミッショナーに提出することになっています。
各球団から提出された名簿はコミッショナーが精査したうえでことしは1日公示されます。
野球協約によりますとこの名簿に記載されないと契約が解除されたとみなされ、「自由契約選手」としてNPBから公示されます。
自由契約となると「退団」の状態となるため、それまで所属していた球団を含め他球団と交渉が可能となり、自由に選手契約を結ぶことができるようになります。
ただ、自由契約となった選手は必ずしも新たな移籍先が見つかるとは限らず、移籍先を探した末に引退となる選手もいます。