イスラエルやパレスチナに関する日本時間12月1日の動きを随時更新でお伝えします。
イスラエル軍「ガザ地区拘束の人質 新たに6人解放」
イスラエル軍は30日午後11時すぎ、日本時間の1日午前6時すぎ、ガザ地区で拘束されていた人質のうちイスラエル人6人が新たに解放されたと発表しました。
これで30日に解放された人質はあわせて8人となりました。
イスラエルとガザ地区を実効支配するハマスは先月24日から戦闘を休止し、ハマスが人質を段階的に解放するとともに、イスラエル側も刑務所に収容しているパレスチナ人を釈放することで合意しています。
米 ブリンケン国務長官 “戦闘休止の期間延長へ 関係国と協力”
イスラエルを訪れているアメリカのブリンケン国務長官は記者会見を行い、戦闘休止は人質の解放やガザ地区への人道支援の拡大につながるとして、期間のさらなる延長に向け、関係国に働きかけを強めていく考えを強調しました。
アメリカのブリンケン国務長官は30日、イスラエルのネタニヤフ首相などと会談したほか、パレスチナのヨルダン川西岸を訪れ、アッバス議長と会談しました。
会談のあとの記者会見でブリンケン長官は、戦闘の休止は人質の解放やガザ地区への人道支援の拡大につながっているが、まだ十分ではないとして「われわれの当面の焦点は戦闘休止の期間を延長するためにパートナーと協力することだ」と述べ、関係国に働きかけを強めていく考えを強調しました。
ブリンケン長官は、ネタニヤフ首相はイスラム組織ハマスが人質の解放に応じなくなった場合、軍事作戦を再開する意向だとした上で「作戦再開の前に、罪のないパレスチナ人の犠牲を最小限に抑える計画を実施しなければならない」と述べ、ガザ地区南部などに安全地帯を設けることなどを求めたことを明らかにしました。
そして、ブリンケン長官は「ネタニヤフ首相と戦時内閣のメンバーらは、こうした取り組みの必要性について同意した」と述べました。
また、ヨルダン川西岸で住民とユダヤ人入植者らとの衝突が続いていることに深い懸念を示し、イスラエル政府に対応を求めたとしています。
ブリンケン長官はこのあと、UAE=アラブ首長国連邦に向かい、関係国と協議を続けることにしています。
「人質の1人は仏国籍の女性」仏外務省
フランス外務省は、イスラエル軍が30日に発表した、解放されたイスラエル人の人質2人のうちの1人について、イスラム組織ハマスがことし10月16日に公開した映像に映っていた、フランス国籍を持つ女性のミア・シェムさんだと発表しました。
この中では「とても安どしている。ハマスによって公開されたビデオに映し出された彼女の無残な姿が象徴するように、54日間もの人質生活のあとに自由を取り戻すことができた」としています。
その上で「エジプトやカタールなどの仲介に感謝したい」として、残る4人のフランス人の人質の解放に全力を挙げると強調しています。
また、マクロン大統領も、旧ツイッターのXで「シェムさんは解放された。彼女の家族や、すべてのフランス国民とともに喜びを分かち合いたい」と表明しました。
フランスのAFP通信は、解放の知らせを受けて喜ぶ母親の姿を、家族が撮影したとする映像のほか、イスラエル国内の空軍基地でシェムさんが家族との再会を果たした際の映像を配信しています。
シェムさんをめぐっては、先月(11月)9日に母親と兄がパリでNHKなどの取材に応じ、早期の解放を訴えていました。
イスラエル軍「ガザ地区拘束の人質 新たに2人解放」
イスラエル軍は30日、パレスチナのガザ地区で拘束されている人質のうち、新たにイスラエル人2人が解放されたと発表しました。
さらに追加で、複数のイスラエル人の人質が数時間以内に解放される見通しだとしています。
イスラエルとハマスは先月(11月)24日から戦闘を休止し、ハマスが人質を段階的に解放するとともに、イスラエル側も刑務所に収容しているパレスチナ人を釈放することで合意しています。
イスラエル軍報道官「人質解放なければ軍事的な行動必要」
ガザ地区での戦闘の休止についてイスラエル軍の報道官は「外交的な手段で人質の解放ができなければ、軍事的な行動を通して人質の解放を目指す必要がある」と述べ、攻撃再開の準備は整っているとしたうえで、ハマスの壊滅に向けてはガザ地区南部への侵攻が必要だという考えを強調しました。
イスラエル軍のアリエ・シャリカル報道官は、先月30日、イスラエル南部ツェリムの軍の施設でNHKなど外国メディアの取材に応じました。
このなかでシャリカル報道官は「いまは停戦ではなく戦闘の休止であり、ガザ地区全体の3分の1にあたる北部の地域で兵士たちが防御態勢を維持している」と述べました。
そして戦闘休止の延長に向けた交渉が続いていることについて「われわれはどのような展開にも備えている。休止を続けるかどうかを決めるのはイスラエル政府だ。もし外交的な手段で人質の解放ができなければ、軍事的な行動を通して人質の解放を目指す必要がある」として、交渉が決裂した場合に備え、攻撃を再開する準備が整っていると主張しました。
そのうえで「ここ数日、人質の一部は南部ハンユニスから解放されていて、ハマスの戦闘員は北部だけでなく、ガザ地区の全域にいる。人質を解放し、ハマスを壊滅させるという目標を確実に達成するためにはハマスを徹底的に破壊しなければいけない」と述べて、作戦目標の遂行のためにはガザ地区南部への侵攻が必要だという考えを強調しました。
中国 パレスチナ寄りの立場で関与の姿勢アピール
中国外務省は、イスラエル・パレスチナ情勢をめぐって、中国の考え方を示す文書を公表し、パレスチナ寄りの立場で中東和平に積極的に関与していく姿勢をアピールしました。
30日公表された文書には、▽全面的な停戦、▽市民の保護、▽人道支援の確保、▽外交的仲介の強化、それに▽政治的解決の追求という5つの項目が示されています。
このうち「政治的解決の追求」については「2国家共存」による解決に向けて、国連の安全保障理事会が実効性のある国際会議をできるだけ早く開催し、具体的なロードマップなどを策定すべきだとしています。
その上で「ガザの将来に関するいかなる取り決めも、パレスチナの人々の意志と自主的な選択を尊重しなければならない」としていて、パレスチナ寄りの立場で中東和平に積極的に関与していく姿勢をアピールしました。
習近平国家主席も、国連の「パレスチナ人民連帯国際デー」にあわせて「パレスチナの人々が国家を持つ権利や生存権は早期に実現されるべきだ」とするメッセージを発表しています。
中国としては、パレスチナ寄りの立場を強調することで、イスラエルを擁護するアメリカに対抗する形で中東での影響力の拡大につなげるねらいがあるとみられます。