イスラエルやパレスチナに関する日本時間12月4日の動きを随時更新でお伝えします。
ガザ地区保健当局“この3日間で確認された死者数は316人”
ガザ地区での軍事作戦を1日に再開したイスラエル軍は、残る人質の解放とイスラム組織ハマスの壊滅を目指すとして、地区の全域で激しい攻撃を続けています。
軍トップのハレビ参謀総長は3日、「われわれはガザ地区北部でハマスに対して強く徹底的に戦ったのと同様、南部でもこれを始めている」と述べ、前日の2日朝から南部への地上侵攻を始めたことを明らかにしました。
これに対してハマス側も応戦していると見られ、南部の中心都市ハンユニスの数キロ北では激しい戦闘が行われていると報じられています。
イスラエル軍は北部では、前日に続いて地区最大のジャバリア難民キャンプへの空爆を行い、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは100人以上が死亡したと伝えています。
現地からの映像では、がれきの中で子どもたちが家族を探す様子や、このうち1人の男の子が「父親と兄弟は殉教してしまった」と、声を振り絞るように泣き叫ぶ姿が写っています。
南部ハンユニスでも激しい爆撃が行われ、イスラエル軍は攻撃に先立って住民にさらに南に避難するよう指示するビラをまいたとしていますが、地元の病院には負傷した市民が次々と搬送されています。
ガザ地区の保健当局は、この3日間で確認された死者数は合わせて316人、負傷者は664人に上るとした一方で、実際の死傷者はそれよりはるかに多いとしています。
さらに、戦闘開始からの2か月近くの死者数は1万5523人、負傷者は4万1316人だと発表しました。
保健当局の報道官は「医療物資と人手が全く足りず、多くの人が失血死している。攻撃をやめさせるよう、世界中の人たちの良心に呼びかける」と訴えています。
現地で活動しているUNICEF=国連児童基金の担当者も、子どもたちが戦闘の巻き添えになったり、衛生環境の悪化による感染症で死亡したりする危険性が高まっていると指摘し、人道危機が深刻化しています。
イスラエル軍“ハマスの軍事用トンネル 約500か所を破壊”
イスラエル軍は3日、ガザ地区での軍事作戦を始めた10月以降、およそ1万回の空爆を行ったほか、ハマスが軍事目的に使っていると見られるトンネルを800か所以上発見し、このうちおよそ500か所を破壊したと発表しました。
その様子を公開した映像では、モスクの中でトンネルの入り口を発見したとして、部屋の片隅の床下を持ち上げると1人が入れるほどの縦穴が現れ、下へと続くはしごがかかっているのが分かります。
また、ガザ地区の北部だとする映像では、10年前、ドイツの団体から現地に寄贈された学校のすぐ外に、四方をコンクリートで固められた深さ15メートルの縦穴を発見したとして、撮影している兵士が「ハマスによる、学校の皮肉な使用方法を見ることができる」とコメントしています。
映像ではほかにも、住宅の前などの、土に覆われた地面にある複数の縦穴を写し、それらを爆破して破壊する様子を見せています。
フーシ派“イスラエルの船舶2隻を攻撃”
イスラエルと対立するイエメンの首都サヌアを含む北部を掌握する反政府勢力フーシ派は3日、ビデオ声明で紅海につながるバーブルマンデブ海峡でイスラエルの船舶2隻に対する攻撃を行ったと発表しました。
1隻についてはミサイルで、もう1隻については無人機での攻撃を行ったとしていて、「イスラエルがガザ地区への侵攻をやめないかぎり、イスラエルの船舶による紅海などでの航行を阻止し続ける」などとしています。
これについてアメリカ国防総省の報道担当者は3日、「紅海でのアメリカ軍のミサイル駆逐艦『カーニー』と複数の商業船への攻撃に関する情報は把握している」として、何者かによる駆逐艦などへの攻撃があったと明らかにしました。
フーシ派はイスラエルに関連する船舶も標的になるとしていますが、アメリカの駆逐艦については言及していません。
フーシ派は先月19日にも紅海を航行中だった日本企業が運航する貨物船をイスラエルの船だと主張して乗っ取るなど、これまでにも周辺海域での攻撃などを繰り返しています。
イスラエル軍 報道官「無関係の商船2隻にミサイル発射された」
一方、これについてイスラエル軍のハガリ報道官は3日「きょう、イスラエルとは関係のない商船2隻にミサイルが発射された。1隻は重大な損傷を受け、沈没の危険にさらされており、もう1隻は軽度の損傷を受けた」と述べ、イスラエルの船舶ではないという認識を示しました。
その上で「これはフーシ派が組織した破壊的な事件であり、フーシ派が使っているのはイランの兵器であることを理解すべきだ。さまざまな情報、それに攻撃の能力や手法はイランの関与を示している。この地域におけるイランの破壊活動は世界的な問題であり、これに世界がどう反応するかが重要だ。この海域での航行の自由が危険にさらされつつある」と、警鐘を鳴らしました。
米有力紙“アメリカ海軍の駆逐艦が無人機を撃墜”
アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは3日、アメリカ政府当局者の話として、紅海に展開していたアメリカ海軍のミサイル駆逐艦「カーニー」がイエメンの反政府勢力フーシ派の支配地域から発射された無人機を撃墜したと報じました。
無人機は駆逐艦に向かっていたということです。
また、この当局者によりますと、ほぼ同じころ、バハマ船籍の貨物船の近くで弾道ミサイルによる攻撃があったため、貨物船から通報を受けた「カーニー」が現場に向かったということです。
「カーニー」が貨物船の被害状況を調査していたところ、2機目の無人機を確認したため、これを撃ち落としたということです。
この当局者によりますと、アメリカは初期の分析を行ったところだということですが、ほかにも複数の商船が攻撃され、「カーニー」は複数の無人機を撃墜したということです。
米ホワイトハウス「移動の住民を考慮するまで作戦見たくない」
アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は3日、ABCテレビに出演し、イスラエル軍によるガザ地区南部での軍事作戦について「イスラエル軍は北部から南部に住民たちを移動させているのだから、こうした人たちを考慮するまでは、南部の作戦は見たくないと公言してきた」と述べ、北部から避難してきた人たちも含めて、住民たちに危害が及ばないようイスラエル側に重ねて求めました。
イスラエル軍によるガザ地区南部での軍事作戦をめぐっては、バイデン大統領が先月26日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談した際、南部には大勢のパレスチナ住民がいるとして、イスラエル軍が北部で行ったような広範囲に攻撃が及ぶ作戦は繰り返してはならないと伝えたと、アメリカのニュースサイトアクシオスが報じています。
ロンドンで平和願う集い 旗など所属示すもの持たず
イギリスのロンドンでは、宗教団体や慈善団体などが呼びかけたイスラエルとパレスチナの平和を願う集いが3日、開かれました。ロンドンの首相官邸前には1000人以上が参加しました。
屋外に設けられたステージには、ハマスによる攻撃で両親を失ったイスラエル人のマーゲン・イノンさんと、ガザ地区に親戚が暮らすパレスチナ人の平和活動家ハマズ・アワドさんが登壇しました。イノンさんは「恐怖と憎しみを捨て、よりよい未来が可能だという希望を持つことが大切だ」と涙ぐみながらスピーチし、アワドさんと抱擁を交わしていました。
参加者はイスラエルやパレスチナの旗やプラカードなど所属を示すものは持たず、ろうそくの形をした小さなライトなどを手に、静かに祈りをささげていました。
アワドさんは「ガザ地区で起こっている殺りくは、怒りと復讐心が動機にあり、今すぐやめなければならない。長引けば長引くほど、私たちの未来は暗くなる。世界が介入し、傷ついているイスラエルとパレスチナを助ける必要がある」と話していました。