日本新闻: 【詳細】日銀黒田総裁会見金融緩和策の一部修正決定なぜ？

日銀にちぎんが金融きんゆう緩和かんわ策さくを修正しゅうせいし長期ちょうき金利きんりの変動へんどう幅はばを拡大かくだいしたことについて市場しじょうでは事実じじつ上じょうの利上りあげにあたるという受け止うけとめが広ひろがっています。

これについて日銀にちぎんの黒田くろだ総裁そうさいは、記者きしゃ会見かいけんで、金融きんゆう緩和かんわの効果こうかがより円滑えんかつに波及はきゅうするために行おこなうものであり利上りあげではないという考かんがえを示しめしました。

会見かいけんで黒田くろだ総裁そうさいは今回こんかいの長期ちょうき金利きんりの変動へんどう幅はばの拡大かくだいについて、「金融きんゆう緩和かんわの効果こうかが企業きぎょう金融きんゆうなどを通をつうじてより円滑えんかつに波及はきゅうしていくようにする趣旨しゅしで行おこなうものであり、利上りあげではない」と述のべました。

また、このタイミングで変動へんどう幅はばを拡大かくだいした理由りゆうについて、「春先はるさきから世界せかい的てきな金融きんゆう資本しほん市場しじょうの変動へんどうが高たかまり、それが一時いちじ、低下ていかしたように見みえたのに、またこのところ非常ひじょうに高たかまっていることを踏ふまえて今回こんかいの見直みなおしを行おこなった」と述のべました。

長期ちょうき金利きんりの変動へんどう幅はばをさらに拡大かくだいする可能かのう性せいについて黒田くろだ総裁そうさいは、世界せかい経済けいざいの動向どうこうは不ふ確実かくじつで楽観らっかんはできないが、今いまのところ、変動へんどう幅はばをさらに拡大かくだいすることは考かんがえていないと述のべました。

さらにいまの金融きんゆう政策せいさくの枠組わくぐみや大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわ政策せいさくを直ただちに見直みなおすような状況じょうきょうになるとは思おもわないと述のべました。

また、20日にち決定けっていした金融きんゆう政策せいさくの一部いちぶ修正しゅうせいが金融きんゆう緩和かんわを縮小しゅくしょうする出口でぐち戦略せんりゃくにつながるのかという質問しつもんに対にたいして「今回こんかいの措置そちは、出口いでぐち戦略せんりゃくの1歩ほというものでは全まったくない。いまは経済けいざいをしっかりと支ささえて賃金ちんぎんの上昇じょうしょうを伴ともなう形かたちで物価ぶっか安定あんていの目標もくひょうを持続じぞく的てき・安定あんてい的てきに実現じつげんするために金融きんゆう緩和かんわを継続けいぞくすることが適当てきとうだ」と述のべました。

一方いっぽう、デフレ脱却だっきゃくに向むけて2％の物価ぶっか上昇じょうしょう率りつを目標もくひょうと定さだめた2013年ねん1月つきの政府せいふ・日銀にちぎんの共同きょうどう声明せいめいを修正しゅうせいする必要ひつようがあるかという質問しつもんに対にたいし黒田くろだ総裁そうさいは、「政府せいふと日銀にちぎんの共同きょうどう声明せいめいに沿そって必要ひつような政策せいさくを実施じっしした結果けっか経済けいざい・物価ぶっかは着実ちゃくじつに改善かいぜんし、デフレではない状態じょうたいを実現じつげんした。現時点げんじてんで共同きょうどう声明せいめいを見直みなおす必要ひつようがあるとは考かんがえていない」と述のべました。

【会見かいけん詳細しょうさい】

黒田くろだ総裁そうさいが着席ちゃくせきし、午後ごご3時じ30分ふん、記者きしゃ会見かいけんが始はじまりました。

政策せいさくの一部いちぶ修正しゅうせいが正午しょうごすぎに発表はっぴょうされると円えん相場そうばは1ドル＝137円えんから一気いっきに133円えん台だいまで円えん高だか方向ほうこうに変動へんどう。

会見かいけん開始かいし時じの円えん相場そうばは1ドル＝132円えん台だい後半こうはんです。

会見かいけん冒頭ぼうとうで、黒田くろだ総裁そうさいは「緩和かんわ的てきな金融きんゆう環境かんきょうを維持いじしつつ、市場しじょう機能きのうの改善かいぜんを図はかり、より円滑えんかつなイールドカーブ全体ぜんたいの形成けいせいを促うながしていくため長短ちょうたん金利きんり操作そうさの一部いちぶを見直みなおすことを決定けっていした」と述のべました。

見直みなおしの理由りゆうについて「春先はるさき以降いこう、海外かいがいの金融きんゆう資本しほん市場しじょうの変動へんどうが高たかまり、日本にっぽんの市場しじょうもその影響えいきょうを強つよく受うけている。こうした状態じょうたいが続つづけば金融きんゆう環境かんきょうに悪あく影響えいきょうを及およぼすおそれがある」と述のべました。

「物価ぶっか安定あんていの目標もくひょう実現じつげん目指めざす」

今回こんかいの金融きんゆう緩和かんわ策さくの一部いちぶ見直みなおしの狙ねらいについて黒田くろだ総裁そうさいは、「今回こんかいの措置そちにより金融きんゆう緩和かんわの効果こうかが、企業きぎょう金融きんゆうなどを通をつうじてより円滑えんかつに波及はきゅうしていくと考かんがえている。金融きんゆう緩和かんわの持続じぞく性せいを高たかめることで物価ぶっか安定あんていの目標もくひょうの実現じつげんを目指めざしていく」と述のべました。

金融きんゆう政策せいさくについて点検てんけんや検証けんしょう「時期じき尚早しょうそう」

黒田くろだ総裁そうさいは2％の物価ぶっか上昇じょうしょう率りつの目標もくひょうやいまの金融きんゆう政策せいさくについて点検てんけんや検証けんしょうをする考かんがえがあるかという記者きしゃの質問しつもんに「日銀にちぎんは賃金ちんぎんの上昇じょうしょうを伴ともなう形かたちで2％の物価ぶっか安定あんていの目標もくひょうを持続じぞく的てき安定あんてい的てきに実現じつげんすることを目指めざしている。現状げんじょうではその実現じつげんまでになお時間じかんを要ようする見通みとおしで金融きんゆう政策せいさくの枠組わくぐみや出口いでぐち戦略せんりゃくなどについて具体ぐたい的てきに論ろんじるのは時期じき尚早しょうそうであると考かんがえる。物価ぶっか安定あんていの目標もくひょうの実現じつげんが近ちかづいてくれば出口でぐちに向むけた戦略せんりゃくや方針ほうしんなどについて金融きんゆう政策せいさく決定けってい会合かいごうで議論ぎろんし、適切てきせつな情報じょうほう発信はっしんしていくことになると考かんがえている」と述のべました。

「今回こんかいの措置そち利上りあげではない」

黒田くろだ総裁そうさいは、「今回こんかいの措置そちは市場しじょう機能きのうを改善かいぜんすることでイールドカーブコントロールを起点きてんとする金融きんゆう緩和かんわの効果こうかが企業きぎょう金融きんゆうなどを通をつうじてより円滑えんかつに波及はきゅうしていくようにする趣旨しゅしで行おこなうものであり、利上りあげではない」と述のべました。

そのうえで「イールドカーブコントロールの運用うんようの一部いちぶの見直みなおし、これはイールドカーブコントロールをやめるとかあるいは出口でぐちというようなものは全まったくない」と述のべました。

「今回こんかいの措置そち出口いでぐち戦略せんりゃくではない」

20日にち決定けっていした金融きんゆう政策せいさくの一部いちぶ修正しゅうせいは金融きんゆう緩和かんわを縮小しゅくしょうする出口でぐち戦略せんりゃくにつながるのかという質問しつもんに黒田くろだ総裁そうさいは、「今回こんかいの措置そちは、出口いでぐち政策せいさくとか出口いでぐち戦略せんりゃくの1歩ほとかそういうものでは全まったくない。いまは経済けいざいをしっかりと支ささえて賃金ちんぎんの上昇じょうしょうを伴ともなう形かたちで物価ぶっか安定あんていの目標もくひょうを持続じぞく的てき・安定あんてい的てきに実現じつげんするために金融きんゆう緩和かんわの継続けいぞくが適当てきとうだ」と述のべました。

将来しょうらいの長期ちょうき金利きんりの変動へんどう幅はばの拡大かくだい「今いまのところ考かんがえてない」

将来しょうらいの長期ちょうき金利きんりの変動へんどう幅はばの拡大かくだいの可能かのう性せいについて黒田くろだ総裁そうさいは、「ウクライナ情勢じょうせいに加くわえ、欧米おうべいの金利きんり引き上ひきあげによる経済けいざいや金融きんゆう資本しほん市場しじょうへの影響えいきょうは不ふ確実かくじつだ。最近さいきんは中国ちゅうごくでのゼロコロナ政策せいさくの転換てんかん以降いこう、コロナ感染かんせん症しょうの動向どうこうが非常ひじょうに分わかりにくくなっており不ふ確実かくじつだということもある。楽観らっかんはできないがさらなる拡大かくだいといったようなことは今いまのところ考かんがえてない」と述のべました。

「景気けいきにはプラス」

今回こんかいの長期ちょうき金利きんりの変動へんどう幅はばの拡大かくだいの措置そちが住宅じゅうたくローン金利きんりの上昇じょうしょうなど経済けいざいに与あたえる影響えいきょうをどう考かんがえるかという質問しつもんに黒田くろだ総裁そうさいは「長短ちょうたん金利きんり操作そうさ＝イールドカーブコントロールの基本きほんは変かわらない。経済けいざいに対にたいする刺激しげき効果こうかや成長せいちょうを促進そくしんし経済けいざいの拡大かくだいを図はかる方向ほうこう感かんに基本きほん的てきな変更へんこうはない。経済けいざいへの波及はきゅうがよりスムーズ・安定あんてい的てきに起おこり、むしろ景気けいきにはプラスではないかと思おもわれる」と述のべました。

「世界せかい的てきな金融きんゆう資本しほん市場しじょうの変動へんどうの高たかまり踏ふまえ見直みなおし」

黒田くろだ総裁そうさいは、記者きしゃ会見かいけんでなぜこのタイミングで長期ちょうき金利きんりの変動へんどう幅はばを変更へんこうしたのか質問しつもんされたのに対にたいして、「春先はるさきから世界せかい的てきな金融きんゆう資本しほん市場しじょうの変動へんどうが高たかまり、それが一時いちじ、低下ていかしたように見みえたのに、またこのところは非常ひじょうに高たかまっていることを踏ふまえて今回こんかいの見直みなおしを行おこなった。あくまで長短ちょうたん金利きんり操作そうさがより安定あんてい的てきに機能きのうするようにしたわけで、何なにもいわゆる金利きんり引き上ひきあげとか金融きんゆう引き締ひきしめを行おこなったわけではない」と述のべました。

「大幅おおはばな金融きんゆう緩和かんわ政策せいさく直ただちに見直みなおすような状況じょうきょうにはならない」

黒田くろだ総裁そうさいは、「いまの長短ちょうたん金利きんり操作そうさについても大幅おおはばな金融きんゆう緩和かんわ政策せいさくにしてもそれを直ただちに見直みなおすような状況じょうきょうになるようには思おもわれない」と述のべました。

「物価ぶっか上昇じょうしょう率りつ2％実現じつげんできる状況じょうきょうにはない」

黒田くろだ総裁そうさいは今後こんごの物価ぶっかの見通みとおしについては、「来年度らいねんどは、やはり今年度こんねんどよりも物価ぶっか上昇じょうしょう率りつは低下ていかしていくとみられ、賃金ちんぎんの上昇じょうしょうを伴ともなって持続じぞく的てき・安定あんてい的てきに2％が実現じつげんできる状況じょうきょうにはまだない」と述のべました。

「金利きんり引き上ひきあげでないこと十分じゅうぶん市場しじょう関係かんけい者しゃにも伝つたえたい」

黒田くろだ総裁そうさいは、市場しじょうとのコミュニケーションについて問とわれたのに対にたいし、「金利きんりの引き上ひきあげでないことは十分じゅうぶん、市場しじょう関係かんけい者しゃにも伝つたえたい。企業きぎょう金融きんゆうを通をつうじて経済けいざいにプラスの影響えいきょうを及およぼすことを考かんがえて行いった決定けっていだということを、今後こんごとも十分じゅうぶん説明せつめいしていきたい」と述のべました。

政府せいふ・日銀にちぎんの共同きょうどう声明せいめい「見直みなおす必要ひつようない」

デフレ脱却だっきゃくに向むけて2％の物価ぶっか上昇じょうしょう率りつを目標もくひょうと定さだめた2013年ねん1月つきの政府せいふ・日銀にちぎんの共同きょうどう声明せいめいを修正しゅうせいする必要ひつようがあるかという質問しつもんに、黒田くろだ総裁そうさいは、「2013年ねん以降いこう、政府せいふと日本にっぽん銀行ぎんこうの共同きょうどう声明せいめいに沿そって必要ひつような政策せいさくを実施じっししてきた。そうしたもとで我が国わがくにの経済けいざい物価ぶっかは着実ちゃくじつに改善かいぜんし、デフレではない状態じょうたいを実現じつげんした。現時点げんじてんで共同きょうどう声明せいめいを見直みなおす必要ひつようがあるとは考かんがえていない」と述のべました。

「経済けいざいにマイナス影響えいきょう完全かんぜんに防ふせげる」

黒田くろだ総裁そうさいは、長期ちょうき金利きんりの変動へんどう幅はばの拡大かくだいで日本にっぽん経済けいざいにマイナスの影響えいきょうはないのかと質問しつもんされたのに対にたいして、「今回こんかいの見直みなおしは市場しじょう機能きのうの改善かいぜんに焦点しょうてんを当あてたものだ。必要ひつように応おうじて国債こくさいの買い入かいいれの増額ぞうがくなどをやるということにしているので、経済けいざいに何なにかマイナスが出でてくるということは完全かんぜんに防ふせげるというふうに思おもっている。私わたし自身じしんは、金融きんゆう緩和かんわの効果こうかがより進すすみ経済けいざいにプラスの影響えいきょうを及およぼすということを狙ねらっている」と述のべました。

日銀にちぎんの国債こくさい大量たいりょう買い入かいいれ「財政ざいせいファイナンスではない」

日銀にちぎんが国債こくさいを大量たいりょうに買い入かいいれていることについて黒田くろだ総裁そうさいは「財政ざいせいファイナンスではなく、私わたしどもの金融きんゆう政策せいさくが何なにか、財政ざいせい政策せいさくをゆがめているというようなことは考かんがえてない。財政ざいせい政策せいさくはあくまでも政府せいふ、国会こっかいがお決きめになることだ」と述のべました。

その上うえで、今回こんかいの緩和かんわ策さくの一部いちぶ修正しゅうせいの意図いとについて、「為替かわせなどへの影響えいきょうはあり得えるかもしれないが、そういうものではない」と述のべました。

社債しゃさいなどへの影響えいきょうも配慮はいりょ

黒田くろだ総裁そうさいは今回こんかい、変動へんどう幅はばを拡大かくだいしたねらいについて企業きぎょうが発行はっこうする社債しゃさいなどへの影響えいきょうも考かんがえたという認識にんしきを示しめしました。

黒田くろだ総裁そうさいは「国債こくさいの金利きんりは社債しゃさいや銀行ぎんこうの貸し出かしだしの基準きじゅんになっているので、その基準きじゅんがはっきりしないとか、市場しじょうに信用しんようされないことになると企業きぎょう金融きんゆう全体ぜんたいにマイナスになる。企業きぎょう金融きんゆうに緩和かんわ効果こうかがスムーズに及およぶようにすることにした」と述のべました。