緊急事態宣言の解除にともない部活動については文部科学省がまとめた部活動再開に関する衛生管理マニュアルに基づき、自治体ごとに感染状況などを踏まえて徐々に再開され、15日は東京や大阪、千葉、岐阜などの公立高校で部活動が再開されました。
東京都 “フェンシングの強豪”再開
このうち東京都ではガイドラインに基づき、15日から都立高校で部活動が再開され、フェンシングの強豪、王子総合高校ではおよそ3か月半ぶりにフェンシング部の活動が再開されました。
現在26人の部員が所属していますが、体育館内での密集を避けるため活動日を2班に分ける感染予防対策をとっていて、15日は8人の部員が練習に参加しました。
部員たちははじめに体温測定を行い、指導者からマスクを着用することや大声を出さないこと、それにこまめに手を洗うことなど感染予防のルールが指示されていました。
練習時間はふだんより短いおよそ1時間でしたが、最高気温が30度を超える真夏日となる中、窓を開けて大型扇風機を使うなどして熱中症の対策もとりながら、久しぶりにフットワークの確認などを行っていました。
一方、都内の私立の高校ではそれぞれの学校の判断ですでに部活動を再開している学校があるほか、今月下旬以降の再開を目指す学校もあります。
大阪府 ラグビー部は接触プレーは行わず
大阪府内の多くの公立高校でも、新型コロナウイルスの影響で休止していた部活動が再開され、放課後のグラウンドに生徒たちの元気な姿が戻ってきました。
このうち、大阪 吹田市にある府立千里高校では全校生徒の一斉登校が始まり、部活動もおよそ3か月半ぶりに再開しました。
創部54年のラグビー部ははじめにミーティングを開き、榎本孝二監督が手洗いなどの予防対策を徹底することやけがを防ぐために段階的に練習のレベルを上げること、それに、毎年9月から行われる全国高校ラグビーの大阪府予選が開催される方針であることを説明しました。
このあと、部員たちはグラウンドに出て、密にならないよう2メートルほどの間隔をとって円陣を作ったり、途中で手の消毒をしたりして工夫しながらパス回しなどの基礎練習に取り組みました。
チームではラグビーで重要となるタックルやスクラムなどの接触プレーは、感染防止のために当面、行わない方針です。
榎本監督は「久々に学校に活気が戻りました。これから生徒と部活動ができることにワクワクしています」と話していました。
キャプテンの丹生和浩選手は「仲間と顔を合わせて練習できるのがうれしい。少しずつ上達して、みんなで大会に臨みたい」と笑顔で話していました。
岐阜県 センバツ出場予定だった野球部は
岐阜県内では中学や高校の部活動がことし3月以降、春休みも含めてほとんど休止されていましたが、15日から県立高校で再開されました。
このうち、センバツ高校野球の中止を受けて8月に甲子園球場で行われる交流試合に出場する県立岐阜商業の野球部は、部員およそ80人が集まって、3か月ぶりの全体練習を再開しました。
15日は4月に入部した1年生との顔合わせとなり、自己紹介のあと、部員たちはグラウンドに出て大きな声を出しながらキャッチボールをしたり、ノックを受けたりしていました。
部活の休止中も、部員たちは毎日自主的にメニューを考えて、個人練習に励んでいたということです。
佐々木泰主将は「すごく野球がしたかったので練習を再開できてうれしい。こうして野球ができることは当たり前ではないと実感したので、しっかりみんなで力を高めていきたい」と話していました。
鍛治舍巧監督は「3か月ぶりだが、自主トレーニングで体が大きくなっているように感じる。悔いのないように1分1秒を過ごさせてあげたい」と話していました。
群馬県 剣道部はシールド付け練習
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う群馬県の警戒度が13日引き下げられたことを受けて、健大高崎高校の野球部は15日、およそ3か月ぶりに部活動を再開しました。
健大高崎高校は、センバツ高校野球の中止を受けて、ことし8月に甲子園で行われる交流試合に出場するため、15日は3年生が中心となって練習を行いました。
部員たちはバッティングなど、久しぶりの全員でのグラウンド練習で汗を流していました。
部員たちが目指していた夏の全国高校野球は、新型コロナウイルスの影響で中止となりましたが、群馬県高校野球連盟は県独自の代替大会の開催に向けて検討しています。
キャプテンの戸丸秦吾選手は「みんなで野球ができるのはすごくうれしい。今のメンバーでまた野球ができることがわかったので、野球ができることに感謝して練習に取り組んでいきたい」と話していました。
青柳博文監督は「安全には気をつけて感染予防の対策を徹底し、交流試合だけではなく県の代替試合もあると信じて頑張っていきたい」と話していました。
一方、前橋市の前橋商業高校の剣道部も15日から練習を再開しました。
部員たちは感染防止のため、マスクをつけたまま準備体操を行ったあと、防具の面の内側に目や口元を覆う透明なプラスチック製のシールドをつけて、声を出しながら竹刀を使って打ち合う練習を行いました。
熱がこもるおそれがあるため、防具をつけて行う練習はふだんの半分以下の時間に抑えたということです。
ことし6月に行われる予定だった全国高校総体の県予選は中止となったため、生徒たちは代わりの大会の開催に期待を寄せています。
前橋商業高校剣道部の上原滉平主将は「久しぶりに体を動かし、シールドをつけての練習は苦しいです。ただ、みんなで集まって行う剣道は楽しいので、全校高校総体の代わりになるような大会が開かれれば練習の成果を発揮したいです」と話していました。
埼玉県 中学校陸上部 掛け声なく マスクつけて
15日から本格的に授業を再開した埼玉県朝霞市の中学校では、新型コロナウイルスの感染防止と熱中症への対策を行いながら放課後の部活動も始まりました。
朝霞市内の5つすべての公立中学校では、15日から通常どおり授業が再開され、感染防止の対策をしたうえで部活動も始まりました。
このうち、朝霞第二中学校の陸上部では、練習中、掛け声は出さず、息が上がる激しいトレーニング以外はマスクをつけて、練習していました。
また、剣道部では、飛まつの飛散を防ぐため、手拭いなどで口を覆って防具の面をかぶり、さらに面の内側に透明なシールドをつけて、生徒が素振りなどをしていました。
15日の埼玉県内は、各地で30度を超える真夏日となり、激しい運動の際はマスクを取り、こまめに水分を取るなどの熱中症対策も行っていました。
剣道部の3年生の男子生徒は、「マスクをしてシールドをつけると苦しく長い時間はできませんが、感染対策をしながら短時間で集中して練習したいです」と話していました。
朝霞第二中学校で、部活動を担当する関口裕次教諭は「暑さの中、感染予防と熱中症対策を両立できるいい環境を作って練習していきたい」と話していました。
この中学校では部活動を段階的に再開し、今月21日までは活動時間は1時間程度にして徐々に体を慣らしていくということです。