そして優勝決定戦では、
霧馬山が
土俵際で
大栄翔を
突き落とし、
物言いがついたものの
協議の
結果、
軍配通りに
霧馬山が
勝って
初めての
優勝を
果たしました。
千秋楽の直接対決でトップに並び、その後の優勝決定戦も制したのは平幕の阿炎が初優勝した去年の九州場所以来です。
霧馬山は新たに関脇に昇進した今場所、6日目の錦木との取組後に左腕を痛めたようなそぶりを見せたほか、7日目で3敗目を喫するなど苦しい前半戦となりました。
しかし、中日8日目以降は持ち前の動きのよさを生かしてまわしを取る展開に持ち込んで白星を重ね、12日目には3敗で並んでいた関脇・豊昇龍に勝って優勝争いに踏みとどまりました。
春場所は昭和以降初めて横綱と大関が不在となる中で霧馬山が初優勝し、関脇としての存在感を示しました。
霧馬山「最後に勝って最高」
初優勝を
果たした
霧馬山は「
本当にうれしい。すごく
緊張している。
そんなにいい
相撲ではなかったが、
最後に
勝って
最高だった」と
心境を
明かしました。
いつから優勝争いを意識していたかを問われると「あんまり考えていなかった。1日一番という感じだった」と話しました。
星の差1つで追う展開で千秋楽を迎えたことについては「少し緊張していたが自分の相撲を取ろうと思っていた」と述べました。
そして大関昇進がかかる来場所に向けては「15日間、1日一番しっかり頑張る」と意気込みを示しました。
大栄翔「悔しい気持ちを忘れずに稽古」
単独トップの2
敗で
千秋楽を
迎えた
小結・
大栄翔は
関脇・
霧馬山に
逆転優勝を
許し、「
悔しい。
気合を
入れていったが、
土俵際の
甘さが
自分の
弱いところだ」と
振り返りました。
そして、来場所に向けては「今場所はいい相撲が多かったので、来場所もいい相撲を15日間通して取れるように頑張りたい。悔しい気持ちを忘れずに稽古したい」と前向きに話していました。
また、2回目となった技能賞の受賞については、「押し相撲で技能賞はなかなか取れないと思うが、評価を頂いて、本当に自信になるし、もっともっと突き押しの技術を極めていきたい」と話していました。
八角理事長「どっしりとしてきた」
日本相撲協会の
八角理事長は
優勝した
霧馬山について「きょうも
そうだがどっしりとしてきた。
駆け引きなくいって、
だからいなせたというか、はたけた」と
相撲の
内容を
評価しました。
また、大関昇進を目指すにあたって課題について聞かれると、「立ち合いで押し込まれたが、押し込まれないこと。立ち合いの重さや速さが出れば、楽に勝てるようになる」と話していました。
また、優勝決定戦で敗れた大栄翔については、「立派に12番勝っているわけだから、来場所頑張ってほしい」と期待を込めていました。
今場所は昭和以降で初めてとなる横綱と大関が不在の場所となりましたが、「横綱・大関はいないが、最後の一番まで優勝がわからないということは、三役が頑張ってくれたということだ」と話しました。
霧馬山 モンゴルでは遊牧民として生活
初優勝を
果たした
霧馬山はモンゴル
出身の26
歳。
左前まわしを取っての寄りや投げ技が持ち味です。
モンゴルでは遊牧民として馬などの家畜を飼いながらゲルと呼ばれる移動式の住居で生活していました。
来日してからは陸奥部屋に入門し、平成27年夏場所の前相撲で初土俵を踏むと三段目で優勝を果たすなど1年で幕下まで番付を上げました。
その後は左ひざのけがなどに苦しみましたが初土俵からおよそ5年で新入幕を果たし、次の年には新三役となる小結に昇進しました。
同じモンゴル出身の元横綱、鶴竜親方の指導も受けながら実力を伸ばし、ことしの初場所では三役で初めてのふた桁となる11勝を挙げ、今場所は新関脇として臨んでいました。
元横綱 鶴竜親方に刺激受け稽古
初優勝を
果たした
霧馬山、
同じモンゴル
出身の
元横綱に
刺激を
受けて
相撲に
打ち込んできたことで
着実に
実力を
伸ばしてきました。
霧馬山が新入幕目前だった令和元年の九州場所の前、元関脇・逆鉾の井筒親方の死去に伴って当時、横綱だった鶴竜親方が陸奥部屋に移籍してきました。
これをきっかけに霧馬山は毎日、稽古をつけてもらうようになり横綱を胸を借りることで「すごいな。もっと上に行きたいな」と意欲を高めていったといいます。
鶴竜親方からも目をかけてもらい、体を大きくするよう指導を受けると食事の量にも気を配るようになったということで体重も10キロほど増えました。
おととし鶴竜親方が引退してからも引き続き指導を受け、特に立ち合いでの当たりやまわしを取ってから頭をつけて攻めることを徹底するよう教わってきました。
そして、こうした
技術を、
霧馬山は
精力的にほかの
部屋に
出稽古に
出向いて
磨きをかけてきました。
特に春場所の前は若隆景、若元春の兄弟三役や大関経験者の朝乃山などと「自己最長」という出稽古を実施。
「強い人とやると負けても自分の中で自信になる」と精力的に番数をこなしました。
その成果が今場所で発揮されました。
前半戦で3敗を喫する苦しい展開となりましたが、中日以降は相手に押し負けずに有利な体勢を作ったり、まわしを取って頭をつけて寄り切ったりするなど鍛えてきた相撲で白星を重ね、鶴竜親方も「力強くなった」と今場所の成長に目を細めました。
初優勝の霧馬山、三役で2場所連続のふた桁勝利を挙げたことで、来場所は大関昇進に期待がかかります。
憧れの横綱に近づくためにも来場所は霧馬山にとってさらに重要な場所になります。
新関脇での優勝は4回目
新関脇での
優勝は
去年の
春場所の
若隆景以来、4
回目です。
モンゴル出身力士の初優勝は9人目で去年の名古屋場所の逸ノ城以来で、10日目の終了時点でトップと星の差3つから優勝したのは、平成29年秋場所の元横綱・日馬富士以来となります。
日馬富士はこの場所、10日目で4敗目を喫しましたがこの時点で1敗でトップに立っていた元大関・豪栄道が終盤戦で連敗。
日馬富士が千秋楽で豪栄道との直接対決で勝って優勝決定戦に持ち込んだ末の優勝でした。
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